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ガクチカ

勤務希望の学生さんと、Zoomで採用面談をした。

と言っても最終面接ではなく一次面接だし、インターン(アルバイト)なのでそこまで大袈裟なものではない。

どんな子かなぁと思いながらZoomリンクに入ると、新卒スーツのお手本のような服装をした真面目そうな子が写っていた。

第一声目から「この度は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます」という何ともご丁寧な挨拶で、どっちの方が社会人らしいか分からないな、と何度も思った。

オンラインの限界を超えて伝わってくるド緊張と、「就活無双!」的な本を読み込んだような受け答えが初々しい。いくつか面接らしい質問も準備していたのだけど、きっとこれを投げると準備した回答が完璧に返ってきて、結局この子の本当の姿は見えないままだなと思った。

実際、明らかに準備した回答が返ってきたときは、私も「そうなんですね」という感想しか出せず、相手を知るという目的に対しては上滑りなままだった。

私は採用や人事の経験はないけれど、一緒に働く仲間を選ぶ上で知りたいのはそこではない。

結局、あなたはどんな人ですか?というところ。
何に興味があって、何に熱意が傾いて、どんな時に嫌な気持ちになるのか。
今までどんな人生を歩んできて、まだ明確じゃなくとも何が心の中心にあるのか。譲れないものは、何か。

会議室の机と机の間にでてくるような話じゃなく、気の知れた仲間と行きつけの店で飲むときに出るような、そんな話が聞きたかったのだ。

それでも「面接対策」なんてもんを刷り込まれてしまった子達は、きっとなかなかその鎧を脱いでくれない。素を出してくれない。

何とか私を「なんか陽気なお姉さん」くらいに思って欲しくて、あーやーこーやと1人ではしゃいでいると、段々笑顔が増えてきた。

結局回答が準備されていたQAからはあまり情報は得られず、「あなたはどんな人なの?」という興味から出たQAで彼女の輪郭くらいは掴むことができた。本当に面接する側の質問力によって、相手がどれだけ自分を表現できるかが大きく決まる。

世の採用論的に正しいのかは分からないけど、個人的な意見としては究極に話しやすい空間で、いつもの自分らしく話してほしいし、そんな空気作りをしたい。「緊張感のある場所で自分を出せるか」も大事なんだろうけど、そうすると話し上手な人だけが勝つ世界になる気がする。私の友人には話し下手で面接に向かないけれど、とんでもない情熱や根気を持った人がたくさんいる。

そして人事という仕事は、奥が深くて難しいんだなと身をもって学べた。人としての感情と、会社としての採用基準の線引きを常日頃しなくてはいけない。

今は自分の感覚だけでやってしまっているけど、一冊くらい人事に関する本を読んで諸々やってみようかなぁと思います。


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