【はじめてのヘアドネ】4年伸ばした髪の毛をバッサリ切った話
年始にバッサリ散髪した。
切った長さは30㎝オーバー。我が人生において一番の収穫量ならぬ収毛量である。
『ヘアドネーションする』ことを目的にロングヘアを目指した4年。切ってしまえばあっという間だが、なかなかに気付きの多い日々だった。
一種の節目、せっかくなので筆でも走らせてみる。
ヘアドネーションとは
近年ではある程度名が知れてきた「ヘアドネーション」という活動だが、改めてどういったものかまとめてみた。
髪の毛を寄付する際の要件としては、
31㎝以上の長さがあること
髪の毛が完全に乾いていること
切り口を輪ゴムでしっかりまとめていること
髪の束は同一人物ごとにまとめていること
などが主に挙げられるが、特に我々が意識しなければならないのが『①31㎝以上の長さ要件』だろう。
髪の毛を伸ばすつらさ・たのしさ
小学校では母お手製のショートカット、中学校ではバリバリ女子バレー部ベリーショート、厨二病をこじらせた高校時代で姫系ロング(キチィ)、ひとり暮らしを始めた大学時代でバッサリショート、と人生の2/3以上をショートカットで過ごしてきた筆者である。お尻に届くほど髪の毛というものが伸びるとはにわかに信じがたかった。しかし、ヤツは伸びた。四年の歳月を持ってして。
髪の毛にまつわる「はじめまして」な出来事が次々と起こったこの4年、嬉しかったこと面倒だったことを記念に記しておこう。
人に褒めてもらえる
これが一番印象的だった。ま〜〜あ、とにかく褒めてもらえる。特に女性陣から。モチベーションにもなったし、やはり伸ばすことの大変さを知っているのも女性の方が多いのだということを実感した。褒めてくださった皆様、ありがとうございました!! 無事ここまで辿り着きました。
かんざしが最高
筆者にはしゃれっ気がないため、あまり髪飾りを付けたりヘアアレンジをしたりしない。その中で唯一、かんざしだけはフル活用しその恩恵に授かっていた。
暑い季節にロングヘアは結ぶ以外の選択肢がない。だが、ただ結っただけだとブランブラン尻尾のように邪魔に感じるときがある、そんなときにかんざしだ。ザクッと刺してサクッとやれば(細かい使い方は割愛)ほら簡単! いとも容易く和風お団子アレンジの完成だ。
風呂への腰が重くなる
ただ面倒なことも多かった。シャンプーやリンスの消費量は倍になるし、なんせ髪が乾かない。これらの要素を総合して、とにかく風呂に入るのが億劫になってしまった。「温泉や銭湯があれだけ大好きな人間だったはずなのに、なぜこうも体が動かない…!?」と、自身の性格が変わってしまったのかと驚愕したこともあった。肩甲骨より髪の毛が長くなると、人間は風呂が面倒になる。これは声を大にして言いたい。
これを読んでいる読者の中には、家族にロングヘアの人間がいるかもしれない。その人が仮に風呂を面倒くさがっていても、それはその人が不潔な性格をしているのではなくロングヘアがそうさせている、という可能性も考えてあげてほしい。髪の毛は取り扱いが何かと面倒なのだ。いいのさ、1日〜2日風呂に入らなくったって、大丈夫さ。いまはドライシャンプーもあるし、君は髪の毛と向き合っててえらいよ、と余裕のひとつやふたつ見せてあげてほしい。
結局アレンジをしない
例えば、高校時代にはレディガガが地髪で「リボンヘア」をしていたのをセンセーショナルに感じた。そう、スーパーロングほど長さがあれば、何の髪型だってできる。月野うさぎにもなれるし、春風どれみにだってなれるし、暁美ほむらにもなれる。最高じゃあないっすかァ。
……と思っていた時期が私にもありました。結局、なぁんにもしましぇ〜ん。
朝、起床。ヘアミルクとオイルを塗り、くしで整え、一本結びもしくはお団子(or かんざし)、以上。ロングヘアが日常になると凝ったことをしない。短かったら、あれやりたいこれやりたいの嵐だが、あればなにもやらない。人間って怠惰なものですね。そんなもんですよ。
三十路の節目に、いざ散髪
昨年の秋冬には要件を満たす長さにはなっており、いつでも切れるぜとエンジンをブンブンと空だきしている状態が続いていたのだが、周りの人にあまりにもロングを褒めてもらえるものだから、「えっ、そんなに良いんですかね、てへ(照)」と、少々もったいないような感情も芽生え始めていた。
だが、冬場の風呂があまりにも面倒で、髪の毛を乾かせば瞬く間に手足が冷える。こうなってしまえば、優先度はビジュアル<<<<実用性だ。切ってサッパリとしてしまおう、せっかくなら節目のタイミングでばっさりと。
年末年始をのんびりと過ごしながら、いまが散髪に最適なタイミングなのではと気付く。昨年秋に30歳を迎え、1年のはじまりを見届けた。ならば今だろう。
おそらくこのタイミングで切れば、細かい年月を忘れたとしても「ばあちゃんは30歳の正月に散髪をしたんだわ」と語れるに違いない。
それくらい印象的な時期でないと全てが忘却の彼方へ去ってしまう。それくらい自分の記憶力を信用していない。
となれば善は急げだ。ホットペッパービューティーを開き、予約の空き状況を確認。最速で行ける日時を指定し、美容院へ向かった。ペンギンのように悠々自適に生きている普段の私の姿からは想像つかない行動力だった。
美容院当日はさすがに、少し名残惜しい気持ちが芽生えるかと思っていたが、そのようなことは一切なく「ああ〜、早くサッパリして気ままにお風呂入りたいわね」とニヤけが止まらない。
美容院に入るなり、「シャッス、今日はヘアドネしにきました! ばっさりお願いします。あとはお任せで!!!」
と運動部員ばりの気合いで着席し、あとは身を委ねる。ここからはもう何もできない。私の育毛もこれにて終了。めでたく卒業である。
……と、他力本願で椅子に座っていたところ、ブロッキングして髪の毛を結び終えた美容師さんよりハサミを渡される。もしかして……これって!!
「じゃあ最初はご自身で切って頂いて」
うおおおおおお!!!!!!!これって引退力士の断髪式じゃないのアナタ!!!!!
脳裏に浮かんだのは昨年熱を上げて視聴したNetflix『聖域-サンクチュアリ-』の某シーン。涙なくして見られない断髪式を思い出し、どうしてだかグッと熱い感情が込み上げた。いくぞいくぞ!!
うわあああああ!!! 収穫したぞ〜!!!
「ロングヘアを保つ」というのが一種の継続的な努力だということを知れた4年間だった。毎日のヘアケアから湯冷め地獄、静電気の悪夢、無限切れ毛・枝毛の処理……思い返せば、結構大変だった。それでも伸ばせたのは「似合ってるね」の褒め言葉や、ヘアドネという目標があったからだ。
これにて一旦終了。教え子を送り出すように晴れ晴れしい気持ちで、タオルに包まれ保管される自毛を見守った。
切りました
そして新たに生まれ変わった筆者なのであった。
良い!日常生活を送る上で、最適な長さよコレ!!
険しい4年を経た毛先は、ほぼズタボロ状態だった。それらが全て一新されフレッシュな頭髪になったことを自覚する。首を振れば、髪の毛がふわぁふわぁっと揺れ動く。これまた雅なものではないか。
はじめてヘアドネをして思ったこと
子どもたちを救いたい、何か人の役に立ちたい、さまざまな想いから人はヘアドネーションという手段に辿り着くのだろう。
私は立派な人間ではないので、「なんとなく」がきっかけだった。知人や友人、家族がやっていたから、なんとなく。はじまりはそれだった。
だが、伸ばしている間に家族が病気を患い、闘病生活を目の当たりにした。気付けば伸びてくる髪の毛が当たり前ではないことを知った。わたしのヘアドネーションはそのくらいの頃から、理由から目的へと姿を変えていった。
「みんなヘアドネした方がいい」とは言わないし、思わない。それは個人の自由だし、誰もが自分の好きな自分の姿でいてほしいからだ。だが、大きな転換点に直面したときに、こういう手段があるということを知っておくと、大きな支えになる。決して近しい人間を直接救えなくても、誰かを手助けできるかもしれない、という祈りにも近い思いが自分自身に役割を与えてくれるからだ。
それは日々に淡々と生きる力だったりする。大したことができなくてもいい、わかめや昆布など海藻類を食し、たくさん寝る。泣きながらでもいい。髪の毛製造機として生活することが、自身を活かしてくれることだってある。
だから、わたしはヘアドネーションをやってよかったと心から想う。
ヘアドネーション用に伸ばしている方への知恵袋(ここはお手紙調)
乾かすの大変ですよね、わかります。
切れ毛・枝毛祭りですよね、わかります。
飲んでるのか?と思うレベルでシャンプーが減りますよね、わかります。
せっかくここまで着たから、あと少し。だいじょうぶ、手を掛けて伸ばした髪の毛は、とてもきれいです。
何かの助けになれば、とヘアドネを考えている方へわたしの得た経験を記しておきます。
ヘアドネーションをしている美容院の探し方|わたしの場合
伸ばし始めた初期にSNS等で「ヘアドネをしようかな」と呟いたところ、知らないアカウントからDMで「うちで切りませんか?」のようなメッセージが何通か届いてちょっとした恐怖を感じた。
無償の活動ではあるが、突然はじめましての方から連絡をもらうと少々怖いものがある。決して悪意があった訳ではないと思うが、やはり切ってもらうなら慣れ親しんだ美容師さんや、知人が切ってもらっている美容室が安心だ。
それ以来、ネット上ではヘアドネを口外せずに既にヘアドネをした友人にサロンを聞いたり、美容師の知人に詳細を尋ねたり、密かに草の根運動を執り行った。
せっかく切って、送ってもらうのなら、信頼できる人にやっていただきたい。結果として何カ所も良いサロンさんと巡り会えました、本当にありがとうございました!! 協力いただいた皆様、ありがとうございました!!
そのため私は、もしヘアドネーションをするなら知人・友人に聞いたり、美容師さんに相談したりすることをおすすめしたい。もちろんネットで情報収集もできるし、各団体のサイトには協力美容院一覧が掲載されていたりする。
大切な髪の毛だ。せっかく届けるのなら、安心してお願いできるサロンを探すのも大きな第一歩なのだな、と身をもって痛感した。
ありがとうありがとう。ロング期に役立ったアイテムたち
■オルビス「エッセンスインヘアミルク」
プラザやロフトなどで購入できるヘアミルク。これが凄い。価格に対するパフォーマンスにビックリ仰天した。タオルドライ後、コレを塗り乾かす。それだけで上質なトリートメントをしたかのようにまとまる。ロング期には手放せなかったが、ショートになった今でも重宝している。とてもおすすめ。
■スリーコインズ「ヘアドライキャップ」
君がいなければ、冬場のお風呂は太刀打ちできなかった。100均等でも類似商品はあるが、吸水性はこれがピカイチ。風呂上がりにサッと巻いてある程度放置すればドライヤー時間を短縮できる。毛先から水が落ちることもないので、体を拭くのも簡単。
ただ、半乾きにするとすぐに嫌な臭いが発生するため、いくつか持っているのが吉。
■スリーコインズ「ヘアドライヤークリップ」
『2023年あんたはエライ大賞(我が家オリジナル)』受賞アイテム。髪の毛を乾かすときに両手がフリーになる、これが何を意味しているか分かりますか──頭髪乾燥爆裂短時間化ですよ。それがたったの500円で手に入る……すごい時代になったもんですね。
などと、胡散臭い謀叛人のようになってしまったが、これはまさに革命的商品なので全人類が購入してもよいと思う。
以上、この情報がどこかの誰かを手助けすることになったら嬉しいな。ならなくても、近い未来の自分への備忘録として。