絵の額について(仮額と本額)
今回は額についての記事です。
簡単な取り付け方と構造もこの記事で紹介しています。
*額の使用者目線での記事ですので、額の専門用語などは省きます。
額には大まかに仮額と本額があってそれぞれ用途が異なります。
《仮額》*制作者のための保護用額
主にコンペや公募展に出展する際に使用され、個展やグループ展での展示の際にも使用されます。大きな絵画(50号以上)に使用されることが多いです。画面保護のアクリル板がついていないため、直接画面に触れることができてしまう。仮額の方が本額より安いです。もちろん販売も可能です。
仮額はキャンバスやパネルの四辺を囲うようなシンプルな形のものなので、公募展やコンペに出品する場合は幅3,5〜5cm程の板をホームセンターなどで購入して仮額として使う方もいます。(学生の場合に多い印象)
また百貨店やギャラリーの個展でも大きな作品にはしっかりした仮額を使用される方はおられます。(ちなみにF50号とかの本額はめちゃ高いです)最近はオシャレな仮額もあります。
《本額》*お客さんに販売用の額
本額は販売する作品に使用する額です。商品として完成された額です。
画面保護のためのアクリル板があり、見た目は高級感があるものも多い。デリケートなものもあり、額屋に作品をあらかじめ渡しておいて施工してもらう形になります。
価格はF4号くらいだと安くて6000〜10000円からで購入できます。作品サイズが大きくなるにつれ値段は一気に高くなっていきます。
さらに本額の中にもパネルやキャンバスもそのまま額装できるもの(油額、日本画額、ボックス額)や紙媒体の薄いものを額装でき、マットも使用できるタイプの額(デッサン用額、写真用額)もあります。
→アクリル板がついているものは本額、アクリル板がついていないものは仮額という認識で概ね問題ないかと思います。
以下画像と一緒に紹介していきたいと思います。
例: 仮額
例: 本額(ボックス額) *立体フレームとも呼ばれる
例: 本額(デッサン用額)
【仮額】
簡単に取り付けることができる仮額から紹介します。アクリル板が無いので、画面の接触に注意です。あと絵画の背面もパネルの骨組みが剥き出しになります。
⬇︎割と安く購入できるタイプの仮額。F50号用。
*価格は忘れてしまいました。
⬇︎ビス穴があるタイプなので、電動ドライバーを使って固定するタイプ。
*ちなみに手回しのドライバーだと厳しい。
⬇︎イメージです。これは立派すぎますが、ホームセンターなどで買える電動ドライバーなどでも十分です。
⬇︎付属品たち
⬇︎金具で角は固定できます。
⬇︎取り付け後はこのような雰囲気になります。
⬇︎角部分の拡大
【本額】
・ボックス額 *立体フレームとも呼ばれます
⬇︎このような見た目の額になります。
*本額の拡大
⬇︎背面
⬇︎裏板をはずしてみると。
⬇︎作品が固定されている板です。
⬇︎さらに作品が固定されている板を取り外してみると。
⬇︎作品が固定されている板はこんな感じ。
本額はデリケートな作業になりますので、額屋か画材屋(額も扱っている所)に取り付けをお任せする方が無難かと思います。
*ちなみにシールとは作品名と作家名が書いてある作品に付ける証明のようなものです。
⬇︎本額には防虫や防臭など保存に便利な黄袋と箱がついてくる場合もあります。(要確認)
個人的にこの額が好きで、作品販売時などによく使用しています。
・写真用額、デッサン額 (マットを使用する場合)
写真用額とデッサン額はほとんど同じものが多いです。
マットは作品サイズが既に持っている額のサイズより小さいときや、マットで四辺を隠したい時などに使用します。マットを使用することで作品としての見た目を整え、アクリル板との接触も防げるので作品の質を保ってくれる役割もあります。
*マットは額屋や画材屋(額装も行う所)で頼むと有料ですが制作してくれます。
↓マット
①フレーム②マット③発泡スチロール④裏板
⬇︎マットの表、裏 *表の方に絵がきます。間違えないように注意。
⬇︎絵があると想像してください。
⬇︎貼ってはがせるテープを使って作品を固定していきます。
⬇︎上部2箇所、横幅2箇所の長さをそれぞれ同じにします。
⬇︎今回は貼ってはがせるテープを使います。
⬇︎貼れました。
⬇︎最後にフレームに入れていきます。
⬇︎固定用の金具も忘れずに。
・マットを使わない場合(ピッタリの時)
マットが無いのでそのまま入れるだけで完成。
⬇︎完成。超簡単です。
まとめ
今回は額について(仮額と本額)の記事にていくつかのタイプの額を紹介させていただきました。
額装も作品の雰囲気に影響するため、自分の作品にあったものを見つけておくといざと言う時に焦らなくて済むのでおすすめです。
かつて額が嫌いだったのですが(色々めんどくさくて)やはり購入される方の心境を考えるとあった方が安心でき、画廊などでは未だに額装必須の所もあります。
額装にはそれなりにお金もかかります。どうしても予算を回せなくて自作のメチャクチャな額を使って展示していた作家を見たことがあるのですが、そのような雑な額装をするくらいなら無い方がマシということもおぼえておいてください。
もし額装が難しい場合は水張りテープをパネルの小口に貼る事で額装せずとも問題なく見た目良く展示できます。ただし落下には最善の注意をはらってくださいね。
⬇︎こんな感じ
*水張りテープの黒を小口四辺に貼っています。
*1方向だけの写真でごめんなさい。
*水張りテープは白、黒、深緑、肌色のカラーバリエーションがあります。
この記事が参考になれば幸いです。
良い額に巡りあえるよう祈っています。