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「でっかい主語」は人を狂わせる。シタンダリンタ監督の新作映画『ケース・バイ・ケース』が描く、1.2m以内の恐怖。【未校了】

新進気鋭の若手映画監督、シタンダリンダ氏の最新作『ケース・バイ・ケース』を観に行った。同氏とは数年前からのお付き合いで、幼少期から音楽・映画に心酔しているらしい。どっぷり文化に浸かりきった人生とは裏腹に、彼は仕方がないほど明るく、いるだけでパチっと電気をつけたように空気が光り出す。同時にデシベル数も一気に上げるものだから、彼の周りはいつも10代女子のようなエネルギーと騒音を生み出している。

私と世代は違えど、彼の映画愛は尊敬に値するものだ。単純な知識量もさることながら、気に入った映画があれば台詞を覚えるほど見返す。時折私は映画館で上映された作品をえらく感動して、「あれ観た?」とテキストメッセージの残すと、いつも「これから3回目みにいきます!」とyes/noよりも先に鑑賞回数が返ってくる。もちろん感想戦をやり合うこともあるが、「面白かった?」に対して「n回目です!」という返信をする人間はそうそういないだろう。

彼の作品の醍醐味は、共通して人間関係の難しさを描き切ることにある。普通に暮らす私たちの生活のちょっとした不満や情景を会話に入れ込んで、ある種のあるあるを描きながらも、言葉にできなかった靄に近い感情を、映像や音楽、そして巧みな脚本を以て表現する。しかし、物語の最後は爽快さを感じるシーンが入るおかげで、スタッフロールが終わると心はいつも晴れやかであった。すべての作品を観たわけではないが、彼の好きな映画監督から察するに、もしかしたら意識しているのかもしれない。

本作品の「ケース・バイ・ケース」は、数々の作品を撮りまくっているシタンダリンタ監督初のホラー映画だ。ジャンプスケアを用いたホラーや生々しいスプラッターとは違い、お家芸とも言える人と人との関係、本音と建前、それらからなる勝手な思い込みを巧みに表現し、人間自身の怖さを存分に描いた全く新しい作品であった。


■あらすじ
高校からの友人同士でYouTuber活動を行う4人の若者たち。再生数が伸びない中、彼らは心霊スポットへ行き動画制作することを決める。しかし土壇場で、実際の心霊スポットへ行くことに億劫になった彼らはたまたま見つけたただの裏山を心霊スポットに見立てて撮影を行う。当たり前に何も起きず帰宅し、動画を投稿した彼らだったが、ある日その裏山が想像以上の“ヤバい”心霊スポットだという事実を知らされる。やがて彼らの日々に現れ始める恐怖。しかし裏山の噂は、友人が彼らへの嫌悪感(はたまた嫉妬心)ででっち上げた些細な嘘でしかなかった……
思ったよりも奥が深すぎる裏山、謎の発熱、白い布の暗示、止まない非通知電話、何かがおかしい新居、止まらない死の連鎖。他人のついた些細な嘘が、彼らの潜在的な恐怖心を呼び起こしては、抗いようのない想像以上の恐怖が襲いかかろうとしていた───

©case-by-case


十数編のプロローグと、本章、終章の3部で構成された本作品は、


【9/11追記】
前段は9/1、20:30頃、喫茶店で書き殴ったもの。仕事が終わるとすぐにオンラインゲームに取り掛かるせいで、全く文章が書けていないことに筆者自身が腹を立て、途中経過をアップして強制的に続きを書かせるために投稿したものです。続報をお待ちくださいすみません


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