
◆レビュー.《映画『ミル・マスカラス ビバ!ルチャシネマ×2』》
※本稿は某SNSに2019年2月16日に投稿したものを加筆修正のうえで掲載しています。
先日購入したDVD『ミル・マスカラス ビバ!ルチャシネマ×2』見ました!
このDVDはプロレスラーのファン・ディスクではない。れっきとした「映画作品」としてメキシコに屹立する映画なのだ!

こりゃあ久々にスゲエB級映画に出会った!
撮影技術は、1970年代当時の日本の東宝特撮映画のレベルを想定してもけっこう残念だし、脚本もなんだかテキトー感まる出しだ。
全体の雰囲気は、日本の「王道の特撮ヒーローもののパロディ」といった感じ。本作も、敵側の基地がまんま「悪の組織」してる(笑)。
この映画は、冒頭から主人公となるマスクマン達が、マスクのままバイクに乗って登場する。
このマスクマンたちがマーベラス・ヒーローのように悪を懲らしめるヒーロー役を請け負うのだが、なにげない日常生活を送るときでもマスクを絶対に取らないのが(笑)、他の特撮ヒーローとは顕著に違っている所だと言えるだろう。
この映画は街に混乱を引き起こす「悪の組織」と、普段は普通にプロレスラーをやっているこのマスクマンたちとの闘いを描いているのである。
ある日、マスクマンたちの守る街の平和を乱す者たちが現れる。
「悪の組織」の手先がミス・コンの美女たちを襲ってさらって行ってしまうのである。
ここら辺の何だかチープなストーリーも昔の特撮っぽい。
本作に出てくる「ショッカーの戦闘員役」として出てくるのが、映画『エル・トポ』なんかにも出てくる小人症の人々である(十数人出てくる)。
彼らはマッド・サイエンティストの科学によって大男をひっくり返すほどもある怪力を手に入れて街で暴れる。
マスクマンたちは果たして美女たちを救う事ができるのか?というお話。
メキシコでは古代の神様を表す「仮面」としてプロレスラーのマスクをした男たち(ルチャドール)が戦う、プロレスのような競技があるそうだ。
それらマスクマンらを主役にした映画を「ルチャ・シネマ」というそうなのだ。
本作では日本でも70~80年代に活躍した仮面貴族のプロレスラー「ミル・マスカラス」が登場して、活躍している。
本作はそういうマスクマン達が、ほぼ仮面ライダー的な物語で悪の結社をやっつける勧善懲悪のヒーロー物語となっている。
ただし、彼らは本職プロレスラーなので、基本的には武器を使わない。
敵が銃を使ったら無防備にやられてしまうし(笑)、なぜか敵と戦うときはいつもプロレスが始まると言うお約束もある。
こういう「ルチャ・シネマ」というのは、カンフー映画のプロレス版なのだろうと思う。
カンフー映画が、カンフーの動きや闘いの面白さを見せるために、カンフーのアクションに映えるストーリーを付けるように、ルチャシネマも「プロレス・アクションが素晴らしく見えるようなストーリー」をくっつけた映画なのだろう。
本作もそう考えて「覆面レスラーたちのプロレスを物語形式で楽しむ」というスタンスで見れば、このツッコミどころ満載のB級映画も十分楽しめるだろう。うーん、これは久々に見て楽しかったおバカ映画だ!