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#63-3 大阪の農業生産額をとことん考える③~60年の推移~

これまで営農分類別や品目別についてみてきました。農業生産額をもっと長期のスパンで見るとどのような傾向なのでしょうか?
いつが生産額のピークなのでしょうか。
今回は1960年以降の生産額について、全国と比較しながら考えていきます。

前回の記事はこちら


テーマ「大阪の60年間の農業生産額はどのように変化しているのか?」

(1)合計の変化

農業生産額の推移(大阪・全国)

<大阪>
1975年ほどまでは右肩上がりに成長。その後維持しつつも、1991年から減少傾向にあります。

<全国>
1975年までは急激に上昇、その後1984年まで上昇するものの、1996年から減少傾向にあります。
ただ、近年は2005年よりも若干上昇しているなど減少に歯止めがかかってきている状態です。

(2)営農分類別生産額の推移

営農分類別の農業生産額の推移(大阪・全国)

<大阪>
特に畜産の生産額が大きく減少してきています。(なんと1960,70年代は畜産が生産額の1位だった!)
1970年代は畜産により全体の生産額が増加しており、1980年代になると畜産は減少するものの野菜の生産額が増加し、全体の生産額は維持されていることがわかります。

<全国>
米の産出額は減少してきているものの、畜産や果実は増加、野菜も横ばい傾向であり、近年、全体の生産額は維持されていることがわかります。

(3)農業所得率の推移

所得はどうでしょうか?所得を生産額で割った所得率をみてみます。

大阪では農業所得率は1960年から減少傾向ですが、1987年以降に増加に転じます。しかしながら近年では横ばいか若干減少傾向になっています。

全国でも1987年ごろに増加に転ずるものの横ばい傾向です。

(4)なぜこのような傾向が生じているのか?

これらがどういう原因で生じているのかを考えてみました。

①大阪にはそんなに畜産が栄えていたのか?なぜ衰退したのか?

堺市には酪農団地が形成されているなど畜産が昔から一定されていたようです。こちらの原野牧場さんの記事からも、1928年には畜産組合があったようです。

そのような状況下で、戦後に食の欧米化によって日本人の肉消費量が大幅に増えてきたのが生産額の拡大に繋がったのではないかと考えます。

一方で、大阪の人口増加が進み都市近郊では畜産がしにくくなってきたことや、高度経済成長で他産業の所得との開きが大きくなったことが衰退の要因の1つかと思います。

1991年以降の生産額の減少は牛肉の輸入自由化が非常にリンクしていると思います。

②1980年代に野菜の生産額が増加しているのはなぜか?なぜ衰退しているのか。

おそらく機械の進化だと思われます。
こちらのページによると、1970年代から乗用型トラクターの台数が増えてきているようです。
1980年代の所得率の向上もこのような機械の普及によるところが大きいのではと考えます。

また、原因は特定できないものの1990年代には都市地域の生産者が急激に減少していること次の農林水産省の資料からわかります。おそらく宅地化が進行しているのかと思います。

https://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/nousin/kikaku/h17-1/pdf/data2-1-2.pdf


(5)今後はどうなると考えるか

この歴史をみていると、農業生産額が上昇する、もしくは所得率が上昇するのは
○需要が加速度的に高まっている時期
○技術革新により効率的に農作業ができるようになった時

であることが見えてきます。

一方で、生産額が減少するのは
○輸入の自由化で海外産の安い商品が入ってくる時
○宅地化の進行などで担い手が減ってきている時

だと思われます。

この結果を踏まえると自動収穫ロボなど栽培管理を省力化・効率化できる機械が登場することで大きく変わるのかと思います。

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