2022.1.23|福島@越谷|怪我と光明
越谷アルファーズのプレーオフ進出に黄色信号が灯り始めています。今節では東地区のライバルである福島ファイヤーボンズに連敗して4位に転落。ワイルドカード圏内にはギリギリ踏みとどまっているものの、山形ワイヴァンズやライジングゼファー福岡がすぐそこまで迫ってきています。昨シーズンの大型補強に続き、今オフにもさらに戦力を加えたはずのチームに何が起こったのでしょうか。
その理由はシンプルで、中心選手の怪我やコロナ感染による離脱にあります。11月後半に畠山俊樹がインジュアリーリスト入りしたのに続き、12月に入ると長谷川智也も怪我のためか欠場がちに。昨季の躍進の原動力となった2人の穴は大きく、そこから成績は急降下。12月はなんとか4勝5敗で凌いだものの、1月はここまで4連敗。2022年の初白星は未だお預けです。
選手が揃わない影響は特にオフェンスに顕著に現れており、ここ10試合のORtgの平均は94.1と低空飛行。さらに直近5試合に限ればわずかに86.1で、最下位・青森ワッツとも大差ない有り様。これじゃ勝てんよね。
41点差の大敗を喫した福島とのGAME1では、代役PGの二ノ宮やルーキーの鎌田くんを中心になんとか攻めようとするも上手くいかず。バックコートがダメなら自慢のインサイドで勝負したいところですが、ブラッキンズやバッツにもさっぱりボールが渡りません。
「大変だ!メンツが足りない」
「じゃあバッツ先生にローポストで頑張っていただいて」
とはならないあたりに桜木ジェイアールコーチの矜持は感じるものの、プレーオフを逃してしまえば元も子もないわけで。ビッグマンを活かすにも、長谷川・畠山の運動量と突破力が大きかったんだなと改めて思い知らされるような、なすすべなく敗れた印象が残る試合でした。
迎えたGAME2。この試合も立ち上がりは重く、開始6分強で0-16のランを食らってしまいます。展開を落ち着かせようとしたのか、GAME1よりはインサイドにボールを預けようとするシーンが多かったのですが、それを見透かされたように福島にボールを奪われ、速攻からの失点を繰り返す始末。「ああ、今日もダメか」。そう思って観るのを止めてしまった私は、越谷というチームの、いや「Bリーマン」と呼ばれる選手たちのプライドと底力を見くびっていました(土下座)。
悪い流れを断ち切ったのは飯田鴻朗選手でしょう(名前の読み方は「ひろとき」だよ)。1Q後半にコートインするや、積極果敢なハンドチェックでいきなり福島を慌てさせます。さらに、リバウンドからのアウトレットを受けると、スピードに乗ったドリブルでチームに活力をもたらし、速い攻撃からの得点を演出。そのエナジーはチームメイトにも波及し、明らかに越谷の攻撃に迫力が増しました。またしてもブローアウトかと思われた試合を、1Qのうちに6点ビハインドまで戻すことに成功します。
また、ジョナサン・オクテウス選手の活躍も光りました。個人技からの得点に加え、ボールハンドルやオフェンスリバウンドにも度々顔を出し、2Qだけで3本ももぎ取っています。脚が動いているとボールがそこに落ちてくるというか、運動量が増えているからボールへの反応が早くなるのか。畠山・松山の不在が一番響いたのがPGだったわけですが、ボール運びまでやってくれる働き者。見事にその穴を埋めていました。
越谷のファイトバックにはこうしたエナジー的な部分が大きく作用したとは思うものの、改めて思い返すと、オクテウスがPGの時間帯のラインアップはオクテウス・田村・ソウ・落合・ブラッキンズだったりして、よく考えるとこれってだいぶ守りづらいよね。オクテウスのところはもちろん、ブラッキンズが外に開いて、ローポストの落合にボールを入れたり、ソウはソウでコーナーにステイしてスリーを狙ったり。どこかで必ずサイズまたはスピードのミスマッチができる。苦しい台所事情が生んだ偶然的なラインアップだったとも言えるけれど、新しいオプションになるかもしれない。
これを「怪我の功名」と言ったら怒られるのかな。でも、この試合で今季初めてスタートした横塚選手や、GAME1に登場した鮫島選手も含めて、チーム全員で苦境に立ち向かった経験は間違いなくシーズン終盤に向けてプラスになることでしょう。その中心を「Bリーマン」と呼ばれる選手たちが担っているのも越谷特有の事情であり、それが余計に胸を熱くさせるところでもあります。
だからこそこの試合は勝ちたかった。レギュレーション終盤の落合・飯田のフリースローミスや、相手TOからの速攻を得点に繋げられなかったシーンがなければ勝っていた可能性は高いはずです。それがどれだけ各選手の自信になったことか…と思うと悔しさが募りますが、彼らの活躍がなければ接戦にすらならなかったはずで、勝負の綾というのはなんとも皮肉です。
主力選手の怪我が生んだ、チーム力の向上という光明。幸か不幸か、それはまだわかりません。ただ、プレーオフを逃すことになれば、せっかく見えかけた光明もふいになってしまいかねません。厳しい東地区のプレーオフ争いを越谷はどう乗り切っていくのでしょうか。
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