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マイナンバーカードによるGビズIDプライムアカウント取得方法


1.行政書士及びクライアントがGビズIDプライムアカウントを取得する意義

 GビズIDは、行政手続等において手続を行う法人及び個人事業主を認証するためのシステムで、法人や個人事業主が複数の行政サービスに一つのID・パスワードでログインできる共通認証システムです。

 GビズIDは無料で取得でき、取得すれば、原則として電子証明書や本人確認書類の提出をすることなく、様々な政府・自治体の事業者向けオンライン申請が可能になります。

 GビズIDには、「GビズIDエントリー(一部のサービスのみ利用できるID )」「GビズIDプライム(最も多くの行政サービスにアクセスできるID )」「GビズIDメンバー(企業内業務担当者用ID)」の3種類のアカウントがあります。

 GビズIDエントリーアカウントを用いることができる行政サービスは、本人確認が必要でない重要度の低い行政手続きに限定されるため、幅広い行政サービスの利用のためにはGビズIDプライムアカウントの取得が必須となります。
 
 また建設業許可及び経営事項審査の申請等について、電子申請システム(JCIP)による受付が開始されている窓口がありますが、同システムを利用するにあたっては、申請者はGビズIDプライムアカウントを取得する必要があり、また行政書士が代理申請を行う場合は、行政書士もGビズIDプライムアカウントを取得しておく必要があります。

 今後、その他の許認可申請手続についても、GビズIDを利用した委任システム・代理システムが実装された、電子申請システムが増えることが予想されます。

 その場合、JCIPと同様に代理電子申請を行うためには、行政書士・委任者(クライアント)双方ともが、GビズIDプライムアカウントを取得していることが必要とされることが想定されます。

 そのため、行政書士がGビズIDプライムアカウントを取得することはもちろんのこと、クライアントのGビズIDプライムアカウント取得申請を行政書士がサポートする必要性に迫られる場合が今後増えてくるものと考えられます。

 よって、行政書士がクライアントのGビズIDプライムアカウント取得申請サポートをできるよう、その申請方法について予め熟知している必要があることでしょう。


 GビズIDプライムアカウントの取得については、オンライン申請による方法と書類郵送申請による方法の2種類があります。オンライン申請ではマイナンバーカードを使用し、最短即日での発行が可能です。
 
 書類郵送申請による方法については会報「行政書士大阪2022年12月-2023年1月号」誌上でご案内させて頂いているため今回は、パソコン等と併せてスマートフォンを用いた標準的なGビズIDプライムアカウント取得オンライン申請方法をご案内いたします。

2.GビズIDプライムアカウント取得オンライン申請方法

①オンライン申請手続前に確認する必要がある事項

 標準的なオンライン申請を行う場合、法人代表者又は個人事業主のマイナンバーカード申請用端末(パソコン、スマートフォン、タブレット)、申請用端末上のメールソフトで送受信するメールアドレスが必要となります。

ア. 本申請手続の申請者となることができるのは、マイナンバーカードを所有している法人代表者又は個人事業主のみで、かかる者がマイナンバーカードを所有していない場合は、書類郵送申請方法によることになります。

 本申請が可能な法人は主に株式会社、有限会社、合同会社となります。
 その他申請可能な法人種類は以下をご参照ください。
https://gbiz-id.go.jp/top/manual/pdf/corporate_type.pdf

イ. 法人代表者又は個人事業主(以下、代表者等といいます)のマイナンバーカード本体が必要となります。また登記情報とマイナンバーカードの情報が一致している必要があり、不一致の場合はオンライン申請ができません。

 代表者等の引っ越し等で、登記情報やマイナンバーカード情報の更新を行っていない場合は、情報を更新の上オンライン申請を行う必要があります。

 また、マイナンバーカード読み取り時に、代表者等がマイナンバーカード発行時に設定した、英数字6〜16桁のパスワードである署名用電子証明書暗証番号(以下、パスワードといいます)と、数字4桁の暗証番号である券面事項入力補助用暗証番号(以下、暗証番号といいます)を画面に入力する必要があるため、これらの事前確認も必要となります。

 なお、有効期限(10年)が切れたマイナンバーカードや、署名用電子証明書が搭載されていない、もしくは、署名用電子証明書の有効期限(5年)が切れているマイナンバーカード、顔認証マイナンバーカード、スマホ搭載マイナンバーカードはオンライン申請ができませんので注意が必要です。

ウ. 申請用端末として、パソコンおよびタブレット、スマートフォンが必要となります。
 なお、申請用端末にスマートフォンを利用される場合は、本方法による場合、申請用端末とは別にスマートフォンが必要となる、つまり2台のスマートフォンが必要となります。またGビズIDプライムアカウント用メールアドレスが必要となります。

エ. マイナンバーカード読み取り可能スマートフォンと、かかるスマートフォンにインストールされたGビズIDアプリSMSが受信できる電話番号が必要となります。

 GビズIDアプリについては、スマートフォンからApp Store又はGoogle Playにアクセスし、検索窓にGビズIDと入力すると、 GビズIDアプリダウンロードページが表示されますので、かかるページからアプリをダウンロードしインストールします。

 マイナンバーカード読み取り可能スマートフォンとGビズIDアプリに関する詳細は以下をご参照ください。

https://www.jpki.go.jp/prepare/pdf/nfclist.pdf

②オンライン申請の流れ

 オンライン申請自体よりも、①で説明いたしました事前準備のほうが大変だと思われ、事前準備がしっかりとできたならば、オンライン申請自体は簡単な操作で15分程度で完了できます。ですので、オンライン申請を行う前に今一度、前述の事前準備の確認をする必要があることでしょう。
 なお、平日8:00~20:00以外、年末年始にオンライン申請をした場合は、翌営業日扱いとなり、即日発行とはなりませんので注意が必要です。

ア. ①ウ.の申請用端末(パソコン等)で、Google等の検索エンジンにアクセスし、入力窓に「GビズID」と入力し、GビズIDサイトのトップページを開き、「GビズIDを作成」をクリックします。

イ. 作成ページを下方にスクロールし、「GビズIDプライムをオンライン申請する」をクリックします。

ウ. オンライン申請ページに移行したことを確認し、法人が申請する場合は法人用ページとなっていることを確認します(法人と表記された部分の上部に青線が引かれていることを確認)。個人事業主が申請する場合は「個人」のタブをクリックします。

エ. 次にページをスクロールし、記載されている事前確認事項を今一度確認した後、最下部にある「申請を始める」をクリックします。

オ. メールアドレス欄にメールアドレスを入力します。

カ. 利用規約欄をスクロールし、規約を確認し、同意する場合は「規約に同意する」にチェックを入れ、次へをクリックします。

キ. メールアドレスが正しく入力されていることを確認し、「OK」をクリックします。

ク. ワンタイムパスワード欄が表示されるので、メールで送られてきたワンタイムパスワードを入力し、OKをクリックします。

ケ. 基本情報登録欄が表示されるので、その各欄に必要事項を入力し、入力し終えたら「次へ」をクリックし、入力内容確認画面が表示されたら、内容を確認し「次へ」をクリックします。

コ. 申請用端末(パソコン等)のブラウザ上にQRコード署名対象識別コードが表示されるので、①エ.のマイナンバーカード読み取り可能スマートフォン側で、先にインストールしたGビズIDアプリを起動し、「QRを読み取る」をタップし、申請用端末(パソコン等)に表示されているQRコードを読み取ります。

ケ. 署名対象識別コードが一致しているかを確認し、「はじめる」をタップします。

コ. 表示された画面にマイナンバーカード発行時に設定したマイナンバーカードの暗証番号数字4桁を入力します。3回連続して間違えるとカードにロックがかかるので慎重に入力する必要があります。

サ. マイナンバーカード発行時に設定したマイナンバーカードのパスワード英数字6~16桁を入力します。5回連続して間違えるとカードにロックがかかるので慎重に入力する必要があります。

シ. マイナンバーカードを用意して、「読み取り開始」をタップします。

セ. マイナンバーカードの読み取りが完了したら、スマートフォン上に表示される「この内容で送信」をタップし、送信が完了するとGビズIDアプリでの操作は完了となります。

ソ. 申請用端末(パソコン等)のブラウザ上に電子署名内容と入力内容が表示されるので確認し、「申請」と記載されている箇所をクリックすると申請処理は一旦完了します。

タ. 即日から数日で申請審査が終了すると、審査完了メールが申請用端末(パソコン等)のメールソフトに届きます。そのメールに記載されているURLをクリックすると、ワンタイムパスワードがスマートフォンに送付されてきます。

チ. 届いたワンタイムパスワードを申請用端末(パソコン等)上で入力し、「OK」をクリックし、表示された画面で、予め用意したアカウント認証用のパスワードを入力し、「OK」をクリックすると登録が完了します。

3. 結びにかえて

 GビズIDを用いた代理申請により、時間や場所に関係なく効率的に行政手続きを進めることができます。行政書士がGビズIDを用いた代理申請を行うことで、手続きがスムーズに、正確に進められ、クライアントのみならず行政の負担が大幅に軽減されます。

 GビズIDは、これを利用する事業者に様々なメリットをもたらすだけでなく、行政手続システムの構築コストの削減も期待できるシステムです。

 多くの行政書士がGビズIDプライムアカウントを取得するとともに関与先にもその取得を奨励されることを期待したいと思います。

参考)
GビズID公式サイト

GビズID紹介動画(法人向けアカウント作成編)

GビズID紹介動画(個人事業主向けアカウント作成編)