
本当は難しいゆるい場づくり(場数の踏み方)
ゆるい場が大流行りしていますが、「ゆるい場」と「準備不足の場」は違います。場づくりの力は最後は場数で決まりますが、成功も失敗もないような場づくりは場数に入りません。求める現実に近づけないということです。
「ゆるい」は別に正義じゃない
「ゆるゆるとやってます」
「もうほんとゆるい場なんです」
謙遜しているような言い方ですが、大抵みんな嬉しそうにしています。ゆるい場を肯定的にとらえているからです。
「ゆるい場」批判を繰り広げるぞ! という感じの書き出しになってしまいましたが、最初に種明かしをすると、僕はゆるい場が大好きです。でも、場づくりのプロとして言うと、多くの場合、「ゆるい場」と「準備不足の場」の区別がついていないようなのです。
本当は上級者向けのゆるい場づくり
ゆるい場をつくるのって、難しいんです。
ゆるさ、自由さが保障されていて、新しい流れが起こってきても、場としてのアイデンティティを失わずに臨機応変な対応が出来る。それどころが、「その場で湧き起こってきた流れ」という最終的な要素をリアルタイムに取り込みながらダイナミックに変化していき、事前の予定をなぞるだけでは決して辿り着けない隠れていた価値を体現してしまう──ゆるい場って、本当はそういうことなんです。
簡単なのはガチガチに形式的で、予定通りにきっちり進める場です。
ゆるい場をつくるには、まずガチガチにネジをしめて場を組み立てて、その後で不要なところ、ゆるめた方が創造的展開がありそうなところをゆるめていきます。でも「この柱は邪魔だから切っちゃおう!」なんて考えなしにやると、場そのものが崩壊してしまいます。この加減が分からないと、本当はゆるめたくてもゆるめられないのです。
だから本当は、「ガチガチ」が出来ないうちは「ゆるゆる」は無理なのです。
成功も失敗もないのは自分不在だから
なんでもやたらとポジティヴに受け止める場づくりも、場数に入りません。
「そうですね、きょうは予定していたことは全然出来なかったんだけど(お約束の笑い声)、うん、でもそういう流れだったのかなって感じてます」
みたいなスカしたことを言っていても、(別にいっこうに構いませんが)場数には入りませんし、1ミリも成長出来ません。本当です。
すべてのポジティヴに受け止める態度って素晴らしく見えるかもしれませんが、実はもともと成功も失敗もない場づくりをしているんです。だから、失敗して傷つくということがない。自分不在なだけなのです。
自分の実感を大切にやっていこう
成功も失敗もしない場なんて、本当はぜんぜん楽しくないはずなんです。
みんなで楽しいふり、意味のあるふり、今日はやっぱりやってよかったふりをし続けないと、その場の無意味さや虚しさが露呈するので、こういう場ってみんなやたらとニコニコしていたりするものです。
でも、本当は気付いているはずです。
「こんなの、つまんないな」
「こんなの、意味ないよね」
あなたの実感がそう告げているなら、それがあなたにとっての正解です。
周囲の人がどんなに「今日この場に出会えて本当によかった」とか「ご縁に感謝します」とか言っていても惑わされず、自分の実感を尊重してください。だって、あなたの実感はあなたにしか尊重出来ないのですから…。
場づくりの力をつけたい人へ
とりあえず基本を学んだら、100%以上くらいのつもりで準備をして、体調を整えて、当日に臨んでください。
事前に出来ることは、全て事前に済ませてください。準備をしているチーム内で、事前に話し合えること、事前に伝えられる懸念、事前に完了出来る作業、すべて事前にやってください。
原則として、うまくいかない原因は、「当日の場」ではなく、すべて「準備の場」にあると考えてください。世の中のうまくいっていない場のうまくいっていない原因は、ほとんど全て「準備不足」です。
でも、そうして準備をして臨めば、成功した時だけでなく、たとえ失敗しても場数になり、後の場の豊かさに変わります。本当ですよ。成功した場と失敗した場の価値は、しばらく時間が経過すると同じになるんです。
その頃には、もう場づくりの力や自分を信じる力がついたことに気づいているはずです。
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