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連続殺人鬼カエル男(著 中山七里)

難易度49(下記)で読了

冒頭の描写に緊迫感があり後の御子柴シリーズを彷彿とさせるものを感じました。物語中盤の警察署内の件から展開が早く一気に読めました。
タイトルにある通り連続殺人なので連続して殺人事件が起こります。
ただ、その事件にはある規則性があります。その種が明かされると私は、アガサクリスティのある作品が頭をよぎりました。当作品を読んだことのある人なら多くが連想することだろうと思います。しかし、本作の連続殺人はその規則性が主ではなくそれ以外の要因が複雑に絡まって発生しており、その重層感に圧倒されました。また、中山作品で度々でてくる刑法39条についても改めて考えさせられました。

本作は、著者自身の作品「さよならドビュッシー」と共に、第8回『このミステリーがすごい!』大賞の最終選考にダブルエントリーされた作品で、額面通りそれぐらいの評価がある作品だと思いました。注目すべきは両作品が同一人物が同じ時期に書いた作品ということでしょう。共通しているのはピアノが登場することぐらいでしょうか、作風もタッチもプロットも異にしており、両作品を読み比べてみるのもよいかもしれません。

- 卒塔婆(そとば)
- 先祖を弔う追善供養のための木製の細長い板のこと。
- 奇妙な果実
- ビリー・ホリデーの名曲
- 功名心
- 自分の能力や結果について、認められたいという欲望を表す心
- 瑕疵(かし)
- 不具合・欠陥・欠点・失敗
- 跋扈(ばっこ)
- ほしいままに振る舞うこと
- スカタン
- 当て外れ・良く失敗する人
- 胡乱(うろん)
- 正体の怪しく疑わしいこと
- 木鐸(ぼくたく)
- 世の中の人々を目覚めさせ、正しい道へと導く者のたとえ。
- サウス・ブロンクス
- アメリカの治安の悪い地名
- 慄然(りつぜん)
- 恐れおののくさま
- 鼻白む(はなじろむ)
- 気後れした顔つきをする。
- 矍鑠(かくしゃく)
- 年をとっても丈夫で元気のいいさま
- 悲憤慷概(ひふんこうがい)
- 運命や社会の不正などを憤って、悲しみ嘆くこと
- ミーガン法
- アメリカの法律で犯罪防止のために性犯罪者の情報を移住地域に通告できるという法律
- 虞犯(ぐはん)
- 罪を犯すおそれ(虞れ)があること(虞犯性)
- 人が人を殺める理由
- 愛情、カネ、狂気
- 酸鼻を極める
- 心を大きく痛めること、または、痛ましい状態のこ
- 人品骨柄(じんびつこつがら)
- 人柄や品格、容姿や身なりのこと。
- 巷説(こうせつ)
- 世の中の風説。巷談
- 瓢箪(ひょうたん)から駒
- 思いもかけないことや道理上ありえないことが起こること
- カナー症候群
- 自閉症
- 1940年代にボルティモアのレオ・カナーという医師によって発見
- 音楽療法
- ポール・ノードフが広めた治療方法
- 膾炙(かいしゃ)
- 世の人々の評判になって知れ渡ること。
- 善意の道は地獄に通じる(助言はしても助力はしない)
- 地獄への道は善意で舗装されている
- 善意は最後までやりきらない限り意味がないという警句
- 悲愴
- ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番ハ短調
- 横溢
- 水がみなぎりあふれること。また、気力などがあふれるほど盛んなこと
- 偉丈夫(いじょうふ)
- からだが大きくてたくましい男。また、人格のすぐれている男。
- 傲岸不遜(ごうがんふそん)
- おごりたかぶって人を見下すさま。思いあがって謙虚さのないさま。
- 奸知(かんち)
- 悪賢い知恵。悪知恵。
- 流言飛語(りゅうげんひご)
- 事実とは異なる伝聞。確かな根拠のないうわさ。デマ。
- 燎原
- 野原を焼くこと。また、火の燃えひろがった野原。
- ホルマリンクレゾール
- 歯の根管を消毒するお薬
- 含羞(がんしゅう)
- 恥ずかしいと思う気持ち。はにかみ。はじらい。
- 慰撫(いぶ)
- 人の心を慰めいたわること。
- 冤罪を警察が絶対にやってはいけない理由
- 無実人間の一生を葬り、真犯人を野に放置し、警察への信頼を失墜させるから
三重の大罪
- 知悉(ちしつ)
- ある物事について、細かい点まで知りつくすこと。「事情を知悉している」
- 死屍累々(ししるいるい)
- 死体が多く重なり合って、むごたらしいさま。
- 狼藉
- 無法な荒々しい振る舞い。乱暴な行い。
- 破砕音(はさいおん)
- 粉々に砕ける音
- 阿鼻叫喚(あびきょうかん)
- 非常な辛苦の中で号泣し、救いを求めるさま。非常に悲惨でむごたらしいさま。
- 快哉(かいさい)
- ああ愉快だと思うこと。胸がすくこと。
- 行住座臥(ぎょうじゅうざが)
- 日常の立ち居振る舞いのこと。転じて、ふだん・常々の意。
- 怯懦(きょうだ)
- 臆病で気が弱いこと。いくじのないこと
- 憑物
- 人間あるいは事物に憑依(ひょうい)する霊
- 牽強付会(けんきょうふかい)
- 自分の都合のいいように、強引に理屈をこじつけること。
- 周章狼狽(しゅうしょうろうばい)
- 大いにあわてること。非常にあわてうろたえること。
- 茶木則雄
- 書評家
- 中山七里の岬シリーズスピンオフ作品
- 要介護探偵のチェイス
- 要介護探偵の冒険
- 富豪刑事
- 筒井康隆のミステリー小説

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