熱海 18
バスガイドのお姉さんに、
「皆様から見て右に見えるのは左玉、左に見えるのは右玉でございます」
とガイドされたいという欲望はしだいに増していき、
私が取った行動は、日帰りはとバスツアーに参加することでした。
行先は静岡県熱海市。
お宮の松で有名な観光地であり、
愛欲渦巻く秘宝館という重要文化財を有する街でもあります。
そんな行きのバスで隣席になった吉竹氏53歳は、
「お兄ちゃん、アンタもこっちが目的だろう」
と卑猥な視線を向けてくるものですから、
「私は熱海の街並みを文学的見地で見に行くのですが?」
と恍けてみせましたが、
「バカ。ワカモンが熱海なんてチンケな街に行く理由は一つだよ」
持論を振りかざしてくるので面倒になり、吉竹氏の頭にポカリと拳を振り
おろしました。吉竹氏は目に涙を浮かべ、
「いいとこ紹介してやろうと思ったのになぁ」
と背を向け遠くの空を見つめながらつぶやくのでした。
私はその姿をみて徐々に嫌悪感を抱きはじめました。
彼の口が臭かったという理由もありましたが、
それ以上に、バスガイドにガイドされるという目的を持ってはとバスに乗車したにも関わらず、生憎移動距離が短いためか、バスガイドのお姉さんは居らず、バスの運転手がガイドも兼任していた事実を徐々に再認識しはじめたからなのです。
そうなのです。私はうすうす、熱海に行く理由が無いことに気付きながらも、自尊心が傷つくことに恐れ、心を偽って吉竹氏と対峙していたのです!
しかし、いつまでも虚勢を張っても、意味の無い時を過ごすだけです。
私は、隣でトドのような大きな丸い背中をこちらに向けて、ふてくされている吉竹氏を見やり、不敬を働いた謝罪と本当はストリップが目的だということを告げる決心をしました。
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