「立体型板書」の国語授業 10のバリエーション
筑波大学附属小学校 桂聖先生の国語実践について1年間学んでいる。
そのつながりで、沼田拓弥先生の「立体型板書」の本を読んだ。
前から書店で目にして気になっていたので、今回ようやく読めた。
今回はその「立体型板書」について自分なりにまとめてみる。
立体型板書とは
思考ツールを用いた板書というのは、正直毛嫌いしていた。自分でも用いるときはもちろんあるのだが、どうしても「SNS映え」のイメージがあったからだ。しかし、この本では、立体型板書を用いて論理的思考力を高めるというねらいが書かれている。ここでの論理的思考力というのは、「比較・分類」「関連付け」「類推」であり、立体的板書はそれらを表現する「場」であり、子どもたちと教師が「子どもたちの言葉」で共有する場である。
立体型板書でめざす子どもの姿
従来の「羅列型板書」では、黒板の右から左に書かれる板書を子どもたちがノートの右から左に写すだけという場面がたくさんある。そのときの、子どもたちの思考のレベルは低い、働いていない。論理的思考ツールとしての機能を重視した板書にすることで、子どもたちに映像としてインパクトが残る、また自分なりに写したいと意欲も高めることができる。授業中、子どもたちの思考がフル回転させることができる取組である。
10のバリエーション
著者は立体型板書を10のバリエーションに整理している。
先ほども書いたように、目指すところは「比較・分類」「関連付け」「類推」の「3つの論理的思考力」を育てることである。それらを結びつけると
「比較分類」(整理する)
①類別型②対比型
「関連付ける」(つなげる)
③ベン図型④構造埋め込み型⑤問答・変容型⑥人物相関図型⑦スケーリング型⑧移動型
「類推」(気づきを生み出す)
⑨穴埋め型⑩循環型
このように10種に整理することができる。
①②で思考を引き出し、②〜⑧で広げて深め、⑨⑩で新たに生み出す。というイメージである。
10のバリエーションの特徴
簡単ではあるが、それぞれの型の特徴をまとめる。実際の黒板例は本で。
①類別型
発言を分類し、「具体⇔抽象」の関係を思考する際に用いる。
②対比型
2つの対になる考えを上下(左右)で比べることで、違いを明らかにし、情報を関連付ける。
③ベン図型
2つの考えを比較し、最終的に共通点を見つける。
④構造埋込み型
構造と内容を結びつける。構造:初め、中、終わり や 主張、事例、主張
⑤問答・変容型
問いと答えをつなぎ、その間にある人物の変容や事例を抑え、論理的に文章を読む。
⑥人物相関型
物語文特有の板書。単元の序盤で用いる。登場人物の関係性を押さえ、文章構成を捉える。
⑦スケーリング型
多様な解釈における共通点を見つける。道徳でも使えそう。度合いを数値化し、ズレについて思考する。(ポジショニング)
⑧移動型
時間や事柄の順序に注目させる。並び替えによって思考を活性化。
⑨穴埋め型
書かれていないことを類推させ、論理的に考える。授業中盤〜後半で。
行間を読む。
⑩循環型
同じことが繰り返させる内容に有効。循環構造に気づくことで新たな学習課題を生み出す。
まとめ
思考ツール機能を用いた「立体型板書」10のバリエーションにはそれぞれの特徴とねらいがある。板書までしっかりとねらいをもって考えるには、授業をしっかり考え抜かないといけない。子どもの発言や子どもの思考も予想して置かなければならない。いっけん板書というものがゴールで「映え」というものにつながりそうではあるが、子どもたちの論理的思考を深めるために有効な手段の一つということがわかった。
単元デザインをするときに、その時間のめあてや流し方、言葉かけ、そしてどのバリエーションの板書をするのかまで考えられるとしっかり教材研究ができたといえるのではないか。また、10のバリエーションが自分の技能として例えば、子どもの達の言葉や思考に合わせて選んだり、組み合わせたりできるまでになると、教師としての国語の力もついたといえそうだ。そこまでこだわれる国語授業をこれからも考えていきたい。
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