マネジメントする前に学ぶべき4つのこと (デザインマネージャーの失敗と学び)
「いずれはマネージャーとしてキャリアを伸ばしていきたい!」
そう思うクリエイターの皆様のお力になればと、私の過去のしくじりをもとにした「マネージャーになる前に知っておけばよかった4つのこと」をまとめています、少しでも皆様のお力になれると幸いです。
1.プレイングマネージャーは通過点ではなく上級職
初めてマネージャーをやるときに、「まずはプレイングマネージャーから始めよう」と考えていた時がありましたが、これは明確な失敗でした。
プレイングとマネジメントの双方をそれぞれ50%の時間で高い成果を出すことは非常に難しいです。
なぜなら短い時間で成果を出すためには、行動の「質を上げる」か「優先順位を正しくつける」しかないのですが、はじめてのマネジメントでトライアンドエラーを繰り返して成長していく過程と明確に矛盾します。
そうなると結果的に物理的な時間(残業)を増やすしかなくなり、疲弊していくことになります。
ゲーム的に例えると通常、回復魔法も攻撃魔法も両方使える賢者になるためには魔法使いと僧侶をそれぞれ極めなければなりません。
最初からなれるのは赤魔道士だけで、赤魔道士はいずれキャリアがどこかで限界になってしまいます。
たまーに遊び人から賢者になる人がいますが、そういう天才は真似しようとしても無駄なので気をつけてください。
2.事前に「基礎知識」はちゃんと勉強しておく
マネジメント能力はすべてが経験によって形作られるものだと錯覚しがちでしたが、全くそんな事はありません。
もちろん経験がものを言う範囲も多いですが、デザイナーで言う「Photoshopの使い方」のような基礎知識は自学自習していく必要があります。
基礎知識を入手するために「はじめに読んでおけば良かった、、!」と後悔している書籍がこちらです。
■人事・労務の基礎知識
マネージャー担ったときに初めて直面する未知の業務のひとつが「人事」です。人事異動の「内示」と「発令」の違いや、うつ病に罹患した社員への対応など人事担当者の基礎知識が学べます
■組織論の基礎知識
マネジメントとは、組織を作ることです。では組織デザインの種別はどんな物があるのでしょうか?人材マネジメントの定石とは?デザインに限定しない汎用的な組織論がこの本で学べます。
■システムシンキング
マネジメントの肝は、そこに所属する人々のコミュニケーションのデザインです。組織で起こる課題の多くは、その構造(システム)によって解決できます。
システムシンキングとは、それらを「関係性と相互作用」によって理解する思考技術です。
すべての内容を暗記する必要はありませんが、困ったときの選択肢としてこれらの知識を逆引きできるようにしておいたほうがいいでしょう。
例えばPhotoshopのマスク機能を知らなければ、全て消しゴムで切り抜くことになり非常に効率が悪いです。
これらの基礎知識がないと、「マスク機能」を調べようとしないままずっと消しゴムで無駄な時間をかけ続けることになります。
3.メンターは自分で見つけておく
マネージャーになると突然メンターがいなくなることが多いです。
デザイナーになるときは当たり前にあった「見習い期間」や「師弟制度」が無く、いきなり最初から「一人前のマネージャー」であることを求められます。
昨日までのプレイヤーとしての仕事と180度違う能力を求められ、いきなり新しい領域での成果を出さなければなりません。
これはマネジメントが「役割」ではなく給与上のグレードに定義されている事が多い日本企業の人事システムのバグである気がしているのですが、
そこに文句を言っても仕方ない面があるので、当面は己の力で立ち向かわなければなりません。
そのような状態で、必要なのは「メンターを自分で巻き込む力」です。
自分に必要なメンターは自分で見つけて、自分で協力を取り付ける必要があります。
また、このポジションになると必要なスキルの種類が幅広いため、自分と全く同じ仕事を担当している完全な上位互換となる先輩はなかなか見つけることはできません。
そのようなときは多様なエキスパート数人と信頼関係を構築し、困り事によって相談相手を分けるのが良いと思います。
4.笑顔であれる心の余裕を持つ
マネージャーの先輩からアドバイスをいただいて、今でも強く心に残っているのが「マネージャーは笑顔になれないなら会社に来るべきではない」という言葉です。
笑顔が作れる状態というのは「心に余裕がある状態」ということです。
マネジメントの仕事は人の心のマイナス面に触れがちな仕事です。時にはそれらのマイナスをプラスに転換していくことが成果に結びつくのですが、
まれに、人のマイナス面に触れすぎてマネージャー本人がマイナスの発生源になっている状態をよく見かけます。
時には厳しいことを言わなければいけない瞬間もあるかもしれませんが、必ず懐に「笑顔」というカードを保持しておくことが大事です。
マネージャーの心が病むと組織の心が病んでしまいます、マネジメントの仕事は一緒に働くメンバーとの"掛け算"です。
あなたの笑顔に後押しされたメンバーが出すパフォーマンスは、あなたが一人で必死に出すパフォーマンスを遥かに上回ります。
掛け算を作り出すマネージャーは常に笑顔を作れる余裕を持つべきです。
彼の魅惑的な微笑みは、
彼の人柄をつくり上げる最も素晴らしい要素なのである。
動作は言葉よりも雄弁である
D・カーネギー. 人を動かす
まとめ.マネジメントは組織のUXデザイン
私は以前、「プレイングマネージャー」を目指すものの、マネジメントの「基礎知識がない」ために様々な問題に無駄に時間をかけ、「相談相手をつくらず」ひとりで抱え込んだ結果、「笑顔が消え」結果的にチームの厄災そのものになるという痛い失敗をしました...。
私がもう一度人生をやり直して同じキャリアを進むなら上記の4つをかならず大切にするでしょう。
最後に私が学んだ一番のことは
"マネジメントはポジションではなくスキル(職能)である"ということです、
デザイナーと同じように、マネージャーは組織デザインのエキスパートであると言えると思っています。
いつか”組織のUXデザイン”をするUXデザイナーのエキスパートとしてマネジメントが語れる日が来ると嬉しいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?