『南総里見八犬伝』の思い出
本日は、『南総里見八犬伝』に関する思い出を、書いてみようかと思います。
『南総里見八犬伝』は、江戸時代後期の戯作者・曲亭馬琴によって書かれた長編ファンタジー小説です。
あらすじなどは、上のWikipediaに詳しく書かれていますので、そちらを参照下さい。
この作品、江戸時代から歌舞伎や舞台として何度も上演され、昭和以降も映画やドラマ、アニメなど、さまざまな媒体にて描かれています。
そんな八犬伝と私の出会いは、小学生の時です。
NHKの人形劇の『新八犬伝』でした。
私はたぶん、もともとファンタジー的な要素のある作品がけっこう好きだったのだと思いますが、この『新八犬伝』にもすっかり夢中になりました。
1回15分とはいえ、NHKなのでCMなしのギュギュっと中身の詰まった15分です。
人形製作は、辻村ジュサブローさんで、どのキャラクターもとても個性的でした。
私が一番好きだったのは、犬塚信乃と犬坂毛野の2人でした。
まあ、当時からイケメン? が好きだったようです。
そしておそらく、信乃役をやっていた近石真介さんが、私が初めて名前を覚えた声優さんだったんではないかと思います。
……と書いて、今、Wikipediaを見たら、井上真樹夫さんが出てらして、びっくりしてます(;^ω^)
ちなみに、井上さんは、私的には『ミクロイドS』が初めましてだった気がするんですが(そして、ヤンマが大好きでした)……それより前に、お声を聞いていたのですねぇ……。
それはともかく。
話の内容もキャラクターも、そして坂本九ちゃんの語りも面白く、最終回までほんとに夢中で見たものでした。
そして、その記憶があるせいか、私にとって八犬伝は、特別な作品の一つになっています。
八犬伝の映画化やアニメ化されたものは、とりあえず見れるものは、見て来ました。
そんな中でも印象的だったのは、1983年の角川春樹製作の『里見八犬伝』とNHKのドラマ『深く潜れ!~八犬伝2001~』です。
映画の方は、いかにも角川春樹といった感じで面白かったです。しかもキャストが全体に特撮っぽくて、そこも特撮ファンにはたまらなかったですね。
人形劇でもそうでしたが、八犬伝でいつも一番印象に残るのって、実は悪役の玉梓で、この映画でも夏木マリのインパクトがすごかったです。
一方の『深く潜れ!』は、それほど八犬伝を踏襲したお話ではないのですが、タイトルに興味を引かれて見始めました。
前世でソウルメイトだったと言われた7人の男女の、現実と心の物語です。
7人がセラピーのために行く島が軍艦島でして、内容もそうですが、映像的にも私の好みにめちゃくちゃぴったりなドラマでした。
あと、八犬伝そのものを扱っているわけではないですが、朝ドラ『らんまん』で、主人公の妻・寿恵子が八犬伝ファンという設定だったのが、今でも印象に残っています。
なんだか八犬伝ファンというだけで、最初のころから親近感が湧きました。
若い方の中には、このドラマで八犬伝のタイトルを初めて聞いた、という方もいるかもしれませんね。
さて。
現在公開中の映画の中に『八犬伝』があります。
これは、山田風太郎原作の小説『八犬傳』を元にしたもので、作者の馬琴の物語と八犬伝の物語が交互に描かれるというものです。
映画はまだ見てないのですが、原作小説は実はかなり昔に読んでいました。
映画の予告をYouTubeで見て思い出しまして、今回、この記事を書こうと思いついた直接の理由です。
はっきり言って、予告を見るだけで、かなりワクワク、ウルウルしてしまいます。
たしか馬琴は40代からこの長い物語を書き始め、途中で失明し、息子の嫁の力を借りて、完結させます。
書き終わった時、馬琴は70代でした。
映画の予告にも、このあたりのエピソードらしいシーンが出て来るのですが、それを見て、私は本当に強く思いました。
たとえ体のどこかが悪くなっても、生きていさえすれば、完結にたどり着けるのだと。
しつこいと思う方もおいでかもですが、私の頭には、栗本薫のことがありました。
生きてさえいれば……と。
いえ、彼女だけではなく、近年、多くの作家・マンガ家さんたちが、長く書き続けた作品の完結を見ることなく、亡くなっています。
それは彼らの寿命というものなのかもしれないけれど、それでもやっぱり、「生きてさえいれば」と思わずにはいられません。
そう考えれば、馬琴が長命であったこと、そして失明しても目の変わりとなってくれる人がいたことを、私たちは幸運だと思うほかないと感じます。
おかげで私たち日本人は、200年もの間、このすごくて素晴らしい物語を読み継ぎ、さまざまな媒体に落とし込み、楽しむことができているのですから。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!