冬の夜はいつもココアに懺悔してる。




眠る気の失せる冬の夜
明日なんてなくて
損なわれてゆく自分への興味も薄れてる

ただ覚えてるだけの力で
テーブルの物と言葉をどけて
ココア
ひとつの夜を生きる栄養


深い霧が出だした
迷う人たちは言葉に使役されていた
言葉は
なんでもわかっているお父さんみたいに
立ち並んで
迷う人たちを粉雪みたく
かるがると隅へまとめる

秋には体面を作れていた日記書きたちも
自問自答を隠せなくなって
過去の日付に
カッターを入れだす

それは毎年来て
毎年誰かが書き留めている

なのに僕らは救われない



先月
道端で座り込んでるおじいさんを助けた
これはほんとう

助けて欲しそうな表情をしてなかった
ただ疲れて休んでるみたいだった
だから1回通り過ぎた

でも声を掛けたら
絶対救わなきゃいけないおじいさんだった

あの表情って
いま思うと
1度全部諦めた無力感だったのじゃないかなって

人も通る街の中で
僕も
「誰の助けももう要りません」みたいな
ものすごく無力な顔をしているのかな
って

そんなことがあって

自分を救わなきゃいけないと
思う



  ココアを信じよ
  祈りを込めて
  お湯を注いでよくまぜよ
  さすれば救われん

考えてる?

明日のきみは
まだ存在するかどうかわからない

でもきみは
明日のきみが存在する可能性のほうに
これまで毎夜賭けてきたんだ

これからも
明日のきみを救わねばならない

身体を温める物理的な温度
閉じた心を貫通する糖分に
直接的すぎる救いをもとめながら

冬の夜はいつもココアに懺悔してる

寝る
ココア飲んでラジオ聴いて寝る




#詩 #のようなもの