
いつも新鮮な時間
高齢者住宅に入居しているおばあちゃんたち。
日中は隣のデイサービスに行き、沢山の人と交流して1日楽しく過ごします。デイサービスが終了すると隣の住宅施設に帰ります。
その都度繰り返される、おばあちゃんたちの会話とスタッフの心の声。
「ちょっと、今日も泊まりだって。今日で3日目だよ」
・・・本当は入居してから半年たっています・・・。
「家で一人でいるよりいいけどね。家にいないと父さんに離縁される」
・・・本当は父さんはあの世で見守っています・・・。
「私、どこの部屋に泊まれるの?お金ちょっと貸してくれるかい?」
スタッフが「右側です」と方向を示し、料金は心配ないと伝えます
「あ〜それなら安心だ。真っすぐ行って、突き当り左ね。私の部屋ね」
・・・私の部屋・・・。そうですおばあちゃんのお部屋です。わかっているじゃありませんか・・・。
別のおばあちゃんは何も言われなくても毎日寝ている自分のお部屋に一人で向かって行きます。
日中デイサービスに行くと住んでいる事を忘れてしまうみたいですが、身体では自分のお部屋は理解しているようです。
そしてまた翌日の朝、同じ会話が始まります。
「ちょっと、お風呂の券これでいいのかい?」
摩耗して印刷が消えてしまったどこかの入浴券をお財布から出します。
今日は、無料入浴デーだから、券はいらないとスタッフが答えます。
「え!!そんな日あるの?儲けたね。それじゃあ貯金でもしておくか」
記憶ができる私達にとっては、同じことの繰り返しでも、お年寄りにとってはその都度、新鮮で楽しい会話が繰り返されています。
おかげで私達スタッフも、毎日楽しい時間を一緒に過ごさせてもらっています。