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ツリーハウスなどについて(スケッチ)
最近考えている山の利活用について、建築やっている人間らしいことを晒す。ソフトの話ではなく主にハードの話になる。
建築基準法上の取扱いと実際
所有している山林は市街化調整区域なので基本的に建築物は建てられない。この時点で詰んでいると思われるかもしれないが、建築物の定義を確認すると「土地に定着する」というのがあり、簡単に言うと地面に固定されていなければ建築物ではないといえる。ツリーハウスは木に構造物を支持させるわけだが、これは一般的に建築物として取り扱われない。例えば宮城県の「建築基準法等に関する取扱い集」では「ツリーハウスは建築物ではない」ことが明記されている。要するにツリーハウスが建築物かどうかは自治体判断な訳だがはっきり白としている自治体がある以上、白寄りのグレー案件であるといえよう。以下は宮城県の取扱い集。自治体がこうした建築基準法等に関する取扱いというのをまとめていることがある。ツリーハウスについて記述があるものは珍しいし、最近追加されたようだ。
余談だが宮城県には糸井重里らが絡む東北ツリーハウス観光協会という団体があるようで、おそらくこの協会の活動を正当化するかたちで、ツリーハウスが建築物でないことが県の取扱い集に明記されたのだと推察される。たしかにツリーハウス100個建てます、建てましたが違法でした!では済まないから入念な根回しをしてきたのだろう。流石に隙がない。団体は県の補助金なども申請しているだろうから、県としても関わっていることになる。関係がある以上中途半端な見解は出せなくなったわけだ。まあここまで全て私の妄想。この団体の活動は面白そうなのでブクマしておこう。
ツリーハウスの仕組み
私は建物を設計する仕事をしているが、建物に形を与えることよりも、物の成り立ちや仕組みを考えることの方が得意だし好きだ。まずは形そのものではなくシステムとしてのツリーハウスを理解することにした。以下はその仕組みを理解するためのスケッチだ。
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まず、ツリーハウスがツリーハウスと呼ばれるその理由である、木への支持方法だ。これを知る必要がある。調査して幾つかの方法があることがわかったが、主に2つの支持方法が一般的なようだ。日本では井形に組んだ木材をボルトなどによって引き寄せ、木と木材との摩擦力により支持する方法が、海外ではリムボルト(ガルニエリムとも呼ばれる)というM30のボルトを木に貫通させる方法が主流だ。この他にもケーブルで上から吊るようなツリーハウスなどがある。
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リムボルトというのが厄介で、国内ではツリーハウスに関わる団体が牛耳っていて、個人での輸入はどうやら叶わない。有料の講習を受けることが前提だったり、ものがべらぼうに高かったりで団体からの購入も憚られる。建築畑の人間からみてもただの太いボルトだ。確かに強度はあるだろうが、過剰に見える。個人でツリーハウスをつくっているような方々はこのリムボルトに頼らず、代替案として流通品であるアンカーボルトを利用したり、工夫しているようだった。
生きている木にボルトを貫通させるのはどうなのかという話がある。これも諸説あるが、当然ボルト派は生育には影響が小さいという。それどころか井形の木で幹の周囲を締め付けるほうが生育を妨げるのだとのことだ。このあたりは全く専門外なのでよくわからない。木は意外と穴を開けたりしても死なないということなのかなと思った。であれば締め付けでも変わらないのではと感じた。以下樹木の生成層の仕組み。
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支持方法としてどちらが良いかは別として、それぞれ改良案を検討する。
ボルトの場合は一般に流通する金物を用いて同等の性能となるよう2本のボルトを用いる案を思いついた。以降はボルトを受ける木材にたいして梁などを固定してけば良い。支持部分があまり目立たないようなディテールをつくれそうに思える。ただし貫通孔の精度確保が課題だろう。1本はうまく帳尻を合わせられても2本目のボルトは狙った位置に通せるかはわからない。
締め付けの場合は井形に組んだ木材の片一方に大きめのほぞを彫って、くさびを打つことを思いついた。この場合は、支持部分がやや目立つが、伝統的な建築の木組みのようなあり方で美しさを追求することは可能だろう。
いずれもアイデアに留まるので検証が必要だ。
ツリーハウスの構成
さて、次に考えるのはツリーハウスの構成だが、ツリーハウスには大きく2つのあり方がある。1本の木に支持するものと、複数の木に支持するものだ。
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絵本や想像の中で思い描かれるのは、おそらく前者、事例が多いのは後者の方だ。やはり広い床を有効に作りたいとなると、1本の木で作るのは難しい。部屋の中央に生きた木が鎮座することになるので利用方法が制限されてしまう。2本ならどうかと支持する木の数を増やしてみても精度や施工上の難しさが増すばかりで、なかなか悩みが大きい。床壁天井全てを一度に考えようとするとなかなか複雑なことに思えてしまう。
ツリーハウス分解
一旦頭をリフレッシュする。
床壁天井を一度に考えようとするから複雑になる。要素をばらして考えたときにツリーハウスから何が残るのか、これを検証する。まず思いついたのは屋根だ。2本の木に対して、屋根を架け渡す。ハンモックをかけたあたりに屋根があると良いなと思ってスケッチをする。すごく現実的だ。シンプルゆえ如何様にも展開できるというポテンシャルがある。
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また、このくらいの規模なら今ある材料でつくれそうだ。実験的につくってみるのがよいかもしれない。スケッチだと屋根の加工がやや大げさなので薄くしていきたい。細かな調整はあるにしろ、ありだ。
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木が1本でも同様だ。低い位置であればベンチやテーブルに、高ければ屋根や収納になる。設置レベルの操作だけで、いろいろな活動の場を作ることができる。これを多数組み合わせたらどうだろうか。
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なかなかカオティックなことになる。地盤レベルだけでなく、立体的にいろいろな場面をつくることができる。
木がある限り、無限に活動の要素を散りばめることができる。敷地全体に張り巡らせればそれはもう巨大な建築物だ。さすがにここまでやったら行政から何か言われるだろうと想像するが、何を根拠に制されるのか、それはそれで見てみたい。
まとめ
ツリーハウスをつくることについて少し考えてみた。
いずれ実際になにかをつくることにはなるのだが、自分の手でつくることをやってみたいと思っている。私の山は、そのための実験の場でもあるのだ。所詮机上で考えたことは現場でその通りいかないことの方が多い。机上と実践、これを反復していきたい。
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このnoteも今はまだ無計画に、ただデイキャンプをしているような日記と化しているが、フェーズとしては調査編にあたる段階と考える。来年はこれを継続しつつ計画編へと移行していきたい。