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12.09|群馬@福島|強さの理由

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B2東地区のライジングチーム・福島は、全選手が頑張る姿が観ていて気持ちのいいチームです。今季から識学がスポンサーになったとはいえ、決してビッグバジェットのチームではありません。しかし、多くはない資金を有効に使ってコンセプトに沿った選手を集め、勝ち星を重ねています。対するは、対照的に潤沢な資金で大型補強を果たし、B1昇格へ向けて盤石な戦いを見せる群馬。ついつい福島に肩入れしたくなるよね。

福島の戦い方はある意味ではとてもシンプルです。スペシャルな存在はいない代わりに、誰も手を抜かない。鈴木・村上・喜久山といったPG陣が積極的なドライブを仕掛ければ、逆サイドで待ち構えた神原・菅野らシューター陣はしっかりシュートを打ち切る。ちょっとくらいのコンテストは気にしないし、速攻でもしっかりポジション取ってるよ。

インサイドではキャリアベストかに思えるパフォーマンスを見せるチリジ・ネパウエが、屈強な身体を張ってリバウンドやリムプロテクトに奮戦。エリック・マーフィーは独特なフィーリングでスリーを放ち、これが決まるんだ。凝った戦術を駆使するわけではないからこそ、それぞれの役割に集中できるのかもしれません。

この試合、福島は本当にあと一歩のところまで群馬を追い詰めました。もう勝利は半分手のひらの中にあったかに見えたのですが、ブザービーターとなるはずの村上選手のレイアップはリングに嫌われてオーバータイムへ。命拾いした群馬が延長を制しました。それまで何度も勝負強さを発揮してシュートを決めていた村上選手がペネトレイトして無人のゴールへ向かった時は勝利を確信してレッドカーペットが見えたのですが、バスケットボールの神様は無慈悲でした。

ただ、どちらかと言うと強さを印象づけたのは福島の方。試合に負けて、勝負に勝ったようなインパクトはありました。その理由を考えてみたいと思うのです。

群馬の強さはその圧倒的なタレントによる部分もありますが、流れを引き寄せて畳み掛ける勢いを「自分たちで」つくり出せることでしょう。それを可能にするのが強度の高いディフェンスで、相手のシュートを落とさせる、またはボールを奪ってトランジションをつくり、あっという間にゴールへ。外れてもちゃんとこぼれ球を拾うのがマイケル・パーカー。これを繰り返して大きなランに繫げるのが必勝パターンです。

だから群馬に対する一番の攻略法はシュートを決めることで、当たり前なんだけどそれが難しい。しかし、この試合の福島は41.9%(13/31)という高確率でスリーを決めています。接戦に持ち込めたのもこの精度があったからこそ。ちなみに福島はスリーポイントの試投数も成功数もB2トップ。

福島の場合、シューター陣がしっかりシュートを打ち切るから、たとえ外れても速攻を出されづらいというのもあるのかな。きちんとゴール下まで押し込むなり、チーム全員に共通認識のあるタイミングでシュートを打っているから、スムーズに守備に切り替えられるんだと思う。

群馬にリバウンドを取られても、ちゃんと前からプレッシャーをかけて、ボールを進めない工夫もしている。ランニングプレーって、スピードに乗ってからは止められないからね。走る前に守る。アグレッシブな出足の鋭いディフェンスも福島の持ち味。そのためにファウルが嵩むのは仕方がないよね。

つまり、福島が自分たちのストロングポイントを貫いて強調することが、群馬にとってのディフェンスになっていたのではという仮説。福島が福島らしくあるほど、群馬は群馬らしさが発揮できない。そういうバスケットボールにおける「相性」の問題も好勝負の背景にはあるのかもしれません。

それでも3Qに入って一気にギアチェンジした群馬が守備の強度を上げ、お得意のアーリーオフェンスを仕掛けて14点差までリードを広げます。正直、ここで勝負あったなと思った。ところが福島はこの後、トラップディフェンスを仕掛けて群馬のリズムを狂わせることに成功します。スクリーンプレーのハンドラーにダブルチームを仕掛けてボールを奪う、要はハードショウですね。

そこから群馬のお株を奪う速い攻撃を連発するんだけど、福島の場合はこれにスリーが加わるから当たると火力がすごい。3Qのうちにカムバックしてしまいました。群馬相手にこれをやる度胸があっぱれですよね。スクリーナーのディフェンダーはすなわちビッグマンなので、残りの3人がインサイドまでカバーしないとこの守り方は成立しません。福島はこの場面以外でもサイズのミスマッチを臆することなくスイッチして、少しでもプレッシャーを与えようとしていました。神原・菅野のジョーンズへの守備も頑張ってた。対戦相手によって自分たちのマインド・セットやプレーが変わらないのが福島の強さなのかもしれません。

4Q、一時は福島が逆転してリードを奪うのですが、この時間帯の群馬はトレイ・ジョーンズがお休み。ジャスティン・キーナンのポストプレーを中心に攻めていたのですが、ジョーンズがいなくなるとボールも人もあんまり動かなくなるのが群馬の数少ない課題かな。そりゃまあキーナンがいれば任せたくなるけどね。普通はそれでも破壊力充分なのですが、福島にはネパウエがいるから、いかにキーナンとはいえやすやすとは攻められないし、守備時の走力は落ちる。

ここでも福島のストロングポイントが群馬に対する際のアドバンテージになった格好で、こういう相性の問題というのは意外とプレーオフとかになると響いてくるので、なんとなくだけど群馬は福島とはやりたくないと思っていそうな気がする。



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