TOKYOを駆ける
2024年10月20日(日)、東京レガシーハーフマラソン2024に出場した。
1年ほど前からランニングを始めたのだが、その頃から出たかった大会、楽しかったのでせっかくなら気持ちを文字に残しておきたくなった。
東京レガシーハーフマラソン。国立競技場から四谷、後楽園、神田、日本橋など"THE TOKYO"といった地を駆ける21kmの走路。
マラソン競技に疎い方に対しては、「東京マラソンのハーフ版」という説明が最も簡単であろうと思う。おそらく、日本で最も大規模なハーフマラソンだ。
私が今回の大会に申し込んだのは5月のこと、そして抽選の末に出場が決まったのは6月のこと。
この時点での私の目標は、自己ベスト(1時間48分30秒)更新、あわよくば1時間45分切りだった。
しかし、6月後半から2ヶ月程度、私は大きく体調を崩し、走るどころか歩くのもやっと、調子が悪い日はベッドから起き上がれない、といった状態がしばらく続いた(そんな状態だったので、noteの更新も疎かになった)。
出場も半ば諦めていたが、徐々に快方に向かいなんとか出場することができた。
「スタートできたら100点、ゴールできたら120点」と自分を甘やかしてレース前の数日を過ごした。(前述の体調不良とは関係なくレース1週間前に風邪もひいたので。)
今シーズンのレースシューズは、asicsのマジックスピード4に決めた。
走力も徐々についてきたので、カーボンプレート入りシューズを使ってみたくなったこと。その中でもクッション性が高いこと。バレーボール男子日本代表がオリンピックでこの蛍光イエローのシューズを履いていて、カッコいいと思ったこと。それらが決め手である。
デフォルトは靴紐も蛍光イエローなのだが、オレンジに着け替えるカスタムを施した。こっちの方がイカしてるから。
そんな状態で迎えた当日。6:45頃の国立競技場は、すでに大勢の人で溢れ返っていた。
真剣な表情でアップをするシリアスランナー、会社の集まりのような楽しげなランナー。海外のランナーも少なくなく、多言語がそこかしこから聞こえた。
この日は15,000人のランナーが日本の首都・東京を駆ける。
私は最初の2kmくらいで身体が温まればいいやと、どら焼きを食べながら簡単なストレッチをするのみに留めた。
the peggiesの『足跡』を聴きながら気持ちを上げた。最近ヒロアカにハマっているので、自分もヒーロー気分になりたくて。
とにかく人が多い。ボランティアの方々の「頑張ってください!」という声とランナーたちの熱気に押されながら、整列へと向かい、あれよあれよという間に8:05のスタートを迎えた。
スタート直後からゴールまで、沿道の声援が途切れることがなかった。それだけでない、周囲にも常にランナーがいた。とにかく、孤独ではないと常々感じさせられる21kmの道程であった。
東京を、馴染みのある街を走ることが楽しみだったが、実際にはその街並みなどは案外どうでも良く、周りに同じ距離を走りきるランナーと、それを応援する方々がいることが何より楽しかった。
苦しい時に、ともに走るランナーの存在と声援はとにかく力になる。
嬉しい誤算があった。
本当は、1kmあたり5'40〜6'00くらいで余裕をもって楽しく走ろうと自分の中での計画立てをしていた。しかし、最初の1kmは努めて冷静にゆっくり走ったつもりだったが、それでも最初の1kmは5'21と想定よりオーバーペースだった。
まずいと思いながらも、人が多すぎてペースを上げることも下げることも難しい状況だった。だが、周りのペースに合わせている分、疲労も感じずとにかく楽しい気持ちが勝っていた。
3kmを過ぎてもペースを落とせなかった時に、レースプランを切り替えた。
今が楽しいから落とさなくていい、後半で失速したらそれはそれで仕方ない。スタートを切れたから100点だ!と。
途中で、エリートランナーたちとのすれ違いがあった。大会新記録を出したケニアのアモス・クルガト選手や、私の好きな東洋大OBの高久選手の異次元の速さを身近で感じることができた。
身近で感じるだけでなく、その選手たちと同じレースを走っている。これがマラソン競技の素晴らしさであると感じさせられた。感動で勝手に身体が跳ねていった。
YouTubeやSNSで普段観ている志村美希さんや、みんな大好き猫ひろしをすれ違いで見れたのも嬉しかった。
初めてレースで履くマジックスピード4の力も借りて、気持ち良くストライドを伸ばせた。
10kmを超え、12km、15kmと進んでいくにつれて、まだゴールしたくない、と思った。
もちろん疲れは少しずつ溜まっていくんだけど、それ以上に楽しい。
日本の真ん中を、大勢の人に見守られて、多くの仲間たちと一緒に走っている。こんな幸せな時間、まだまだ終わってほしくない。勿体ない。そんな気持ちになった。
首都の路を駆け、ゴールは国立競技場のトラックである。
トラックってこんなに広くて大きいんだ。当たり前だけど、学校の運動会とはまるで違う光景だ、などとIQの低い頭で思った。
結果。
結果、ネットタイムで1:50:39(公式サイトの速報タイム)でゴールした。
想定より後半でも落ち過ぎなかったことが収穫。ただ、意識してペースを落とせなかったことは反省。ハーフだからいいけど、フルマラソンではコントロールできなくては通用しない。
ゴール後、完走メダルや記念タオルをボランティアの方々からいただいた。完走おめでとうございます!と丁寧に声をかけていただけたのが嬉しかった。
全く知らない人におめでとう、と言われることって当たり前ではない。
ボディメンテゼリーを貰えたり、エアーサロンパスの試供が出来たのがありがたかった。翌日もダメージが酷くなかったのはグッドポイント。
この東京レガシーハーフマラソン2024のキャッチコピーは、「ハーフマラソンなら、ギリいけるかも」である。
ビギナーに走るきっかけを与えてくれるようなコピーで、私は好きだ。
あらゆるレベルのランナーが、走る喜びを感じられるレース、かつイベント。それが東京レガシーハーフマラソンだと私は感じた。
思うように練習を積めなくて焦ったり、タイムが伸びなくて落ち込んだり、そういう時間も悪くないんだけど、「走る」ってそれよりもっと単純でいいと思う。
楽しく、健やかに暮らしていくための手段として興じればいいし、辛かったらやめればいい、そうやって向き合っていこうと思えた。
大都会東京。普段は満員電車に揺られて仕事に向かう、嫌いな街。
でもこの日だけは、やさしい街だった。