水木しげる生誕100年記念作品「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」見てきた。
僕の鬼太郎は藤商事から出てたゲゲゲの鬼太郎~ブラック鬼太郎の野望~って言うスロットでしたね。訳も分からずエンディング迄見た記憶がある。
直近で何というか…「ガルパンはいいぞ」みたいなミームが生まれたに等しいぐらいには「ゲ謎最高!」と言ったSNS上での評判が良く、今回気になったので仕事をサボって見てきました。ミーハーじみた感覚で見たと言うよりかは、37歳独身無職と言う看板を持ち、金無し貯金無し女無し…妖怪みたいな存在なので、妖怪として先輩の鬼太郎の誕生を見に行ったと言う感じです。
正直な所、真面目にゲゲゲの鬼太郎に触れる機会は家に何か本があった様な覚えがあるぐらいで、あまり昨今のアニメも見ておらず…ギリギリ調べていて、5期と呼ばれるぐらいがリアルタイム昼3時ぐらいに見てたかなってぐらいの知識でして。
アニメ映画は正直ここ最近は食指が全く動かないぐらいには、映画館で見に行くのはな~みたいな。ここ最近アニメコンテンツ全体に後ろ向きな人間だから結構憚られるのもあったりして、作品を追っている訳でもない半端な人間が見に行くべき作品なのか?と言う疑問と一括りにして悪いなと言う気持ちはあるんですが、男性二人のバディ物。タイガー&バニーの流行りをリアルで見てたので、腐女子と形容される方々の何か突出した人気で見に行く物なのか?みたいなそういう目があったんですが…正直とても良かった。
単純に説明をすると…戦後時間が経ち、しがないサラリーマンとして振る舞いつつも弱者で居る事で居たくない水木と言う人間がよく有る話として、諸事情で辺鄙な閉鎖的である村に行き、自分の居なくなってしまった妻を探す鬼太郎の父と出会い、人間のおどろおどろしい部分と戦うよって言うそんな映画。
結構X(元Twitter)等でも確か見た当初の意見として、因習村って言う括りにはされてたんですが…ざっくりとどういう村に行くのかと言われたら確かに横溝正史作品にある様な雰囲気、仲間由紀恵と阿部寛がW主演のTRICKに出てきそうな村に近いかなと思います。前評判からしても、兎に角何か面倒臭え様な村なんだなって言うのはあると思いますが、多分見たら結構馴染み深い設定が故に入りやすいかなと。原作自体を知らないとは言えど、スピンオフだから~みたいな事も無しに入りやすいのは、作品の展開として定石としての設定もあるからなのかも知れません。
個人的に犬神家とかに近いって言うのは凄く感じました。地主みてえな奴が死んで、親戚一同が集まり、余所者は余所者として見られ、関わってくるべきではないと言った様な閉塞的な空間。その中で異端とされる余所者二人の各々が持つ使命の様な物は、果たしてどうなって行くのかと言う期待感はあるかなって。
閉鎖的な村、二人組のバディとなって作品が繰り広げられるとなれば、確かにSNS上でも多い女性受けが多いであろうと言う意見は御尤もな訳ですよ。
だけど結構そんな単純じゃないのが、今回の作品に現れているんですよね。
アニメーション作品として見た時には「お、おぉ…バトルパートも凄いな此れ」って感じで、ゲゲゲの鬼太郎って覚えてる限り見てる所じゃ戦ってますからね。妖怪が出てるって類で似たような所を挙げれば地獄少女の様な勧善懲悪チックな話もあった気がしますが、そりゃ妖怪同士の戦いとしてリモコン下駄が動くわ、妖怪としての底力みたいなのを見せる為に、妖術の様な類を使う人間達とのバトルだのと言う所の画力と言うか動く力が凄い!ってなるんだけど。
結構ドラマ的なフォーカスも強かったとも言えるぐらいには、屋敷の敷居を跨ぐシーンであったりとか、一家が集まってのシーンの一つ一つが丁寧に出来ていて、バトルシーンの凄さってよりかは昨今ドラマとかを見る機会の方が多いので、そういう所に感銘を受けたって言うのが強かったかなと。
今作においてはPG12、何か子供も見れますけど親御さん説明したって下さいよーみたいな括りがあるんですが、ちょっとだけそういう理由なったであろうゴア表現があるんですよ。
此れは少し上記でも書いた犬神家の一族に少し近しい物を感じたというのが、まぁ地主の親戚が無惨に殺されるんですが、ただただグロテスクに人が死ぬのなら良いんですが、結構死に方らしい死に方がまぁ…和風ホラーを模した感じと言うか。結構無茶苦茶な過程で死にはするって言うのはあるんですけど、個人的に元々ホラーはそんなに好きじゃないんで、数を見た事があるとは言えませんが、ミッドサマーに近い痛々しい死に方とかアニメ表現だからこそ割れて死ぬ!みたいな事も無くて、刺さって死ぬシーンが丁寧に描かれるんですけど、あー…何か良いとは思える所もあったかなと。
今回の作品において何を感じたのか?って話になった時に、僕自身は終わり間際の余韻も含めて、随所に現れる美徳とされてる物の正しさの様な物を投げ掛ける所はとても良かったなと感じました。
ゲゲゲの鬼太郎生誕何周年!みたいなお題目なら多分無かっただろうなって展開でして。水木しげる作品って見た時に、今回は総員玉砕せよ!みたいな本当に良かったのか?俺はこうだったぞ?って言う何かを問うような展開がとても多くてですね。結構そのシーン一つ一つのインパクトの様な物は見た皆さんそれぞれで、大きくなるんじゃないかなぁとは思いました。
僕で言えば、結構居酒屋さんって存在に昔から行く機会は多くて。非喫煙者では無い人に囲まれる事も多かったので、煙草を吸う人とか嫌悪しませんし、煙とかも一切気にしないんですが…序盤で煙で咳き込む少女等が目立つのに、誰一人として気を使って吸わないという選択肢も取らず、水木もまた考えに耽りながらまたもう一本の煙草を手にとってみたいなシーンがあったんですよね。…結構煙草の煙でワーキャー喫煙者を追い込む話も多いけど、別に自分は気にしないし、別に良いんじゃねぇのみたいな他人事みたいな視点を持っていた物は、こういう事態も有るんだぞって言うのを直に感じたんですよ。
昭和で美徳とされているお国の為だとか言う綺麗事も、亡くなる事がお前ら美徳なんだぞと言ってる本人は何処かに行き、のうのうと生きてる様は許されるべき事か。
一家の為だと家族の為だと言える言葉の裏は、ただ家族って言う理由を押し付けて、本人の気持ちを鑑みない事はどうなんだとか。
僕が嫌いな所の煮凝りを兎に角味合わせられる感じがした。俺はネトウヨとか昭和の価値観とかで根性論と理屈を理解しない人間の感情論抜きでの議論が嫌いなんですよ。元々自分の地元はそういう物が自然とあって、根付いていて。嫌いだったからこそかな?結構ゴア表現としても頑張ってるし、アニメとしても素晴らしい物を見たと言う感情はあるんだけれど、直近の物よりこうして言語化するにあたって、滅茶苦茶時間が掛かってるのは、こういう物の汚さが自分は分かる、分かるよぉ~と言う感情はあれど、嚥下出来ていないのかも知れない。…直近で炎上じみた発言として取り扱われた、戦争に行かない国土を守ろうとする気概がないと言われた類に該当する男だからか、家族だのとか言う単語で許されようとする男を直で見ているからか…ただ何処か自分が思う嫌いが詰まってた。
根本として、田舎特有と言うか昭和観特有の家父長制みたいな所があるんですが、男尊女卑とは違うまた日本が憂うべき汚さが俺は見せつけられて、抑えつけられた被害者として居る人間はどうなんだって言う問いかけがある気がしてならない。
分かりきってる視点とか寄り添ってる視点が気持ち悪いとは思われるだろうけれど、女性が被害者として扱われている点も、結構何かを感じる人も居るからこそ、やっぱり単なる創作物を生み出す為のまた創作物としての評価だけじゃないのかなとも思う。改めて今回上野のTOHOシネマズにお邪魔をさせて頂いて、女性比率が9割ぐらいあったかな。
ヒロインとしての立場に居る紗夜って言う女性の何処か行きたいと言う憧れは、此処の地獄じゃない地獄なら良いと言うのも通ずる物があるんじゃないかなって。
単なるバディ物として見てしまうよりかは、何処か穿った見方をしてしまってる自分が邪魔をしてる気がするし、だけど見て伝えないといけない事はまだあるんだろうしって言うのを感じる。
結構二回目見て、パンフレット買って…みたいな映画かなって言うのもちょっとあるので、収入が入り次第ちょっと改めて感想は書けたらなと思います。ホンマ語彙力も無ければ構成力もカス、ちんこ、終わり。