背馬俳句2022/3/7〜3/9
🔹3/7
1. 如月や米麺コシの無かりけり
2. 如月のひかりを急に雲奪う
3. 人間の器危うし春氷
4. 朧夜の角より人の滲み出る
5. 朧夜の夢のようなる帰り道
6. 朧月エスプレッソに真実あり
7. 朧夜にエアリプみんな食うた虫
8. 三月か帰りの電車にてポツリ
🔹3/8
1. 一斉に芽ぶいたかと思う学舎
2. 適当に切られて芽ぶく木もありぬ
3. 再会を祝すが如く芽ぶきたる
4. 生きてればまた芽ぶく木を慈しむ
5. 春空の一部は通れなくなりて
6. 春ひとり完璧な角度を見つけ
7. 啓蟄や援軍来ても苦しかり
8. 春海に何にもないはずなんだけど
9. 心だけ春とは言えぬ晴れ間かな
10. 消費者の心はまるで朧月
11. 私ごとき言うこともなく丘に立つ
🔹3/9
1. 受験子でありつつ戦士でもありぬ
2. アンテナを立て洗濯を干す春愁
3. 竜天に行けず排他的経済水域に落ち
4. バンクシーは花束を投げ僕は空缶を投げるある日の夕べ
5. 蕪村の言う梅の遅速に愛すべし
6. 珈琲の遅速に春の夜を過ごし
7. 梅咲きてまさに自由を謳歌せり
8. 溶けたしとおぼろ夜の町へと出たる
9. 三月にティファールの音高まりて
10. 爆撃に印度の学生死ぬ春なのか
11. 法律で裁けぬところ春愁い
自選
7日の8
8日の4
9日の5
二もとの梅に遅速を愛す哉
与謝蕪村
いつも通る道にある大きな家の庭には立派な紅梅がある。いつもその枝振りが粋だなと見ていたのだが、今日なんとそこの庭に白梅もあることに気がついた。白梅は紅梅より早く咲くと思っていたが、なんと紅梅より遅い白梅もあるんだと理解した。もう4年もその道を通っているのに。
そこでこの句が頭に浮かんだわけだ。
そして初めてこの句が素敵だと思えたのだ。
なんて嬉しいことだろう。
背馬拝