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漢方医学の常識は、現代医学の常識になりうるか?

あるテレビ番組にて、風邪対策として昭和の常識は令和の非常識!?的な感じで取り上げられていました。
その内容が気になり、中国医学の内容も絡めて内容を進めていきます。

概要と解説

昭和で常識だったこと→令和の新常識

・風邪を引いたらビタミンCを取る。→ビタミンDを取る。
ビタミンDには、細胞の分化を促し、免疫細胞のマクロファージを増やすとされ、腸で働くとされます。
一番簡単なのは、日光浴をすることと言われています。

・風邪を引いたらお風呂に入ってはダメ→お風呂は熱が無ければ入った方がいい。
風邪の引き始めで発熱が無ければ、入浴はかえって体力を消耗する自己産熱よりも、体温に近い温度のお風呂で体温をあげる方が免疫が働きやすくなるためだそうです。
また、風邪を引いている時は、交感神経が亢進していることもあり、入浴により副交感神経を優位にさせる効果も期待できるとか。

・早く治すために大量に汗をかく。→熱を下げるためであっても、汗は大量にかかない。
ポイントは、大量発汗は避けることと、症状がある時は、ウイルスがまだ残っているので症状が治るまで完治とは言えないとのことでした。

・風邪を引いたら安静に休む。→熱が無ければ軽い運動くらいはした方がいい。
理由は入浴と同じなので割愛します。

・おでこを冷やす→頚部、腋窩、鼠蹊部を冷やす。
皮膚が薄く、大きめの血管があるのもあり、熱中症などの処置にも使われますね。

・風邪をひいたら無理にでも食べて栄養を摂る。→腸に負担がかかるので、無理に食べない。
まあ、そうでしょうね。薬の服用などで、どうしても食べるときは、おかゆが良いそうで、カロリービタミンが摂取できるからとのこと。また、マルチビタミンのゼリーなどもOKだそうでした。

・予防として、手洗い・うがいをする。→インフルエンザでは、うがいは有効ではない。
厚労省でも、インフルの予防は、ワクチン・外出を控える・部屋の湿度を高めにする・栄養をとる・手洗いをすることが推奨されています。
うがいは、かえってウイルスの拡散リスクがあるとか。

中国医学

ここでは、手洗いや冷やす場所については特に中国医学では言われないので、他の項目についてご紹介します。

ビタミンDが免疫細胞を増やす理由を、無理やりこじつてみた。

"正気存内、邪不可干"

黄帝内経

正気が体内にあれば、邪気は侵入しない。つまり、体の中にエネルギーがあれば、外的な病原と対抗して負けないと言った意味です。

正気は、真気と言う生まれ持ち先天的なエネルギーであり、後天的には飲食・呼吸から得られます。

真気は、腎と言う臓でエネルギーを蓄えます。目減りはしますが、その活性ができ、目減りの速度をゆっくりすることも出来ます。

冬の養生に、朝は太陽が出るまでゆっくり寝てると言う言葉があります。太陽の光が腎を温めて真気を活性化させ、免疫力を上げるわけです。

話をつなげると、太陽の光を浴びることで、ビタミンDを活性化させ、カルシウムの生成が行われます。腎は骨髄の支配にあり、カルシウムの生成により腎が補われ、別ではマクロファージが生成されてるってことになります。

ついでに、冬季うつ病などは、日光量の少ない北日本に多いと聞きますので、紫外線も心配ですが日光は少しでも浴びときましょう。

中国医学の古典から知る、風邪の新常識

他の項目は、傷寒雑病論の太陽篇、桂枝湯(けいしとう)からピックアップします。

原文
桂枝 三兩、芍藥 三兩、甘草 二兩(炙)、生薑 三兩(切)、大棗 十二枚(擘)。
上五味,咬咀,以水七升,微火煮取三升,適寒溫,服一升。

服已須臾,啜熱稀粥一升余,以助藥力。溫覆令一時許,遍身漐漐微似有汗者益佳,不可令如水流漓,病必不除。

若一服汗出病瘥,停后服,不必盡劑;若不汗,更服如前法;又不汗,后服小促其間,半日許,令三服盡。
若病重者,一日一夜服,周時觀之,服一劑盡,病證猶在者,更作服;若汗不出,乃服至二三劑。

禁生冷、粘滑、肉、面、五辛、酒酪、臭惡等物。

傷寒雑病論

桂枝湯は、主要効果の一つは、風邪の初期症状で、発汗を伴う場合に使用します。

この処方に、葛根と麻黄を加えれば葛根湯、水あめを加えれば小建中湯と言う汎用性の高い処方です。また、芍薬甘草湯の成分も含まれます。

桂枝湯の適用には、脱水による症状や、それに伴う体の痛みなどに使われる傾向があります。

この桂枝湯の服用法では、汗をかいた風邪状態の時に服用をしてから、お粥を食して毛布などで体を覆い、軽く全身が湿る程度の汗をかくよう指導しています。

また、汗をかかなければ少し体を動かして、それでも出ないようならばもう一服するようにとしています。

まとめると、風邪の初期である場合、体を温める、運動をする事で軽く発汗をさせる。おかゆを摂る事で、体を温めて、カロリー摂取をする事が大事であると言えます。

また、風邪の間には冷製食品、脂っこいもの、肉、麺、五辛(韮、葱、蒜、薤、薑。)、臭悪の物を食べるなとあります。

やはり消化の働きを邪魔するものや、負担のかかるものは避けろと言うことになりそうです。
ビタミンDも腸で7割活性するとのことなので、ここにも共通点は見いだせそうです。

以上、令和の常識は、中国医学の知識に近づいてきたとも思われるトピックだったので、中国医学の風邪の対処について、傷寒雑病論に記載される桂枝湯(けいしとう)の項目から話をさせて頂きました。

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