そんなことはわかっている
そんなことはわかっている
ぼくが
心からこの世に馴染めず
いやな顔をして歩いていたら
あの人は
きっとぼくを見て
だまって悲しい顔をするのだ
悲しい顔を
させてしまう
それが憂鬱で
まったくよくなかった
あの人が
悲しい顔をするのはまったくよくなかった
でも
何のイメージもつかめない
窓ガラスにもメガネにも
水滴がまとわりついてよく曇る
駅前のぼこぼこした歩道を
ふらふら歩いて
一方通行の標識にぶつかった
痛くて
腹が立った
戻るな、進め
って
そんなことはわかっている
そんなことはわかっている
#詩 #のようなもの