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05.08|〈プレーオフ〉仙台@西宮|グッドルーザーの条件

レギュラーシーズンで西地区を制し、第2シードでプレーオフに進んだ西宮ストークスは仙台89ersに2連敗を喫し、あっさりとシーズンを終えました。

多くのブースターの反応は失望とともに、「B1にはまだ早かったのだ」と結果を受け止めているようです。その理由は、B1を目指すには余りにも脆弱な現体制への不安と不満であり、この狼教授のnoteに総括されているので屋上屋を重ねることはしません。

ビッグスポンサーを得て、B1から多くの選手を獲得し、積年の課題だったアリーナ問題も解決。しかし、急激な環境の変化に選手や運営側のスペックがすぐに対応できるはずはありません。ずっと1LDKに住んでた家族が急に庭付きのデカい家に住むようになっても、プールにどうやって水を張っていいかわからないんだよ(よくわからない例え)。

そのあたりの問題はブースターの方々と一緒に地道に解決していただくとして、ここではシリーズの内容に目を向けようと思います。だって西宮の戦いぶりがあまりに拙かったものだから。

試合の入り方に失敗し、これはマズいと追い上げるもハーフタイムが終わればコロッと忘れてまた突き放され、最終盤に追いすがるも上回れない。まるで判で押したかのように、2試合とも同じような展開でした。いくら仙台のディフェンスがいいと言っても、外国籍選手にボールを預けるだけのようなオフェンスで「グッドルーザー」たり得たのでしょうか。

マット・ボンズの速攻やセカンドチャンスからの粘りで詰め寄るシーンもありましたが、それは点差を「詰める」よりは「広げる」時に使いたいパターン。結局、チーム全体で攻めるという基本を忘れ、打たされるようなシュートを繰り返したことで、デクアン・ジョーンズの突破力もボンズのオフェンスリバウンドも「強み」として活きるのではなく、それにすがる形になってしまいました。

地区優勝の原動力となったのは間違いなくボンズのオフェンスリバウンドやボールプッシュです。しかし、言い換えればそれはシュートミスのリカバリーであり、アンコンストラクチャーな状況でのどさくさ紛れの得点でもあって、正しい攻撃と守備に努めたことに対する「ボーナス」のようなものです。フランチャイズ記録の14連勝と引き換えにそのことを忘れてしまったのだとしたら、なんと皮肉な結果でしょうか。

ボーナス一括払いでローンを組んではいけないし、ジョーカーに頼るようなポーカーは危ない。カン裏に期待したオーラスのリーチは、たいていリーのみか振り込んで終わるのです(よくわからない例え2)。

実際、シーズン終盤にはなんだかちぐはぐな内容の試合もちらほらあって、レギュラーシーズンはそれでも個人の能力によって勝ててしまった。しかし、ここはプレーオフなんだ。そのことをしっかり理解していた仙台の強度を上げたディフェンスと、爆発力はなくても要所を外さないオフェンスの精度に軍配が上がるのは必然だったのかもしれません。

選手のパフォーマンスもさることながら、コーチングにも疑問を持たざるを得ません。ジョーンズが欠場した2戦目、スーパーサブであるはずのボンズがチームの3分の1以上に当たる25本ものシュートを打っているのは、オフェンスリバウンド(5本)を考慮してもどうなんだ。若いボンズは1戦目のフリースローミスを引きずるかのように、10本中7本のフリースローを外し、スリーポイントは1本も決まりませんでした。

昇格以外はすべて失敗の西宮の今シーズンは、結果を見れば大失敗に終わりました。そして、それと共に始まったのが長く暗いオフシーズンです。B1から獲得した選手たちの動向は? 谷・道原・松崎の地元出身トリオを中心とする体制を継続するのか? 厳格なシステムとミニッツ管理の下、成長しているのか曖昧な若手たちの処遇は? 個性的だが脆さもある外国籍選手をどうするのか? 何より、プレーオフでチームのレベルを引き上げられなかったフィッシャーHCとの再契約は? 昇格を前提に進めていたであろうプランは、一から練り直さなくてはならなくなりました。

つまり、フランチャイズをどのように運営していくのか。今後2〜3年の西宮の動きは、プロスポーツやファンビジネスのあり方を考える上でとても興味深い題材になりそうです。





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