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”失われた30年”は、インテリジェンスの欠如が原因だった!?

オシンテック代表の小田真人です、こんにちは。
このシリーズでは、これまで失われた30年と言われてきた日本だからこそ、世界で最も飛躍できる経営フレームワーク「インテリジェンス経営」についてお話ししていきます。

広報談
代表の熱量により大変長文になっておりますが、すっと読める文章ですので是非最後までお付き合いのほどを~

また、弊社で次期受講生募集中の”探究インテリジェンスプログラム”では、インテリジェンスと合意形成力を鍛えることで、インテリジェンス経営の実践者を増やし、推進しています。
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失われた30年の原因


さて本題です。

「失われた30年」ってよく言いますよね。 これ、何が原因だったんだろう?って考えたこと、ありますか?

すごい言葉です。 言葉にすれば一瞬だけど、失われた10年から始まり、20年となり、今や30年になりました。 日本は、世界から切り離されて、いや、取り残されて、成長していない。 30年の言葉の重みたるや。

そして、今でも続いています。

なんとかしなければ! なんとかするためにも、何でこんなことが起きているかを把握することは必須です。

政治のせい? マスコミのせい? 財界人のせい?

みな、その時その時で、必死にいろんなことに取り組んできたんですよね。 そして、政治であれば、市民はそこに投票もしてきた・・・ いい人たちが、良き思いで頑張ってきたことを否定するつもりはありません。

私は、原因として、こうかな、と考える仮説があるのです。

それは、意思決定者や戦略参謀・幹部の「インテリジェンスの欠如」です。

分かりやすく言うと、全体観や洞察に基づく最適な手を打てていない、ということです。

囲碁や将棋・チェスであれば、盤面全部を見ながら打っていきますよね。 でも、盤面の一部しか見えないのに手を打っていた。これが最も大きな原因です。

インテリジェンス人材がいない、とも言えるかもしれません。

◆私の実体験 1

なぜ、それに気付いたか。 以前、私が立ち会ったビジネスの現場でそれを認識する事態に出会ったのです。

中国を例に挙げます。 トヨタのハイブリッドカー、プリウスはかつて、環境汚染の少ない、燃費の良い車として米国のセレブたちに愛用され、環境を汚さないことはマナーでありカッコいい、という価値観を立ち上げるのに一役買った車です。

でも、2009年頃の中国では、プリウスはエコカーに認定されず、エコカー助成金の対象にはならなかったのです。代わりにフォルクスワーゲンのダウンサイジングターボがエコカーに認定され、エコカー助成金の対象ということになりました。フォルクスワーゲンは、そこから5年で2兆円以上売上を伸ばしたのです。プリウスは横ばいでした。

どこでOK/NGの境界線を引くかは、その国の自由です。でも、いつの時代も、ルールを作る人が強い。そうは思いませんか?

当時も、良いものを作っていれば売れるという時代は終わった、と言われていました。 そこで、マーケティングに力を入れたのが日系企業だったのですが、ルールメイキングに関心を持つ人はほとんどいませんでした。

◆私の実体験 2

これも、東南アジアに駐在していたころに出会った、ある「ろ過装置」を作る会社の話です。

工場で使用された水は利用後に下水や川に流されます。その際、化学物質を含んだ水で環境を汚さないように、工場は、水質を一定水準以上にろ過した上で排水する必要があります。日本でもかつて発生した水俣病のようなひどい公害を再度起こさないためにも、非常に大切な工程です。

しかし、当時、東南アジアのある国では、まだそのろ過の基準が十分に作られていませんでした。そこに比較的大規模な工場の建設の話がありました。二つの会社が、ろ過装置を売り込んでいきました。A社は、ろ過において重要となる5つの特徴のうち、4つにおいて優秀な装置を用意していました。競合のB社の製品は、その4つについてA社のものより劣っていましたが、1つだけ優秀な技術・性能を持っていました。

このコンペにA社は当然勝てると確信していました。しかし、その後、A社の人たちにとっては思いもよらない展開が訪れたのです。A社は営業活動を停止せざるを得なくなりました。何が起きたか?

実は、政府によって新たなろ過の基準が示されたのです。それは、B社が唯一勝っていた性能が基準となったのでした。A社の技術は、その国で導入されるにはNGになったのです。B社の強みとするポイントで規制が作られ、A社が弾かれてしまったのです。

これもルールの力の小さな一例です。真実はオープンにはなっていませんが、B社のインテリジェンスに基づくロビー活動の成果と言って恐らく間違いはないでしょう。企業にインテリジェンスが必要な理由の一つでもあります。

本当に環境に良いものが採用されるなら、この場合はA社のろ過膜が採用されるべきだったと私は感じます。しかし実際はそうなりませんでした。それは、この問題に声を上げる人も、注目する人も限定的だったからです。

環境に良い技術を持つ会社は、愚直に良いものを作るだけではなく、その作ったものをどうやって社会に導入していくか、インテリジェンスを活用してシナリオを立て、ルールを作る機関に対して主張していく必要があるのです。

◆国ごとのルールの捉え方・向き合い方


私はシンガポールの駐在時代に、多くの欧州の人と交流しましたが、彼らの中で「ルールを作るのが我々の仕事だ」という認識を持っていた人は少なくはありませんでした。それこそが経営者・駐在員の仕事である、と断言していた人もいます。

一方で、日本企業の方は「ルールはしっかり守って、ルールのもとで改善するのが我々の仕事だ」というのがスタンスでした。郷に入らば郷に従え、という言葉にも表れています。その国をよく観察し、しっかりと「迷惑をかけないように」その国に入っていく。おかげで、日本人はどこの国に行っても評判は悪くないですね!

交流している中国の知り合いなどは、「ルールを破った時のペナルティとメリットを天秤にかけて、破るかどうかを決める」と言います。これほどまでに、ルールというものに対する向き合い方は違うのです。

良い技術を持つものとして、問題山積みの世界に対して、日本は適切なルールを提案することで良い社会づくりに貢献する責務があると考えています。 日本もそろそろ全体観を持って、仕組みを提案していく時期に来たと思いませんか?

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次回は「合意形成力」についてお話しします。お楽しみに!

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