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白梅が花ひらくとき

自宅の近くに一本の古い梅の木があり、毎日、リビングから開花の様子を眺めて楽しんでいる。

梅の木がある町内の公園は、けして日当たりがよいとは言えず、そのためか近所の梅に比べて開花が遅い。けれど、手入れが行き届いており、毎年それは見事な花を咲かせる。

朝カーテンを開けて、梅の木を見おろす。自宅からの距離はだいたい20メートル。背丈ほどの幹から、まっすぐな枝がつんと空に向かって伸びている。2月の半ばを過ぎたころ、梅の木の黒い枝がほんのり赤みがかってきた。

黒から茶色にかわり、えんじ色から桃色になる。毎日かかさず眺めていると、赤みがより明るくなっているのがわかる。冷たい雨がふる日も、強い風が吹く日も、梅の木はじっと佇んでいる。力を蓄えながら、静かに待っているようだった。

ある朝外へ出ると、薄桃色の粒がぽつぽつと付いていた。つっかけのまま公園へむかう。

赤く大きく膨らんだ蕾がふたつ、わずかに開いていた。花びらは、白。ふんわりとスカートを広げたようだった。
咲いたよ咲いた。なぜか、自分のことのようにうれしかった。

ようやく事務所の確定申告が完了した。
領収書の整理からはじまり、伝票記入やソフト入力と、やらなければならないことが山ほどあって、この1ヶ月はほぼ毎日机に向かっていた。
時間的にも精神的にもプレッシャーがかかり、気が休まる時がない。イライラしてばかりで、夫との間にも澱みができている。

だから、肩の荷が降りて、力が抜けた。
何よりもしたかったのは、母と話をすること。携帯電話を開くと、リダイヤルの表示は半月前だった。電話越しに聴こえる母ののんびりした声と「お疲れさま」に泣きそうになる。

今日、公園の前を通った。
雨に濡れた梅の花は、少し寒そうだったけど、あたたかく迎えてくれた。

お互いよく踏ん張ったね。これからだね。
そう、もうすぐ春が来る。

バタバタしているあいだに、note4周年を迎えました。
飽きっぽい性格の私がここまで続けてこられたのも、読んでくださる方や仲良くしてくださる方のおかげです。

なんのために書くのか。なにがしたいのか。そもそもおりちゃとはなにか。長く続けていると、ときどき深い闇のなかに彷徨うことがあります。あがったり、さがったりします。でも、そんな揺らぎも、迷いも、全部ひっくるめてnoteの世界を楽しんでいきたいと思います。

いつも寄り添ってくださる皆様には、感謝の気持ちでいっぱいです。
今後ともよろしくお願いいたします。

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