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2021.11.25|愛媛@香川|始まりの合図

香川ファイブアローズのホームで行われた愛媛オレンジバイキングスとの四国ダービーは、愛媛が2連勝を飾りました。開幕からここまで西地区首位を走る香川と、まったく調子の上がらない愛媛という対照的なカードでしたが、予想に反した結果に驚いたブースターも多いのでは。よもやよもや。

きちんと観たのはGAME1だけだったのですが、アンガス・ブラントのいない香川のインサイドを適確に突き、ここまで苦しんでいたのが嘘のように、次々と得点を決めていました。

愛媛の作戦はわかりやすく、ウッドベリーにマークされた方の外国籍選手がポストアップするというもの。オフェンスではエースでも、ディフェンスになると緩くなるのを見越して、トランジションでさっさとポストアップしてアーリーオフェンスを始めてしまうというシンプルな方法を中心に攻めていました。あるいは、ウッドベリーのマークマンがスクリーナーとなり、ハンドラーがペイント内にドライブを仕掛けるのも同じ理由。ウッドベリーの守備の隙を突き、ヘルプを引き寄せると、空いたアウトサイドにはちゃんとシューターがスタンバイしており、軽々とキックアウトパスを通していました。そのシュートが2日間通してよく決まったというのもありますが。

もともと愛媛はインサイドの得点が多いチームです。こちらのブログで各チームの得失点の内訳が見られるのでどうぞ(感謝)。

それはユージーン・フェルプスの強烈なアタックだったり、アンドリュー・フィッツジェラルドやライアン・クリーナーの得点によるものが多いと思われますが、それがこの節での香川の状況に対してハマったということなのでしょう。見方を変えれば、これまではそうした強引な点の取り方しかできなかったということにもなるのですが、この2試合は違いました。

インサイドを攻めるしかないのではなく、インサイドを中心に攻める。ポストエントリーした後も、フェルプスが無理なアタックを繰り返すばかりではなく、きちんと逆サイドや周りを見てパスを捌いていました。インサイドの使い方に、ちゃんとしたストーリーがありました。ペイントタッチとインサイドアウトが徹底されており、その積み重ねがGAME2最後の山本のスリーに結びついたのかもしれないと考えると感慨深いものがあります。

その意味では、結果よりも愛媛のオフェンスが見違えるように整理されていたことに驚きました。これまでの愛媛は攻守ともにまとまりがなく、特に外国籍選手はお互いの長所を噛み合せることができずに、もどかしい試合が続いていました。アスフレに今季初白星をプレゼントした試合なんかは、それぞれが好き勝手にプレーしている感じで、フェルプスは相変わらず無理やり攻めようとするわ、クリーナーはどうしていいかわからないのか唐突にアイソ始めたりするわで、観ていて辛いようなところがありました。

ミドル周辺からのパワープレーには秀でているものの、シュートレンジが狭く脅威の少ないフェルプス。キャッチ&シュートが得意な反面、止まった状態でボールを預けるとブラックホールになりがちなフィッツジェラルド。中も外もできるし、スクリーナーにもフィニッシャーにもなれるけど、それゆえに動き過ぎて周りから浮きがちなクリーナー。個性豊かで能力は高いものの、なかなかこれといった形が見つからないのは、HCの采配なのか、日本人選手のせいなのか。それがこの試合では一気に改善されていたから驚いてしまったのでした。

3Q半ばだったかな、ファウルを吹かれずにイライラしているフェルプスに、フィッツジェラルドが声をかけてなだめているシーンを観て、これまでとは違う雰囲気を感じました。追い上げられるシーンもあり、これまでの愛媛なら逆転されていたのかもしれません。それを見事に勝ち切ったのは、チームとしての成長なのでしょう。

チームの進歩がアウェーでの2連勝という結果に繋がったことは、愛媛にとって大きな意味をもたらすはずです。いろいろと問題はあったにせよ(だからあまり積極的に応援したい気持ちにはならないけど)、日本人選手の顔ぶれもそこまで悪くなく、これがきっかけになって今後浮上してくる可能性はあります。首位相手の白星が、チームを上昇させる始まりの合図となるのでしょうか。

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