プロのスケジュール管理は「予定・実績の見える化」で実現する
こんにちは。
イベントづくり先生のオーガナイザーM(@organizermanual)です。
このnoteは、インターネットや趣味の繋がりを活かして自分のイベントを立ち上げたばかりの初心者オーガナイザーさんに向けて、個人主催イベントから起業して10年以上プロイベンターとして活動した私の経験を元に「転ばぬ先の杖」となる知識や情報をご提供しています。
前回は「スケジュール管理」の本質的な意義について説明しました。
続きとなる今回は、具体的な手段として多くの人が有用と言っている「スケジュールの見える化」について解説します。これもいちばん最初のところで勘違いしている方が多い部分です。
ぜひ最後まで読んで、プロジェクト管理の極意に触れてみてください。
「見える化」するのは工程表ではなく、予定と実績の差分
スケジュール管理で「見える化した方がいいよ!」と言われると、普通の人はスケジュール表をイメージしてしまうと思います。
もう少しセンスの良い方は「いやいや、ガントチャートでしょ!」となるかもしれませんね。
ですが、スケジュールそのものを可視化しただけでは目的の半分しか達成できていません。
前回の記事を読んでくださった方は、スケジュール管理の「見える化」の本質がなんであるか、既によく理解してくださっていることと思います。
そう。
理想的なスケジュールと現実の作業進捗の差分を「見える化」です。
この理想的なスケジュールを「予定」、現実の作業進捗を「実績」と呼び、2つをセットで管理することを「予実管理」といいます。
つまり、スケジュール管理の「見える化」の本質は、予定と実績(及びその差分)を可視化することにあります。
事業を破綻なく進める3つの「予実管理」
「予実管理」は大きく分けて3つのレイヤーで行います。
長期:イベントが完了するまで
イベント企画を立ち上げてから完了するまで、早くても数か月~場合によっては1年以上の期間があります。
立ち上げ時からイベント完了(開催ではなく、レビューや経費の支払いまで含んだ完結)までを見通したスケジュールは、立案時から紆余曲折に晒され、不慮の事態に遭遇する度に変更を余儀なくされます。
とはいえ、開催日は決まっていて動かせないので、何があってもその日までには開催する必要があります。
こうした長期にわたるスケジュールの押し引きは、しっかりと可視化しておかないとなかなか把握できるものではありません。
中期:1か月単位
長期スケジュールを把握する上で非常に重要なのが、月次単位でのスケジュール進捗です。
1か月毎に、現在の作業と当初の予定がどの程度ズレているのかを把握し、場合によっては現状に合わせて、イベント完了までのスケジュールを引き直す必要が出てくることもあります。
些細な遅れも放置すると致命的な事故を招く恐れがあるので、1か月ごとにスケジュールの総点検を行いましょう。
短期:1週間単位
おおよそ1か月=1週間×4回分なので、週の終わりに今週の進捗を把握して、作業スケジュールに微修正を加えておけば、月単位でのレビューがうんと楽になります。
また、週次の振り返りを欠かさなければ、ちょっとしたトラブルにも気づきやすくなります。
おまけ:今日のタスク
以上の3つに加えて、(当たり前ですが)毎日の始まりには「今日何をするのか」、1日の終わりには「今日は何をしたのか」を振り返ります。
…とはいえ、人間ルーズなので放っておくと「予実管理」の優先度は無限に下がっていって、いつの間にかぐだぐだになるのが常です。
だからそうならないように、毎日の朝と夕方に5分ずつ、毎週の始まりと終わりに10分ずつ、毎月1日と末日に30分ずつの「予定」と「実績」に向き合う時間をはじめから設けておくことをお勧めします。
一見、無駄な時間に思えるかもしれませんが、この時間を入れておいた方が、多くの場合でプロジェクトは圧倒的にスムーズに進行します。
具体的なスケジュール管理の「見える化」作業
では、具体的にはどういうことをするのか?
便利なツール類は次回に紹介するとして、基本的な考え方は…
この4つをタスク毎に全て書き出して比較することです。
タスクの着手時期は1週間ならば日次単位で、1か月ならば週次単位で書き出すと解像度が上がります。
例えば…
となった場合、何らかの理由で「タスクA」への着手が予定より1日遅れ、なおかつ作業自体も+1日多く時間がかかったということです。
タスク1つだけなら「ふ~ん」ということになりそうですが、あなたはイベントづくりは膨大なタスクの積み重ねだということを既に知っています。
人間の脳は多くのことを覚えておくようにはできていないので、1週間後や1か月後、或いはもっと先に「タスクA」を取り巻く当時の状況を正しく反省するには「予定」と「実績」を可視化して残しておくべきでしょう。
まとめ
このようにスケジュール管理における「見える化」の核となる「予実管理」はタスクの数だけ存在する「いつ何をする」と「いつ何をした」という無数の記録の蓄積と考察の積み重ねです。
とはいえ、これはあくまで原理原則であって、スムーズに管理するにはやはり何らかのツールを用いるのが得策です。
次回は、お勧めの管理ツールについて紹介して総まとめとします。
ぜひ最後までお付き合いください!