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フライング 18



フライングボディプレスをマンションの3階から地上の息子に対して行っていると、お隣に住んでいる浅野ゆう子似の若奥様が、私もフライングボディプレスをあなたのご子息にしてもかまいやしませんかね?と訊いてきたものだから、私の胸はどきりとしてしまって、ついつい、

「どちらのご子息でしょうかね?
下の息子ですか?それとも下の息子ですかね? へへッ!」

と股間を指差しながら、下劣なことを訊いてしまったのでありますが、
浅野ゆう子似の若奥様は、にこりともせず私を睥睨し、

「もちろん。今駐車場でヒキガエルのようになっている息子さんですよ」

冷淡な口調で言ってきたのです。
私は、その高圧的な態度にまたしてもどきりとし、狼狽するのだけれども、
そんな気持ちとは裏腹に、陰茎の海綿体に血液がどくどくと流れてゆくのを
感じたのです。

「ええ。ええ。かまいやしませんよ。
ささっ、あなたの適度にお肉のついた身体と、つんとした円錐形の胸に、
息子をうずめてやって下さい。やつはね。目がないんですよ。円錐形にね。
いや、私はね、皿型のね。ぺチャパイにね。目がないんですがね。へへッ!」

「でも、いけませんぜ奥様。3階以上は。倅が本当にヒキガエルになっちやがいますからね」

私は、まごつきながら、若奥様が飛翔するのを見守ったのです。
ああ!なんて可愛そうな私の息子!
なぜ私は飛ぶことを許可してしまったのだろうか!それも5階から!

私は、絶望に打ちひしがれました。
ふと、視線を上げると薄暮に山や木々の稜線が少しづつ姿を溶かしはじめています。
下を見る資格も、下を出す資格も、私にはありません。

ああ!神よ!
私は浅野ゆう子と浅野温子の区別も付かぬ間抜者だ!


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折部 慎太郎
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