#60-4 農業経営体(販売金額別)の新規雇用就農者の人数・属性
前回は被雇用者の年齢別人数について考えてきました。
今回は雇用する側の売上によって雇用の傾向の違い(特に年齢)があるのかを考えていきます。
※直接的なデータはなかったので、新規就農者の実態調査のデータを基に考えます。
経営体(販売金額別)別の新規雇用就農者数
まずは、販売金額別に新規雇用就農者(常雇用)はどれくらい違うのでしょうか。
販売金額が1億円以上の経営体で圧倒的に多く、1億円以上の経営体の雇用数とそれ以下の経営体の雇用数の合計がほぼ同数となっています。
一方で、売上1億円以上の経営体は全経営体の1%にすぎません。
その1%の経営体で新規就農者の半分もの雇用が生まれているということが驚きです。
経営体による常雇用者の年齢の違い
では、これらの新規雇用就農者のうち、将来を担う若い人はどういった経営体に雇用されているのでしょうか。
経営力のある大規模農園なのか、それとも世代交代が必須な小規模家族農園なのでしょうか。
次の図は経営体(販売金額別)の新規雇用就農者の年齢区分を示しています。
売上が1億円以上の経営体では30歳未満で47%、50歳未満で78%を占めるなど、若い新規雇用就農者が多いです。
一方で、売上が500万円未満の経営体では50歳以上が50%と比較的年齢が高くなっています。
規模の大きい経営体ほど若い世代を採用する傾向があり、また若い世代も規模の大きい経営体に就職する傾向があるのだとわかります。
売上1,000~3,000万円の経営体はちょうどその間のような傾向で、規模の大きさと被雇用者の年齢は相関がありそうです。
規模の大きい経営体だと、その中でのキャリアアップも考えられるのが若い世代にとっては大きいことだと思います。
これから雇用を検討する農園は、自分はどういう年齢層を雇用したいか、その人にキャリアアップの機会を与えられるかも考える必要があると思います。
まとめ
今回のまとめは以下の2つです。
全経営体の1%にすぎない販売額1億円以上の経営体で新規雇用就農者の50%以上が雇用されている。
規模の大きい経営体ほど若い人を雇用している(≒若い人が就職している)
次回はこれまでの雇用に関する記事のまとめになる予定です!