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05.16|〈プレーオフ〉越谷@群馬|強くなれる理由

B2プレーオフのセミファイナル、アウェーでFE名古屋を下した越谷がアルファーズが群馬クレインサンダーズに挑みました。

GAME1は越谷がリードする場面も多く、どちらに転がってもおかしくない展開でしたが、最後の最後で群馬が逆転。ディフェンスのギアを上げてターンオーバーを誘うという、今季何度も目にした光景でした。本当に何段階ギアあるんだ。

越谷はとてもよく戦っていて、序盤はテンポアップしてどんどんシュートを放ち、群馬はそれに対してやや戸惑っているように見受けられました。群馬のディフェンスはバッツやブラッキンズに対しても様子見というか、1人で1人を守り切るプランで、インサイドにボールが渡っても特にダブルチームやヘルプは飛んで来ず。また、長谷川や畠山がハンドラーになるピックプレーでもスイッチをせず、マークマンがファイトオーバーしようとしていました。そこを利用されて長谷川に4点プレーを食らってたけど。

試合が進むにつれて群馬の守備は徐々に激しさを増し、ポストプレーではダブルチームなども見せるように。まるで越谷が群馬の本気スイッチを押したようなところもあり、群馬お得意のボールを奪ってからの速攻を許す場面もほとんどなく、だからこそ越谷にとっては是が非でも勝っておきたい試合ではありました。GAME1のような素晴らしい内容で敗れるのは、越谷のようなチャレンジャーがチャンピオンに勝つためには余りにも痛い。厳しい戦いになるだろうと思われたGAME2では、やはり疲れの見えた越谷に対して、群馬はGAME1には出場機会のなかった田原・佐藤・小牧を2Q時点で投入し、終始余裕のある状態で試合を進めていました。

GAME1の越谷は出場時間が1分台の飯田を除けば8人ローテで、長谷川・バッツ・畠山は35分以上出場し、ブラッキンズもファウルトラブルでなければ30分を超えていたでしょう。その選手らがGAME2でも30分以上出なければいけないのは(畠山は28分だけど)、WIN or GO HOMEの試合とはいえかなりヘビーです。その意味では、越谷はよく戦ったとも言えるし、ここが限界だったのかもしれません。

そもそも越谷のロスターはかなり特徴的です。横塚・西片・鮫島・田村・飯田・小林といった大塚商会時代からの「Bリーマン」とも呼ばれる選手たちが多くを占め、そこに今季は長谷川・畠山・バッツ・ブラッキンズといったビッグネームたちが加わりました。ちなみに、長谷川も落合もキャリアのスタートは大塚商会で、そう考えると「名門」だよね。ブースターの方にとっての魅力の一つにもなっているようです。

それはさておき、企業チームのカラーがまだ色濃く残っていそうなところに、超B1クラスの猛者たちが一気に加わるという大きな変化を経てきたわけで、それをこの結果に結び付けるのは考えてみれば結構すごいことだと思うし、短期決戦のプレーオフで強さを見せたのも納得がいきます。

しかし、地区王者とのセミファイナルにおいて、その特徴的な編成は結果的にプレータイムの偏りを生むことになりました。だからこそ、田村や飯田が必死になってトレイ・ジョーンズを守る姿には胸を打たれたし、マークが緩められたところですかさず決めた田村のシュートにはBリーガーとしてのプライドを感じずにはいられないのでした。

*越谷のチームの体制や「Bリーマン」という選手たちの実際についてはあまりよく知らないので、間違っていたらご指摘ください。

ただ、やはり群馬の壁は厚かった。そして、ファイナルへ駒を進めるとともにB1への昇格を決めた群馬の姿は、来季以降の越谷の姿にも重なるかもしれないとも思うのです。特別指定の2選手を除いた今季の群馬のロスターは12人。このうち昨シーズンも群馬に在籍したのは小淵・小牧・野崎・佐藤の4人のみ。それまでは主力だった彼らの出場時間は大きく減ることになりました。もともと強豪だった群馬ではありますが、シーズンオフの巨大な補強により昇格を昇格を手にしたことは、わざわざ私がここで指摘するまでもありません。

生え抜き選手を多く抱えたロスターで戦った越谷は、群馬の選手層の厚さや試合の中でのプレー強度や戦術の幅広さを目の当たりにしたはずです。それはむしろ善戦したからこそ、より切実に感じられるものでもあるでしょう。

誤解のないように申し添えておきますが、私は群馬のように補強を行って優勝・昇格を目指すチームについて揶揄しているのではありません。「強くなるには補強が必要」と現実を突きつけたいのでもありません。選手の編成を改善しようとするのはバスケットボールにおいて自明です。そして、いい選手をたくさん取ったからといって、その実力通りに活躍できるかどうかはまた別の問題です。

越谷の来季のロスターが大きく変わると断言できる根拠は何もありません。例えば、田村のようにプレーオフの方が出場時間を延ばしている選手もいたりして、彼らがプロとしてバスケットボールに専念するという選択もあり得るでしょう。それらも含めてチームが強くなろうとすれば、その過程において選手の入れ替わりを免れることはできません。ブースターにとっては辛い別れもありますが、それは「成長痛」のようなものとして受け入れる他はないでしょう。

ただ、企業チームとして長い歴史を築き、在籍年数の長い選手をたくさん抱える越谷にとっては、これから迎える変化はより大きなインパクトを伴うのではないかとも思うのです。

強くなれる理由を知った。このことはどんな選択を越谷にもたらすのでしょうか。「ありがとう悲しみよ」と、越谷のブースターの皆さんが笑顔で振り返る未来が来ることを祈っています。


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