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リソース管理の基本。「ヒト」「モノ」「カネ」「トキ」の定義と特徴
このnoteは、インターネットや趣味の繋がりを活かして自分のイベントを立ち上げたばかりの初心者オーガナイザーさんに向けて、個人主催イベントから起業して10年以上プロイベンターとして活動した私の経験を元に「転ばぬ先の杖」となる知識や情報をご提供しています。
直近2回は「プロジェクト管理」の重要な役割を担う「タスク管理」について述べてきました。
今回から、効率よくタスクを処理する為の「リソース管理」について説明していきます。
タスクリストを作り、優先順位をつけると、企画書によって表された”絵に描いた餅”状態のあなたの理想のイベントが具体的にどんな作業をすれば現実の餅になるのかが分かった状態になります。
そこであなたは実際に作業を始めたいわけですが、作業を行うにはリソースを必要であり、限りのあるリソースについて理解し、適切に管理することが、理想のイベント実現の鍵となります。
それでは始めましょう。
事業の4大リソース〜ヒト・モノ・カネ・トキ〜
事業で大事なのは「ヒト(人)」「モノ(物)」「カネ(金)」であるというのは、一度は耳にしたことがあると思います。
これら3つは確かに大切なリソースですが、それに加えて「トキ」=時間という超貴重なリソースの管理を忘れてはいけません。
まずは、それぞれのリソースの特徴を把握しましょう。
1.ヒト(人)=最後に頼ることになる究極のリソース
「ヒト(人)」というリソースは、イベントづくりにおいて最も基本的なリソースであり、また最初から最低でも1人分(=あなた)は確保されている唯一のリソースです。
「ヒト」というリソースは他の3つと違って臨機応変であるという特徴があります。
「モノ(物)」や「カネ(金)」はそれぞれに「タスク」への対応のさせ方が決まっています。「トキ(時間)」もまた等しく流れ、そして有限です。しかし、「ヒト(人)」は頑張りによって対応できる「タスク」が変化します。
例えば、努力して能力を伸ばせば、短時間で多くの「タスク」を処理できたり、より高度な「タスク」に対応できるようになったりします。或いは、能力が同じでも、時間をかけることで多くの「タスク」を消化できます。
また、「ヒト(人)」は「モノ(物)」や「カネ(金)」が無い時にそれを代替することができるオールマイティーなリソースです。
大量の事務処理をしたり、きれいなチラシを作るには、パソコンが必要かもしれませんが、無ければ無いで、手書きで処理することができます。豊富な予算があればテントの設営を外注できますが、お金がなくてもあなたの頑張りで1つずつ立てることはできます。
一方、「ヒト(人)」に頼りすぎると「トキ(時間)」のリソースを浪費しがちになる傾向があります。確かに、あなたとスタッフという「ヒト(人)」を使って自力でテント設営をしても「タスク」は処理できますが、「カネ(金)」を投じて外注した方が少ない「トキ(時間)」で同じだけの「タスク」処理が完了します。
2.モノ(物)=特定の固定機能を果たすあると便利なリソース
「モノ(物)」は究極的に言えば無くてもどうにかなるリソースです。また「モノ(物)」の確保には多くの場合「カネ(金)」を消費する特徴があります。
例えば、マルシェイベントを開催する時、主催者がテントや椅子、机を所持していれば出店者は助かりますが、もし持っていなくても「テント・椅子・机は持ち込み」という条件で店子を募集すればイベントは成り立ちます。
例えば、あなたがライブハウスを所有するオーナーならば、音楽イベントは開催しやすいですが、別にどこかの箱を借りれば済むことではあります。逆に、物件を所有すると維持費が掛かったり、お店の特徴にイベント企画が成約される可能性もあります。
このように「モノ(物)」には固有の機能があり、その機能が求められる時には必要性が高まりますが、逆に、機能がハマらなければ無用の長物と貸します。
「モノ(物)」の入手には購入したり譲り受けたりすることで所有する他に、有償・無償で借りてくるとうい手もあるので、状況に応じ、手元の「カネ(金)」と相談しながら調達していくことになります。
3.カネ(金)=「ヒト」「モノ」「トキ」を購入できるファストパス
「カネ(金)」というリソースの主な役割は、他の3つのリソースを買ってくることです。ある意味で、莫大な資金があれば、リソースの問題は解決します。
何度も引用している大阪・関西万博は常に”予算の膨張”が指摘されていますが、これはリソース不足を、個人の目から見れば無限にも見える「カネ(金)」=国家予算を投じることで解決しようとしているためです。
「カネ(金)」は、すべてのリソースを手にできる万能リソースですが、取り扱いには注意も必要です。つまり、敢えて「カネ(金)」で買って終わりにしない方が良い「タスク」が意外と多いということです。
例えば、広告代理店等に依頼すればイベントの企画自体を買ってくることもできます。けれど、それはきっとあなたが理想とするイベントではないはずです。でも、あなたが得意ではない協賛金の募集企画は、営業代理店に委託した方が上手くいくかもしれません。
もし、立ち上げて間もないイベントならば、警備員を雇って入場口に立たせるより、スタッフが同じ役割を担って来場者に挨拶した方が、次に繋がる場合もあります。一方、開催を重ねて来場者が増えてきたら、入場口のスタッフは専門の警備員の方が良いでしょう。
このように「カネ(金)」は使いどころの見極めが重要です。
4.トキ(時間)=他のリソース配分の基準となる最重要リソース
「トキ(時間)」は誰にも平等に流れ、一度浪費すると取り戻すことができない貴重なリソースです。なにかの「タスク」に取り組むとき、締め切りまでにどのくらい余裕があるかによって、他のリソースの配分が変わります。
もし、イベントの事前準備に関わる「タスク」が全て完了して、まだ開催まで数日あり、その間も会場を自由に使えるのであれば、あなたが1人でゆっくりと設営をしても問題ありません。でも、現実には設営期間は短く、しかも、いくつかの「タスク」で貴重な「トキ(時間)」を取り合うことになります。
1人1人の「トキ(時間)」は有限で、巻き戻せませんが、「ヒト(人)」や「モノ(物)」を増やすことで「トキ(時間)」のリソースを増やすことができます。
あなたの1日は24時間ですが、もう1人の仲間と合わせれば48時間、3人集まれば72時間を手にすることができます。また、パソコンを準備すれば、10時間かかった事務作業を2時間に圧縮し、8時間分の「トキ(時)」を捻出できます。
まとめ
今回見てきたように4つのリソースは相互に代替可能な関係にあり、状況によってどのリソースを当てるべきかが変わってきます。
イベント主催者の仕事は、その局面で処理する必要がある「タスク」に対して、最適な「リソース」を選び出し、割り振って行くことです。
選び方は、状況によって異なりますが、基本的には…
①「トキ」に余裕があれば「カネ」を温存し、今いる「ヒト」を活用する。②「トキ」が限らえる場合は「カネ」を消費し、「モノ」「ヒト」を増やす。③「カネ」に余裕がある時は「モノ」を増やし、「トキ」不足に備える。
というのが、基本的な方針になります。
まずは、自分の手元にある4つのリソースをリストアップして、前回作ったタスクリストを参考にイベント開催までの各局面を頭の中でシミュレーションすると、イベント開催までの筋道がよりクリアになってきます。
次回は、今回挙げたリソースへの理解を下に、あなた自身のリソースと、仲間のリソースの管理方法について触れていきます。
ぜひ、最後までお付き合いください!