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2021.11.23|西宮@福岡|強さは細部に宿るか?

西宮ストークスはアウェーでライジングゼファー福岡に2連敗を喫し、前節を含んで3連敗となりました。これで15試合を終えて9勝6敗。弱くはないけれど、かと言って強くもない。ちゅーーーと半端やなあ(@ちゃらんぽらん)とのけぞりたくなる成績です。しかし、昨季は西地区を制し、オフにサプライズ補強を敢行したチームとしては、物足りないどころか「こんなはずじゃなかった」と嘆いているブースターも多いはずでしょう。

確かに福岡が強かったのも事実です。GAME1ではジェローム・ジョーダンの高さを嫌ったのか、ミドルを打っては外しまくる西宮を尻目に序盤リード。ベンチスタートのデクアン・ジョーンズの爆発で追いつき追い越されたものの、西宮がリードを広げそうな場面でことごとく食らいつき、最終Qに逆転しました。GAME2では逆にスタートで0-10のランを許しながら、白戸大聖が難しいシュートをねじ込んで流れを断ち切ると、ステッドモン・レモンの連続スリーなどであっという間に試合をひっくり返し、シュートタッチに苦しむ西宮から容赦なく前半で16点のリードを奪いました。だから、勝った福岡を讃えるべき理由は十分なのですが、一方で西宮の綻びが目立った2試合でもありました。

とにかくシュートが入らないんだよね。ワイドオープンのスリーもゴール付近もダメ。ファウルをもらってもエンドワンを取れない。入ったとしてもいい時間帯が長く続かない。ここまで3FG%ではB2の2位、FG%ではトップの西宮ですが(※)、福岡との2試合を含めて、連敗中は数字を一気に落としています。

西宮ストークスのFG%の推移

西宮のシュート確率の推移をグラフにしてみました。点線が平均(35.8)ラインです(フリーハンドなのであくまで参考ね)。青森と東京Zの下位相手にはシュートが入らなくてもなんとか勝てたものの、やはり負けている試合ではグッと確率が下がります。「シュートが入らないとやっぱり勝てないよね」なんて至極当たり前の話でしかないのですが、スリーのアベレージは昨季よりいいだけでなく、実は今までで一番良かったりするんだな(※)。

※=GAME1終了時点の数字なので、実際はもう少し下がるはずです。

3FG%がちょっと向上している以外はまったく昨季と変わらない西宮ですが(それはそれですごい)、唯一目立つのがフリースローの確率の悪さ。平均70.5%と昨季(74.6%)よりもなんと4ポイント以上も落としています。ちなみにフリースロー獲得数は約2本のマイナス。特に相関関係はないけれど、一応フリースロー入りも貼っときます。

西宮ストークスのシュート確率の推移(FT含む)

繰り返しますが、シュートが入らないと勝てないというのはどのチームでも同じで、このグラフには何の意味もありません。ただ、確率うんぬんよりもこれだけ乱高下するというのは、西宮のようなチームにはあまり良くないと思うのです。

西宮はインサイドで勝負するチームではありません。実績十分の豪華なガードやウイング陣のシュート力で勝たなければいけないはずです。西宮の基本のスタイルは、多くの選手が入れ替わりながらハンドラー役をこなし、緩急を付けたドライブから空いている選手にパスを送るというもの。それを繰り返しながらより高い確率のシュートをクリエイトしようと試みるのは、編成と照らし合わせても、選手の能力的にも理に適っています。福岡との試合でも随所に素晴らしいプレーは見られました。

しかし、華麗なボールムーブもドリブルスキルも、シュートがリングを通過しなければ点にはなりません。シュートで勝負するはずのチームだからこそ、「シュートが入らなくて負けた」は通用しないのです。精度というディテールにこそ、強さというものは宿るのかもしれません。

2試合を観ながら何度も感じたのは、イージーシュートをミスしたり、フリースローを決め切れなかったりといった詰めの甘さでした。GAME1では西宮がリードを広げそうなると必ず福岡がスティールを奪い、オフェンスリバウンドを拾って押し込んでいました。ボールの行方が少し変わって西宮が取っていれば、それらの得点はなかったかもしれません。その意味では、50-50のボールへの反応速度でも福岡に分があったと思います。それを執着心と呼ぶかどうかは好みが分かれるところでしょう。

選手の顔ぶれは一目瞭然ですが、西宮は強いチームです。ただ、自分たちの強さを信じるあまりに細部が疎かになってしまっては、案外その強さは儚いものだということも、この2試合で思い知らされたはずです。昨季後半はシュートをミスしてもマット・ボンズがなんとかしてくれたのですが、早くもその穴が顕在化してきたということでしょうか。残念ながら今季の西宮には強力なリバウンダーはいません。シュートの精度を、プレーの細部を突き詰めるしかないのです。そんなこと言われなくても選手は百も承知でしょうけれど、ここからどう建て直すのか面白くなってきたよね(悪趣味)。

ところで、文脈に全然関係ないのですが、今のところ西宮は中西良太の効果的な使い方を見出せていません。外国籍選手とマッチアップするがゆえに、オフェンスでポストアップするのは難しく、ディフェンスではこの福岡戦で明らかになったようにむしろ狙われています。キャッチミスやパスが繋がらないこともしばしば。たまに見せる速攻がほぼ唯一の活躍の場ですが、ボンズには遠く及びません。中西がコートにいることによって、別の外国籍選手がミスマッチになるかと言えば、中西が出ている時は西宮はon1にしていることが多いんだよね。スタッツを見てもキャリアローの数字ばかりで寂しい限り。それだけに案外、再浮上の鍵を握っているのはこの選手なのかもしれません。



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