『悩ましい世』No.8
会館では、チョビヒゲ猫がみんなの帰りを待っていた。お偉いさんは、異国のキャットフードをテーブルに広げて、珍しいお土産を披露した。猫さんをリュックから降ろした小野さんは、肩を大きく回した。お出かけのリードからようやく解放された猫さんは、いつものようにひと通り会館の隅々までニャンパトする。
会館の玄関にはお正月飾りが飾られ、お偉いさんは鍵を小野さんに託して自宅に戻り、小野さんは年末を猫さん達と会館で過ごすことにした。猫さんは相変わらずオークの木に夢中だったが、本来の用途が釣り竿