海の匂いが変わる瞬間。
原付でゆく北海道の旅10日目。AM6:30起床。クッチャロ湖のそばに立てたペラペラのテントで10時間も眠っていた。
腹ペコだったのでセコマでエビラーメンを買って、近くの公園で食べる。キャンプ場に戻って、湖のほとりで蔵生(旭川のなまらうまいクッキー)をむしゃむしゃ。贅沢な朝だ。
▼前回までのあらすじ
これぞ北海道!地平線へと続くエサヌカ線
お腹が満たされたので、いざ出発。今日はよく晴れている。クッチャロ湖を出て、向かうはエサヌカ線。エサヌカ線とは、猿払村にあるひたすらまっすぐに伸びる道路。全長16kmで、クランクは2つのみ。どこまでも続くような直線を気持ちよく走れるとして、ライダーに人気のツーリングロードだ。
周りは牧草地帯で見晴らしが良く、まっすぐな道路は不思議なことに、遠くの道が空に溶けているように見える。道があるはずの場所が空の色をしているのだ。
なんとも不思議な現象。理科の授業をしっかり受けていれば、これがなぜ起こっているのか分かったのだろうか。大人になってから「もう少し真面目に授業を受けておけばよかった」と思うことが多い。特に理科と社会。しかし数学のサイン・コサイン・タンジェントは未だに必要性が分からない。あれやっぱ要らなかったよね?
↑筆者撮影。
雲一つない空の下を地平線に向かって駆け抜けていく。道がまっすぐにどこまでも続いている。これが北海道だ。
「海の匂い」から「潮の香り」に変わる瞬間
そういえば、いつの間にか「におい」が変わっていることに気が付いた。根室のライダーハウスで出会った大学生の言葉を思い出す。
「北海道は、途中で海のにおいが変わるんですよ」
またまたぁ。そんなこと。と言いつつそれを楽しみに走っていた。彼の言う通り、猿払を抜けたあたりでにおいが変わった。
どう変わったのか、言い表すのは難しい。においに重さがあるなら、それは軽くなった。なんというか、「海の匂い」から「潮の香り」になった。これは彼の解釈(嗅覚)と同じなのだろうか、はたまた全く違うのだろうか。いつかまた会えたらお礼を告げて、においの違いについて語り合いたい。
右手に海、左手に草原を望みながら、北へ北へと向かう。この小さな原付は、もうすぐ日本の最北端に到達する。
ついに日本最北端の宗谷岬へ
海沿いをトコトコと走り、ついに日本の最北端・宗谷岬に到着。この50ccのリトルカブも、まさかこんなところまで連れてこられるとは思わなかっただろう。
実は今年1月にも宗谷岬に来ていて、その時は吹雪でなーーにも見えなかった。目の前すら見えなかった。
今日の空は青く澄み渡っていて、遠くに樺太(サハリン)が見えた。昔はあの島に日本人が居たんだなぁ。
キタキツネにガン無視される
宗谷岬を背にして道路を渡り、少し登ると宗谷岬公園があり、そこから絶景で有名なツーリングロード「白い道」に行ける。
白い道に行くまでの道も、遠くに海と草原が見えたり、牛やキツネと遭遇したりと北海道感たっぷり。
道路の真ん中をのんびり歩くキツネに遭遇した時の動画。声をかけたがガン無視された。
まるで天国!白い道を駆け抜けて
しばらく坂を上って、白い道に到着!うぉ~~眩しいほどに白い!!どこまでも草原が広がっていて、遠くで風車がゆっくりと回っていて、なんだか外国のような景色だ。スイスとかってこんな感じなのかな。
実はこの白い道、ホタテの貝殻が敷き詰められてできていて、歩くと少しふかふかしたような柔らかい感触が楽しめる。近づいてみるとちゃんと貝殻の模様が見えてメルヘンチック。走りにくいのかな~と思っていたけど、リトルカブでもハンドルを取られることなく快適に走れた。
北海道の良いところは、こんなに素敵なツーリングロードでもそれほど混んでいなくて安心して走れるところだ。ゆっくりトコトコ、景色を眺めながらマイペースにツーリングが楽しめる道が多い。良い景色に出会ったら、停車して写真を撮ることもできる(後方確認忘れずにね)。
空の青と、草原の緑と、貝の白。美しいコントラストに感動しながら、北海道の乾いた風を浴びてゆっくりと走ってゆく。
海が見える白くて高いこの道は、まるで天国のようだった。