紅葉のしくみを知る 〜日光植物園紅葉ガイドツアー〜
栃木県日光市にある日光植物園を歩いてきました。
というのも、紅葉シーズン真っ盛りの3日間、園長による紅葉ガイドツアーが無料で行われるとのこと。
春のガイドツアーがとても楽しかったので、また先生の貴重なお話を聞こうと、主人と参加してきました。
写真はすべて2022年11月4日に撮影したものです。
誰にも教えたくない、日光の穴場スポット
日光植物園は、東京大学大学院理学系研究科附属植物園(通称「小石川植物園」)の分園で、高山植物や寒冷地の植物の研究と教育を主な目的としています。また、広い施設内は一般開放されており、四季折々の植物と景色を楽しめる、憩いの場です。
わたしたちはいつでも何度でも遊びに来られるようにと、年間パスポート(小石川植物園と共通・2,500円)を購入しています。もしかすると休日にいちばん多く訪れている場所かもしれません。
エントランスを通り、管理棟で受付をすませます。
集合場所は休憩所の前のロックガーデン。すでに参加者の方々30名ほどと、園長の舘野 正樹准教授、そして研究員の方が2名いらっしゃいました。
紅葉は、来年のための冬支度
まずはじめに、紅葉のしくみについてお話がありました。
なぜ、秋になると葉っぱの色が変わるのでしょう。みなさんはパッと答えられますか。ぼーっとしてるとチコちゃんに叱られちゃうよ。
答え。紅葉は「来年のための冬支度」なのだそうです。
気温が低くなってくると、土が冷たくなり乾燥してくるため、樹木は水分を根から吸い上げるのが難しくなります。また、日光を受ける時間も短くなるため光合成があまりできなくなります。
このような状態で葉から蒸発によって水分が抜けていってしまうと、木全体から冬を越す力が失われてしまいます。そのため、葉と枝の間に「離層」と呼ばれる分離帯を作り、冬になる前に葉を落とし、休眠状態に入ります。
また、木は葉を落とす前に、たんぱく質(緑色の部分)を回収します。すると、残りかすが黄色や赤になります。
樹木は葉から必要なものを回収し、残りものに色がつく。
先生いわく、わたしたちはその残りものを見て「きれい」と楽しんでいるのだそうです。ふふふ。
また、樹木によって紅葉のしかたもそれぞれです。
シャクナゲは紅葉し落葉しますが、一部は緑色のまま。緑の葉は養分を回収されず、来年も使われるのですって。
そして、常緑樹である杉も、葉の一部が養分を回収されて赤くなっていました。ただ葉は落ちず、春になると太陽の光を浴びて緑色に戻るのだそうです。
研究室のある広場は、一面、見事な紅葉でした。緑、黄緑、黄色、オレンジ、赤。とてもカラフル。
紅葉のベストな時期は
先生はくすんだ紫色の葉を一枚手に持ち、「この葉っぱは、枯れていると思いますか?」とわたしたちに問いました。
シソのような紫色をしていて、いかにも枯れた葉。しかしながら先生は「あと一週間すると、この葉は真っ赤になります。」とおっしゃいました。えーっ。ほんと?
「汚く見えるでしょう。でも、よく見ると葉の裏側は緑色なんです。」
ひらりと裏返した葉は、青々としていました。葉にはたんぱく質が残っていて、これから養分を回収されて、赤く色づくのです。
教えていただいたことを参考にして、あたりを見回します。
蛍光オレンジ色が色鮮やかなメグスリノキ。
葉の裏は緑色をしているから、これからさらに紅葉するのね。
この木も、もうすこしするともっと赤くなるはず。知れば知るほどおもしろいなあ。
これは、完全な赤ね。
憾満ヶ淵(かんまんがふち)近くはちょうど見ごろでした。
赤、オレンジ、黄色。
樹木によって紅葉の色は決まっていて、黄色くなった葉は、赤くはならないそうです。
園長先生のお話を聞き逃したくなくて、すぐ後ろを追いかけます。ああ、もう一度学校に通って学びたい。 と、東大かあ…!!
らんまん
舘野先生が着ていらっしゃるTシャツには「らんまん」とありました。
なんでも、NHK2023年度前期の連続テレビ小説『らんまん』は、日本の植物学の父・牧野富太郎(まきの・とみたろう)をモデルとした物語なのだそうです。
多数の新種を発見し命名を行った植物学者、牧野先生が主人公。ぜひ見てくださいねとのことです。
上皇陛下が幼少の頃、冬にスキーを楽しまれたという広場。
そして、大正天皇が和歌や漢詩を作られたという小高い丘は、燃えるような赤。
最後に質疑応答があり、紅葉ガイドツアーは終了となりました。
ああ、楽しかった!
11月の花たち
最後に、植物園で見つけた花々をご紹介します。寒いなかでも、元気いっぱい咲いていましたよ。
日光植物園は11月いっぱいで冬期閉園になります。もう一回行けるといいなあ。最後までお読みいただきありがとうございました。