#19 2024年に観た配信ドラマの感想+総括!(海外の配信ドラマ、配信映画編)

こんにちは!おりんです。
今回は、2024年に視聴した配信ドラマ・映画の感想・総括の続き。今回は、海外の配信ドラマ(といっても韓国ドラマ5本とアメリカのドラマ1本ですが…)と日本の配信映画2本について語ります!最後に配信作品の総括もやります。

昨年観たのはこちら。Filmarksで書いた感想をもとに、短評を書きます。


①SHOGUN 将軍(Disney+)

ジェームズ・クラヴェルの小説「将軍」を原作としてドラマ化された1980年のドラマ「将軍 SHŌGUN」のリメイク。徳川家康やウィリアム・アダムスら歴史上の人物をインスパイアし、史実から着想を得て作られた時代劇ドラマ。戦国時代末期(1600年代)、関ヶ原の戦い前夜の日本を舞台とし、日本とヨーロッパとの関係・カトリックとプロテスタントの対立・武士たちによる封建社会・戦闘や宿命と向き合い戦う女性の姿が描かれる。

観るきっかけとしては、真田広之、浅野忠信、アンナ・サワイ、二階堂ふみ、阿部進之介、倉悠貴、穂志もえかと実力あるキャストを揃えていたのと、予告を観て大掛かりなロケーションと荘厳で臨場感ある映像に惹かれたからとかなり単純なものでして。あとは、ハリウッドの制作陣が戦国時代をどう描くかが気になっていた感じです。

Filmarksで付けた評価→★5.0

これは凄い…!時代劇ながら重厚感のあるヒューマンドラマに仕上がっていた。この時代の日本人の文化・常識・価値観・忠誠…。それに対する西洋人の文化や常識との対比もえげつない。戦い以上にそれぞれの人物の意思の交差の混じり合いが心を抉ってくる。

西洋人と日本人それぞれの視点で話が進むのが面白かったです。当時の価値観や差別に斬りこんで描いているのを感じました。そこから、戦いに発展したり、価値観を共有したり、正義と差別のせめぎあいが生まれたり。今の社会にもリンクする点があり、視点や習慣が善き方向に進むのか…?という疑問を持ちながら観ていました。

さらに、回を重ねる毎に人物の繋がりや死生観が見えてくるのも凄く見応えがあります。戦いや生き方、"死"に対する感覚・価値観は人物によって違い、それによってその人の人生が左右されていくのがなんとも。邪魔者を抹殺する者、切腹を選ぶ者、大切な人を守る者、正義を振りかざす者。一人一人の背景と意思によるキャラクター描写に移入できました。

それぞれの人物の思念と対峙をしっかり見せていたのが面白かった。戦国時代の日本の死生観・差別的言動・女性陣の活躍も非常に興味深く、映像からストーリーの魅せ方が重厚感あって目が離せませんでした。8話と9話が唸るくらい面白かったし、最終回の対峙は静かながらぐっと惹き込まれました。

Filmarks おりんのレビュー

時代劇とはいえ、戦闘よりも人間模様や社会情勢にフォーカスを当てて展開していたのが面白かった。なぜ差別や論争、戦闘に至ったのか。それぞれの正義や矜恃が描かれることで、起こる事象に説得力と深みを持たせているように思いました。
また、建前に殉ずるという奇異な信念と精神性と死生観を描いていたのも印象深かった。特に、日本人の精神性や死生観は現代を生きる人々にも通ずると思います。あくまでフィクション作品ではありますが、日本人の気質を表現していたのが凄かった。
さらに、戦闘や宿命に立ち向かい、独自の信念・目的・覚悟を持って芯強く生きる女性が描かれていたのも魅了された理由の1つ。それぞれの野望や祈りをもって強かに逞しく存在を魅せていたのに心揺さぶられましたね。

アンナ・サワイさん、二階堂ふみさん、穂志もえかさんのコメントも綴られた、「SHOGUN 将軍」の女性たちの戦いについて触れられている記事も良かったので、ぜひ読んでみてください。


②賢い医師生活 シーズン1(Netflix)

大学時代の同期である医師5人を中心に描かれていく医療ヒューマンドラマ。医師として患者と向き合い治療に奮闘する日々と20年来の友人や病院で働く人々、家族とのささやかで暖かい日常が描かれている。

医療ドラマだけど、ヒューマンドラマ要素が強めと聴いて興味を持ちました。予告を見て、医療ドラマにしては温かく日常描写も多く、万人受けしているのもあって期待を込めて視聴。

Filmarksで付けた評価→★4.1

シーズン1完走!患者やその家族に真摯に向き合う姿を丁寧に、時に残酷に時に暖かく描かれており、医療ドラマとしても人間ドラマとしても骨太な作品。医療従事者が生命と懸命に向き合い、人間の生死の狭間で最善を尽くす姿が繊細。一方で、親友5人の友情パートや上司部下の信頼関係の構築はコミカルかつハートフルで時にシリアス。

患者の症状や生命を守る為に尽くしつつ、笑って泣いて悩んで喜んで食べて寝て生きていく姿がじんわり心に沁みる。絶望も希望も分かちあって、仲間や日常も充実できることがどんなにありがたいことか。自分もそういう人生を送れるように、努力していきたいと思いました。

しかし、終盤で畳み掛けるように恋愛パートが多くなったのは疑問。正直、このドラマにそこまでして恋愛を盛り込みたいのか…?と困惑する展開が回を追う度に増えていきます。友情の回想やバンド演奏は、医療を志し続ける現在や患者とその家族の心情ともリンクする点があるので入れるのは分かるのですが、恋愛を唐突に入れるかつあまりにも恋愛する人物が周りに多すぎて胃もたれ。ほとんどあまり動機を感じられるものではなかったため、もったいなく感じましたね。せっかく医療描写や友情描写がいいだけに。

シーズン2は観るか迷ってます。総合的には刺さる点や感動する点も多くて好きな作品なのですが、シーズン2はさらに恋愛描写が多いと聴いてるので不安が…。

Filmarks おりんのレビュー

期待通り面白かったのですが、終盤の方で恋愛描写が一気に増えたのが疑問でした。みんな流石に職場恋愛しすぎで、そのきっかけや過程もそこまで見えなかったのが残念でしたね。
ただ、キャラクターが個々で悩んだり葛藤したりする姿や患者のバックグラウンドを丁寧に描いたりした点は凄く良かった。人間の尊さや根底にある優しさを終始温かく描いていたのが微笑ましく、じんわり感動できました。

③その年、私たちは(Netflix)

互いに"2度と会いたくない"と思っていた元恋人同士の2人。ある日、高校時代に撮影したドキュメンタリーが人気を集めたことをきっかけに、5年ぶりに再会。互いの成長・再び惹かれるも人生に揺れ動く心が描かれる。 

過去にすれ違いや亀裂が生じて別れてしまったものの、再会してそれぞれの想いを確かめ合ったり、揺れ動きながらもまた惹かれていくという構図が好きなので「これは観たい…!」と思いましたね。また、キム・ダミさんのお芝居が好きなのも視聴の決め手です。

Filmarksで付けた評価→★4.4

人間の複雑な心理を繊細に描いているのが凄く良かった。家庭環境のことや仕事のことで1人で抱えてしまうのに共感。自分だけでなく、他人まで傷つけてしまうのではないか、人生に影響を与えてしまうのではないかと。

展開はわりと王道なのですが、登場人物の不器用さや必要以上に悩んでしまう感じや、人生の中での苦労・些細な感情の揺らぎ・ぶつかる壁に感情移入。回を重ねる度に惹かれていきました。

ウンもヨンスもジウンもNJも日々抱えながら葛藤しながら生きてるのがひしひし伝わってくる。それを丁寧に描いてるのがこのドラマの好きなところです。大人になるほど、考えすぎてしまう。でも、ちゃんと向き合おう壁を越えようとする変化が描かれていたように思います。

学生時代・現在のドキュメンタリーと回想が交差して、変化や感情の揺らぎが見えてくるのも良かったです。初々しかった高校時代から、自分と周りの人のこれからを考えるようになる社会人。辛くて胸が痛くなるシーンもありましたが、葛藤しながらも向き合い続ければ人と繋がれるかもしれないという希望が貰えるドラマでした。また観返したい。

Filmarks おりんのレビュー

ウンとヨンス、2人の長年の繋がりと想いの変化に徐々に惹き込まれて胸が熱くなる話でした。2人は学生から大人に向かっていく中で様々な挫折、後悔、葛藤を経験していくのですが、すれ違った理由が切なすぎて辛かったですね。
ただ、再会する中で互いの優しさや居心地の良さを実感して2人がまた向き合い始めたこと、想いを吐露するようになったのに泣けました。ぶつかって壁を乗り越え、成長し愛し合うのが素敵。また、周囲のキャラクターも様々な想いを背負いながらも、優しくてひたむきで愛おしかったです。

④ウ・ヨンウ弁護士は天才肌(Netflix)

自閉症スペクトラム障害を持つウ・ヨンウは、大手法律事務所で働く弁護士。様々な困難にぶつかりつつも弁護士チームと協力して、自身の優れた記憶力や独自の視点を活かし、数々の依頼を解決していく物語。

韓国でも日本でも大ヒットした作品で、気になっていたのが視聴のきっかけ。自閉症スペクトラム障害を持つ弁護士の主人公がどう奮闘していくのか、周囲の人物との関係をどのように築いていくのかに注目したいと思っていました。

Filmarksで付けた評価→★4.0

ヨンウの生い立ち/弁護士としての成長、事件から裁判の流れ、被害者・加害者の心理描写が丁寧かつ分かりやすく、エンタメ作品としても上手く纏められていて面白かったです。その一方、ジュノとの恋愛パートがベタに進んでいくので、需要は感じられず。

自閉スペクトラム症描写は若干美化してる感は否めないけど、ヨンウ自身が努力して信頼を築いていったり、同じ自閉スペクトラム症でも特性が違う人物が出てきたり、ヨンウを育てる父親の苦悩や捨てた母親のことも描かれていたりするのが良かったです。

ヨンウの苦悩と成長、覚悟が徐々に見えてくる描写から、ヨンウを応援したいと思えました。あとは、ヨンウとは特性が違う人物の心情や対話が細かく描かれており、どう想いを汲み取っていくか関わっていくかを考えさせられましたね。

弁護士として一緒に奮闘していくミョンソクさんとスヨンが特にいいキャラしてましたね。ミョンソクさんは部下としてというより、1人の人間として接しており、個人のスキルを活かしながらも人柄を尊重していたように思います。スヨンも最初はヨンウと馴染めずにいたけど徐々に打ち解けていって、良き同志かつ友人になったのが印象的でした。

ヨンウとジュノの恋愛に関してはあまり入り込めず。ジュノは優しく包容力のある印象ではありましたが、大きく惹かれる点はなかったですね…。都合が良すぎるというか。ジュノがなぜそこまでヨンウが好きなのか、ヨンウを大切にしようと思えたかがもう少し伝わってくると良かったんですが。

お仕事ドラマとしてはなかなか見応えあるのに、そこにベタな恋愛が入ったことで個人的には凄くハマれるまでにはいきませんでした。でも、ヨンウが弁護士として奮闘し活躍する姿は素晴らしく、法廷シーンも緊張感が感じられて良かったです。

Filmarks おりんのレビュー

評判通り、話の構図もキャラ付けも面白かったです。事件の背景と解決に至るまでの糸口を描いたり、ヨンウの背景と一緒に事件に立ち向かう弁護士たちとの人間模様から徐々にヨンウの成長が感じられて見応えありました。
個人的には、ミョンソクさんがすごく好きでした。部下に対して仕事仲間として向き合うだけでなく、1人の人間としてそれぞれ接していたように思います。自身の過去の失敗や苦悩をヨンウに話していたのも印象に残っています。
ただ、ヨンウとジュノの恋愛模様はあんまりでした。ヨンウに惹かれた理由や守りたい想いがもう少し見えたらまた違っていたかもしれませんが、需要性を感じられませんでした。

⑤マスクガール(Netflix)

自分の外見にコンプレックスを持っている会社員のキム・モミは、仕事が終わった後に仮面で素顔を隠し、インターネット配信を続け一躍時の人となった。しかし、あらゆる不運な出会いや出来事に巻き込まれ、人生が一変していくサイコスリラー。

予告を見る前は、ルッキズムを軸として描かれるのかと思いきや、想像以上にサスペンス要素が強そうで驚きました。キム・モミの純粋な承認欲求から何故狂気が加速し犯罪に手を染めていったのかが益々興味深くなったので観ることに。

Filmarksで付けた評価→★4.2

観終わった後の第一声は「きっつ…!!」でした。これは、出てくる人物(特に男性陣)がひたすら気持ち悪く、ルッキズムに翻弄されて堕ちていくモミを見て胸が痛くなり、復讐の連鎖に恐怖を感じ、現実の毒々しさが詰め込まれているように感じました。

人間が外見を重視し卑下したり、弱者男性が性犯罪に走ったり、愛が恨み憎しみに変化したり、1つの殺人から暴走したり。展開はかなりてんこ盛りだけど、人間の醜さが一貫して描かれていました。未だにこういう偏見や差別、暴力があるから人生を狂わせてしまうんですよね。日本でも海外でももっと厳しく対応して欲しいものです。

あまりにも妬みすぎ、人を殺しすぎとはなるのですが、人間って意外と執念深いと思っているので、暴走していく人物の心情や行動に目が離せませんでした。何がきっかけで犯罪を犯したか、暴走に走ったか、闇に堕ちていったか。その描写が登場人物それぞれにあったのもあり、没入しながら観れました。7話構成で疾走感ある展開なのも良かったと思います。

Filmarks おりんのレビュー

かなり気持ち悪くて怖かったです。急展開に度肝抜かれるし、主人公がルッキズムに翻弄されて転落していくのが恐ろしくも辛かった。外見をいじる上司、歪んだ愛に暴走する弱者男性やその母親、理不尽に暴言や暴力を浴びせる男性陣の胸糞悪さは半端ない。卑下・欲望の暴走・復讐が醜くも哀しい。
ノワール味が強く、ルッキズムによる偏見や性加害、DVといった背景から犯罪にどんどん手を染め暴走していく今作。主人公が堕ちていくのも見どころではありますが、個人的にはモミとチュネのシスターフッドが好きです。似た者同士高めあっていく関係であり、共犯関係でもあり…。愛おしくも苦しい友情でした。

⑥無人島のディーバ(Netflix)

離島で暮らし歌手を夢見ていた少女・モクハ。オーディションに向かうが、不運にもDV父に迫られ船から転落して、無人島に漂流してしまう。15年後、清掃活動で島を訪れた兄弟に救われ、モクハは新たな生活を送ることに。憧れの歌手・ランジュとも出会い、歌手の卵として再出発する物語。

設定がなかなかファンタジーではありましたが、歌手を目指して再出発するヒロインの成長物語に惹かれて視聴したいと思いました。また、「eye love you」以来注目している、チェ・ジョンヒョプが出ており、彼の出演作をチェックしたかったのも視聴理由です。

Filmarksで付けた評価→★3.5

ファンタジーな設定ながらも、憧れの歌手から影響を受けて夢を追いかけるモクハの姿に毎話心打たれた。夢に向かって進んでいく主人公は純粋に応援したくなる。歌が好きで人懐っこいモクハが可愛すぎたし、憧れの歌手とのシスターフッドやカン親子の絆に胸が熱くなりました。

カン親子のバックボーンはかなり壮絶で複雑だったけど、幸せに生きていきたいという願いが凄く伝わってくるものでした。かなり話すとネタバレになりそうなので詳しくは言えないのですが、ボゴルとウハク兄弟とその母親は相当辛かったのに、よくここまで乗り越えてきたな…と感じましたね。養父の温かい愛情にはグッときました。

しかし、DV父親の執着ぶりを引っ張るのと、後半モクハのデビューの描写が薄いのは残念。DV父親の件はカン親子やモクハの過去に関わっている以上、必要だとは思うんです。ただ、それにしても引っ張りすぎて物語の軸から逸れてしまったような。早い段階で蹴りをつけて、モクハのデビューまでに至る葛藤や成長をじっくり描いて欲しかったですね。

パク・ウンビンは終始無双してました。「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」を観る前にこちらを観たのですが、ナチュラルな天真爛漫さに惹かれましたし、歌声に透明感があって感情も乗っていて感動しましたね。パク・ウンビンの演技と歌声が良すぎたので、結果観て良かったです。

Filmarks おりんのレビュー

まず、モクハが魅力的すぎる。打たれ強く、憧れを追いかけて夢を諦めず生きていく姿にグッときたし、人懐っこくて愛嬌のあるキャラクターがチャーミング。パク・ウンビンの演技力も大きいと思いますが、モクハのキャラ付けが好きでした。透明感のある歌声も素晴らしい。
また、カン親子との出会いも運命的でした。この親子はかなり複雑な家庭で、壮絶な暮らしと様々な困難を乗り越えてきたんですよ。回を重ねる度に、モクハにとってこの親子が大きな存在となるのですが、真実を知ったときに泣けてきました。
とはいえ、DV父の執着ぶりは引っ張りすぎていたような。後半まで引っ張ったせいで、物語の軸がぶれてしまった印象。モクハのデビュー、カン親子やランジュとの絆を深掘りして欲しかったです。

⑦シティーハンター(Netflix)

北条司原作の同名漫画を実写映画化。本作では、現代の新宿を舞台とし、獠と槇村のバディ時代、槇村の妹・香との出会いが描かれている。また、冴子とのやりとりや謎の薬品(エンジェルダスト)が関わった事件も見どころとなっている。

本作は観る前から楽しみにしていました。「シティーハンター」はアニメを2期までしか観れてないのですが、大好きな鈴木亮平と安藤政信がバディ役なのが嬉しくて(これが1番の理由)。また、安藤政信が演じる槇村が作中で特に好きなキャラであり、様々な役をこなし信頼を置いている鈴木亮平が獠、森田望智が香を演じるのも楽しみでした。

Filmarksで付けた評価→★4.1

面白かった!!ストーリー自体は現代味強くてわりとベタな展開ではあったけど、約100分ですっきり収まってて観やすかったです。

「シティーハンター」は、以前アニメをシリーズ2まで観ていた程度です(1ヶ月前に映画に備えてシーズン1観返しました)。今作の映画は、獠と香がまだバディを組む前の話+舞台が現代の新宿ということで、どう進むのだろうか…と思いながら視聴。

舞台を現代にした不安はだいぶ大きかったですが、現代の新宿の様子が要所要所で描かれていた点、下品になりすぎない程度のコメディに仕上がっていた点、依頼・事件の展開がテンポ良く進んでいた点から最後まで楽しんで観れました。

さらに、キャスト陣がキャラクター設定を汲み取って演じていた点、原作を躊躇した設定をストーリー内にしっかり組み込まれていた点が好感。キャスト陣・スタッフ陣が原作へのリスペクトを込めて作ったのが伝わってきました。最近アニメを観返していましたが、躍動感あるキャラクターと物語のテンポ感が見事に再現されていたと思います。

鈴木亮平は冴羽獠のコミカルさからケレン味、正義感まできめ細かく再現していて圧倒された。想像以上に"冴羽獠"そのもので、鳥肌立ちました。丁寧に愛を込めて役作りされたんだなと感動しました。

森田望智演じる槇村香、安藤政信演じる槇村秀幸、木村文乃演じる野上冴子も適役だと思いました。森田さんは等身大に香を演じていて覚悟や執念が見えたのが凄く良かった。安藤さんはナチュラルに儚く槇村を演じていて、獠とのバディ感・槇村の死による喪失感に説得力を持たせていました。木村さんは冴子の仕事ぶりから冷静さを表現しており、今作の空気を締めていたと思います。

個人的には、序盤の鈴木亮平×安藤政信が軽快に重厚に演じる獠×槇村のバディが非常に胸熱で。序盤で2人が作り上げたバディの空気感に惹き込まれたからこそ、槇村の死が苦しく余韻の残るシーンになったのだと感じています。

今作のオリジナルキャラクターである、くるみちゃん役の華村あすかも凄く良かったです。絶望から希望に向かうまでの表情を繊細に表現していたのが素晴らしかった。コスプレイヤーとして活き活きしていた姿に、グッとくるものがありました。

実写化作品としても、エンタメ作品としても見応えがあり、獠を始めとしたキャラクターたちの活躍に注目したいと思えました。次回作があれば、海坊主や美樹も登場して欲しいし、香の成長を見たいし、獠と冴子の活躍ももっと見たい。槇村も回想で登場するといいな。シリーズ化希望です!
(さらに欲を言うと、バディ時代の獠×槇村のスピンオフ欲しい…!)

Filmarks おりんのレビュー

舞台を現代にしたことで、シティーハンターの世界観と現代の新宿が上手くマッチするのか、という心配はあったのですが…。いい塩梅のコメディ感と展開のストレートさが爽快で、キャラクターの魅力を損なうことなく纏めていたのが良かったです。
個人的には、楽しみにしていた鈴木亮平×安藤政信の獠×槇村バディが、愛くるしくも儚くて魅了されましたね。軽快なやりとりに対照的なアクション、垣間見える信頼関係を亮平さんのきめ細かい芝居と安藤さんのナチュラルな芝居で魅せていたのが非常に良かった。だからこそ、"槇村の死"による喪失感がより一層感じられました。
森田望智と木村文乃も良かった。森田さんに関しては改めて変幻自在だな…と。「虎に翼」の花江ちゃんの役作りも凄いけど、「シティーハンター」は声から所作まで香ちゃん。文乃ちゃんが演じた冴子は、クールな佇まいがかっこよくて、作品の雰囲気をビシッと締めてた。

余談ですが、シティーハンターのブルーカーペットイベントの鈴木亮平と安藤政信が可愛くて動画や写真を定期的に見てるんですよね…。
亮平さんのおおらかさと、安藤さんの無邪気さが最高。大好きなお2人の人柄と仲良さが伝わってくる絡みに胸熱。

Netflix映画『シティーハンター』ブルーカーペットイベント | Netflix Japan

安藤さんファンの私としては、いつも以上にノリノリで、肩組んだりピースしたりするのがほんと可愛すぎて微笑ましかった…!


⑧余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。(Netflix)

森田碧原作の同名小説を実写映画化。高校1年生の早坂秋人は心臓病で余命1年と告げられ、ある日余命半年の少女・桜井春奈と出会い、限られた時間の中で恋が始まる物語。

普段こういう作品は観ないのですが…。キャストに好きな役者さんが多く、Filmarksでの評判が良かったので視聴することにしました。

Filmarksで付けた評価→★2.7

うーん、なんで余命ものって美しく描こうとするの…?メイン2人が明るく1日を生きようとする姿勢が見えたのはいいけど、起こる出来事が予定調和に感じて入り込めず。全く泣けませんでした。

個人的には、もういい加減余命ものは"美しく、儚く"みたいなパッケージ的なのはやめて欲しいな…と思ってしまいます。壮絶な闘病が丁寧に深く描かれているか、人物の繋がりに入り込めるかしないと刺さらない。

しかし、全くハマれなかったものの、役者は良かったです。永瀬廉も出口夏希も横田真悠も表情の機微の表現が上手い。出口夏希さんは今作の芝居が過去1良かったように思います。今後、出口さんはナチュラルさと可憐さが活かされる役が来るといいなと感じましたね。

あと、木村文乃がめちゃくちゃ光属性で最高に可愛かったです。木村さんの可愛さとキャラクターの良さで加点。

Filmarks おりんのレビュー

演者も良かったし、キャラクターの位置づけも悪くなかったのですが、やっぱり展開が予定調和に感じてしまって入り込めませんでした。個人的には、闘病の苦しさと必死に生き抜こうとする姿が見えないと没入できないのかもしれない。話も演出も綺麗すぎる。
とはいえ、出口夏希の演技は個人的に過去一いいなと思った。純粋で、可憐で、真っ直ぐな瞳が印象深かったです。夏希ちゃんは、どちらかというと頑張り屋な役よりも、繊細でどこかあどけない感じの役の方がハマるのかもしれない。

◎配信作品の総括

日本の配信作品は、地上波よりもキャスティングや題材、撮影に力を入れているものが多くなったように思います。ただ、全体的に題材やコンプライアンスの扱い方、話の構成、映像技術ともに追いついていない感じがします。
面白い作品もありましたが、題材や演出のセンシティブさが露骨に出ていたり、内容の面白さが伴わなかったりして、ハマりきれない作品も多いように思います。特に恋愛ものや政治・事件を扱った作品。民放の作品と比べたら見やすくはなっていますが、話数が足りないのかキャラクター描写が薄かったり、そもそも内容が中途半端orご都合展開になっている印象です。

今年は韓国ドラマも何本か視聴しました。話数が多い分、キャラクターのことをより深く知れたり、出来事の背景が描かれていたりするので作品に没入しやすい印象を受けました。また、映像も自然な映りで臨場感があり、その点では日本より脚本・映像演出の制作費を費やせていると思いました。制作費が全てではないですが、あまりにも話数が少なかったり、映像がチープだったりすると制作側の必死さを感じてしまうので…。
ただ、ファンタジーな設定の作品で展開の強引さを感じ、唐突な恋愛描写に困惑したのは否めなかったですね。題材がかなり豊富で、発想膨らませて作品を作るのは面白い試みです。しかし、ファンタジーな描写の作品はよほど心理描写が丁寧でないと演技力や映像技術の高さをもってしても入り込めない。また、恋愛ドラマでなくても時折挟まれる恋愛描写が唐突かつ背景が薄かったりすると「この恋愛…物語に必要?」と疑問に思います。自身の好みの問題でもありますが、題材に斬り込み、キャラクターの心情が見えてくる作品が好きですね。

昨年観た漫画の実写作品は、ガンニバル、1122(いいふうふ)、シティーハンター、【推しの子】でした。ガンニバル、1122(いいふうふ)は原作を読めてないので何とも言えないのですが、シティーハンターや【推しの子】の完成度の高さを観ると、漫画の実写作品は配信コンテンツの方が予算や時間をかけて仕上げられるのかもしれないと思いました。
ドラマも映画も、限られた話数や時間の中で、いかにリアルに落とし込むか、キャラクターの軸をぶらさないか、原作を基に起承転結を意識して展開するかが鍵になると考えています。それを踏まえると、シティーハンターも【推しの子】も設定や展開の改変があったとはいえ、キャラや展開の要点を抑えながら纏めていた。映像やアクションは、キャラへのスポットを当てたり、場面自然に立体的に魅せており、原作を顕現しようという意欲が感じられました。そういう想いのあるスタッフやキャストを集めて作品を作るのは、今後配信コンテンツが主流になってくるのかもしれない…と思いました。

今年は、日本のドラマや映画も観ますが、海外のドラマや映画も少しずつ観ていけたらと思ってます。もし、おすすめの韓国ドラマや海外作品がありましたら、教えていただけたら嬉しいです。
以上、第19回の投稿でした。最後まで観てくださり、ありがとうございました!

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