2024.9.18(仮)




考えることは好き
気づけてる自分は少しえらい

でも考えたことはつまらない
高架線下の住宅街

タブレットで摂取するエンタメが
自分の心を軽く超えてしまう

感想書けばすらすらって綺麗事
傷ついた自分を認められもしない

きょうは気分を変えたくて

網膜が赤く焼きつくまで
気力も全部なくなるまで
セイウチの動画ばっか観てた

受信した日時はどれも3年も前で
今さら観てやっぱ後悔する

そりゃあ
友達は大事さ

「もっと早く教えてくれよ」とか
思ってないよ

生きる勇気と知恵をくれるのは
いつだって 友達という存在だったし

友達の多いやつが
主人公に決まってる

でも湊線のレトロ列車は
遅れる本線の到着を待ってから
すれ違って ひとり海へ向かう

自閉的なやつって大抵
「かわいそう」か
「いやなやつ」の枠

「動く」のは主人公の役目
自分は「動かされた」時にだけ観測される

ストーリー上の意図
見え隠れしている月

日立エレベーターのタワー
東海村の煙突 銀色の煙

「諦めた大人は苦労しててえらいよ」
「自分への執着は捨てな」って

そうか
みんな3年前には知ってたんだ
俺 知らなかった
ばかみたいだ

「知ってゆくのは、苦労の連続さ」
「知らないままでいるのも結局それはそれで幸せだろ?」

通ってるカウンセラーが憐れんでくる声
でかい夢オチであれよ

「等身大で居なさい」ってさ
わけわかんないよね

「おとなしく電波受けるだけにしとけ」
「それ以上のことすんな」って意味なのかな

こどものころから
かわらない

久慈浜の漁船
大みかの賢そうな制服

考えることは好き
でも意味なんてないのかな

こっちは身体すらないのに一体
「等身大」って
何の大きさに合わせてまた夢中で
膨らんだり縮んだりしなきゃいけない

まどろむ林 カエルの声
闇に溶けて海面も見えない常陸多賀

前の町も 次の町も
銀河みたいに遠くに離れてる

町と町のあいだの闇は
溺れそうなほど広くて
ほうりだされたら助かる気はしない

かみね山
星をとざす

列車だけが
夜の道を知ってる

星間連絡線

それは頼もしいけど
不思議でもある

友達でも
家族でもない
列車に
身を委ねて

いやな気持ちを抱えこむ
修行場

くたびれたお姉さん
しわしわのスーツのおじさん

そう
最後はきっとさ

何も知らないものに
委ねさせられる
眠っているうちに動かされる

何も考えない者を
運んでく

なら考えなんていらない?

もうすぐ日立の駅

こだわる自分は
確かに今は嫌い

考えてる自分が好き

東にのぼる月
夜風吹き上がる海岸口

西にまわれば
プラネタリウム


#詩 #のようなもの