ロールモデルは合法的な薬
高校の一時、「BUMP OF CHICKEN以外聴けない」というくらいバンプにハマった。
他の音楽を、曲の最後まで聴けないのだ。(というかサビに行くまでも無理だった)(失礼)
最後まで聴けるのはバンプだけ。
それくらい熱狂していた。
あれは何でだったんだろう…と思う。
リスナーの痛みに寄り添う歌詞、音楽構成の巧みさ、理由は色々あったと思うけど今思い返せば大きな理由が1つあった。
剣道部だったからだ。
もう少し詳細に言うと、男子の先輩ばかりの剣道部にいたからだ。
進学校に入学し、出だし早々勉強に躓いた私にとって、剣道は私を保つアイデンティティたった。
元々小柄で吹っ飛ばされやすく苦労したが、剣道に懸けていれば自分は存在していいのだと自分で自分を認められた。
それでも体力的に辛くて辞めたくなる時、「先輩の姿」は私にとって剣道部に留まらせる理由だった。
「やっぱりあんな風になりたい!」
そんな思いが私を引き留めた。
そうやって男の人をロールモデルにした私は、音楽も次第に男性グループを聴くようになったのかもしれない。
生き抜く力を励ますバンプの歌は、先輩と同じく私を励ます大切な道標だった。
結果、微々たるものだがチームに貢献できたりちょっとだけ強くなれたりしたこの部活の経験は、今の私を構成する大切な要素になっている。
ロールモデルを追う幸せは活力になると思う。
生きづらさを感じて辛い時、ロールモデルを見つけてその人を目指して何かしらに懸けるといいのかもしれない。
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ここまでが数年前の日記だ。
ロールモデルって人を救う素敵な薬だ。
でも、ロールモデルがすぐに見つかるわけじゃない。
周りが悪いなんてことではなくて、人はそれぞれ違う価値観を持っているから、考え方が合わないことだってたくさんある。
その時々の背景で取った反応や選択が偶然作り出したイメージでその人を認識することになるから、もしかしたらロールモデルにしたい部分に気づいていないだけかもしれない。
今の会社に入社して、ロールモデルとなる先輩、役員の方を4人見つけた。
4人とも辞めた。(最近人が辞めた話ばかりですね)
でも、私は意欲的に仕事ができた。
あら、私いつの間にかロールモデルがいなくても生き生き働けるんじゃない。やるう〜なんて思った。少し自律した大人になった感じがして誇らしくなった。
「こうありたい」だけじゃなくて、心からの「これがしたい」が生まれているような気がした。
けれど、久しぶりにその方々と話した時、やっぱりモチベーションはかなり上がった。少なくとも当社比5倍は上がった。
人に依存している子どもの私を感じた。ちょっとほっとした。
ロールモデルは私にとっては合法的な薬だ。
今の私にはなくても前に進んでいけるけど、時と場合によって依存しすぎない程度に頼らせていただきたい。