立腰という言葉
「立腰(りつよう/たてごし)教育」ってご存知でしょうか?
提唱者は、森信三氏(1896〜1992)で、教育者であり哲学者の方です。
簡単にいうと「腰を立てる」ことなのですが、言葉の表現というのはとても難しいものです。少しの理解の違いで、齟齬が出るってものです。
カラダにおける、言葉の齟齬
カカト
その前に、「カカト」と聞くと、どこを想像しますか?
ウォーキング・散歩などでカカトを着けて歩きましょうという話は良く聞くわけです。
でも、カカトは「足の後ろ側にあるとがった骨のあたり。」という認識をされる方が多く、とがった場所が地面に当たればバランスが崩れて歩きにくくなるわけです。下の図で言えば、黒丸に当たる部分です。
本来ならば、青い部分に地面を当てるというのが正解と言えるでしょう。
以下の図の通り、カカトの骨は着地面が一番広い骨です。よって、その場所で着くのがバランスがとりやすくなります。
以上のように、イメージによる認識により、その理解は変わります。
立腰
結論から述べると、以下のとおりです。
森氏は立腰についてこのように述べています。
方法
一、腰骨を立て
二、アゴを引き
三、つねに下腹の力を抜かぬこと
原文は、非常にシンプルです。次に、現代的に訳された表現をその紹介の原文のまま記しました。
ついでに、立腰の効果も書いておきます。
効果
持続力向上
集中力向上
行動が俊敏になる
内臓の働きが良くなり健康的になる
精神や身体のバランス感覚が鋭くなる
身のこなしや振る舞いが美しくなる。
立腰教育をしているところによる、方法の説明例
例A
お尻を思い切り後ろに引く。
それとは逆に腰骨を思い切り前に突き出す。
ひざとひざは、男子はこぶし 二つ分、女子はひざとひざの間をあけない。
肩の力をぬき、ややア ゴを引く。 下腹に力を入れる
例B
椅子に腰かけ両足を閉じて床につけます。
お尻を背もたれの方に突き出します。
腰骨を前に出します。
下腹部に力を入れ、あごを引いて肩の力を抜きます。
以上になりますが、ここでポイントなのは「腰骨」という表現です。解剖学的には無い用語です。
一見して、背骨とも取れるし、骨盤とも取れる内容です。
例A・B同様に感じるのは、「お尻を椅子につけて、反り腰を作る」と取れる内容になります。
そのことにより、ある方は立腰の悪影響を、以下のような症状が出ると書いていました。
考えうる悪影響
体調不良が起こる。頭痛、首の痛み肩こり、腰痛、めまい、吐き気・動悸・自律神経失調症などなど
とのことです。
ただし、森氏は武道歴がある方であることから考えると、骨盤を立てることは仙骨を後ろに倒すことになります。なかなか、骨盤を前に倒してする武道がないと自身としては認識しております。
文章一つ、言葉一つとっても、その理解や見方が異なると、大きく物事が変化するという見識を得られました。
また、場合により原文をたどったり、バックグラウンドを知ったり、派生を調べてみて、「近い答えのようなもの」を探し考える大事さを感じるのでありました。
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