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2021.12.11|西宮@FE名古屋|ロールプレイヤーズ・ロール

ファイティングイーグルス名古屋がB2を席巻しています。シーズンの3分の1にあたる20試合を終えてわずかに3敗。このままいったら51勝9敗。なんてソツのないチームなんだ。こういう突っ込みどころの少ないチームは嫌いだよ(書きづらいから)。

さておき、名古屋の強さの要因はなんと言ってもリーグぶっちぎりの守備力にあります。DRtgは87.8でリーグ唯一の80点台。スティールも8.9で1位、ファウルも少なく(15.5・1位)、ちゃんと守れるよ。激しい守備からスティールを奪い、素早く効率よく得点を重ねて、あっという間に試合を決めてしまう強さがあります。FE先輩ってこんなに守備良かったっけ? まあ今季はほとんど別のチームだからね。

ここまでの3敗は、話にならないくらいシュートが入らなかったというものでした。そういう試合はどんなに強いチームでもあるものです。怪我人がいたり、ルークが日本代表に呼ばれて不在でもほとんど負けなかったのは、ベースとしてディフェンスの良さがあるためでしょう。今後も大崩れすることはなさそうです。

というわけで、観るのはプレーオフに入ってからでいいかなと思っていたのですが、あまり放置すると初代リードくんに怒られそうな気がしたので、ディフェンスに注目して観てみようかと思ったのです。対戦相手はライバルたちのモタつきによって西地区首位に躍り出た西宮。奇しくも東西首位対決となったこの試合は、なかなか見ごたえのあるものでした。

名古屋のディフェンスについてと大上段に振りかぶったものの、やっていることは意外とシンプルだったりします。それはスクリーンに対してスイッチして守るということ。ただ、スイッチ後、スクリーナーのマークマンをサイズのミスマッチがなるべく生まれないように受け渡しをするのが巧みで、例えば日本人選手にマークされた外国籍ビッグマンにポストプレーをさせようとしても、いつの間にかミスマッチが解消されていたといったケースもよくあります。さすがは豊通、引き継ぎもばっちりだ。

序盤の西宮は、ムボジがハンドラーの道原に対してスクリーンをセットし、ルークを道原のマークにスイッチさせ、空いたインサイドをハインズが使ったり、ムボジとハイローをしたり、道原がそのまま侵入したりといった、名古屋の守り方をいなすような攻め方をしていました。ただ、西宮のいい時間帯はそう長くは続かず。お互いにベンチメンバーが登場し始め、西宮のPGが松崎に代わってセットオフェンス中心になると、ハインズのマークを林にしてローポストへ通したまでは良かったものの、そこからのパスをシャットアウトして2連続ターンオーバー。ミスマッチを突かれるのは織り込み済みといった感じかな。

そのまま名古屋に流れが行くかと思われましたが、名古屋のインサイドがクウェリに代わると、機動力のなさを西宮の松崎に狙われて連続失点。互角の時間帯が続きます。名古屋の基本線であるスイッチディフェンスは、クウェリには向いてないよね。ルーク・ランダル・ジョーンズの3枚を並べるスターティングラインアップは、このあたりも関わっているはずです。

同点で迎えた3Q、西宮はまた攻め方に工夫を見せてきました。ハンドオフでハインズにボールを渡したムボジが、逆サイドからカールしてきたウィングをフリーにするためにスクリーンをセット。ウィングにボールが渡った瞬間にポストアップするというものです。ハンドオフの時点で元のマークマンだったルークはトップのハインズに付いており、ムボジのマークはランダルやジョーンズ。ボールサイドでのポストアップなのでエントリーも早く、ウィークサイドからのヘルプにも行けないため、ムボジが次々に得点。この試合最大の12点差まで西宮がリードを広げたのです。

総じてこの試合の西宮は上手く攻めていました。エースのデクアン・ジョーンズを欠きながら、名古屋の守備を逆手に取るようなオフェンスで勝利目前まで漕ぎ着けたのは地力と言っていいでしょう。だから、ディフェンスに注目して観始めたものの、この日の名古屋の勝因はディフェンスではありませんでした。むしろオフェンス、リードされた時間帯をなんとか繋いだ宮崎や林らのベンチメンバーの奮闘です。

笹山を怪我で欠いていた名古屋のPG事情はけっこう苦しくて、いくらキング石川海斗がいるとはいえ、この試合のようにイマイチな出来の日もある。そもそも今季の名古屋は個人の輝きが目立つようなスタイルではないため、ズルズルと行ってしまってもおかしくはないはずでした。スターターはシュートもあまり入らなかったしね。そんな状況の中、チャンスが巡ってきたというか活躍を求められる状況できっちり仕事をしてきた宮崎や、ピリッとしない先発陣を尻目にシュートやランで気を吐いた林ら、ロールプレイヤーたちが自分の仕事を果たしたことが名古屋の勝因です。内容的には西宮が勝っても全然おかしくなかった。

その意味では、西宮のロールプレイヤーである浜高や松崎らの頑張りも光りました。ターゲットになっていたとはいえ、中西が身体を張っていたのも印象的でした。勝敗という形で試合を動かしたのはランダルやハインズだったのかもしれませんが、白熱した試合を支えたのは両チームのロールプレイヤーたちでした。名古屋の強さの本当のところは、こうした部分なのかもしれません。



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