かがみの孤城
ついさっきまで物語の中で感じていた感情なのに、目に見えるかたちで表すことができない。感動した〜とか泣いた〜とか、一言で表したくない気持ちなのに、どうだった?と聞かれると大体そこらへんの一言になってしまう。AIが全て処理してくれる時代になったとしても、もうちょっとこんな感じの・・・って"ニュアンス"を求める面倒くさいお客さんになるかもしれない。
学生時代についての話かなと思った。最近は、チヨダ・コーキが言われていた"抜ける"時が来ませんようにってヒヤッと感を持って読み始めてしまう。年代が鍵だというのは分かってしまった。自分のせいではないものに振り回されるあの感覚が鳥肌と一緒に帰ってきた。良い思い出のように語る学生時代も、心を生き残らせる為に平らに整える毎日だったこと。漫画の登場人物みたいなキャラ作りは余裕がないと出来ないんだな〜なんて捻くれたこと。思い出してしまったし、思い出すことができた。辻村さんの作品は、全ての自分と見つめあって認め合う場所をくれる。
思いを公開することが苦手な私が、どうして投稿してみようと思ったのか。昨晩、私を救ってくれた"作品たち"には感謝や愛を伝えられないんだよなあって"ふと"思ったから。辻村深月さんの作品と出会っていなかったら、たぶん私は生き残れなかった。語弊を生む表現かもしれないけど、心の底からそう思って生きてきた。色んな重たい思いがあるけれど、ありがとうございます!と、大好きです!がいつか届きますように。
かがみの孤城を読み終えた今では、"ふと"思った一瞬の中で、もしかしたらオオカミさまと出会っていたかもしれないって思う。大切にしたい予感、運命的であってほしい一目惚れ、衝動に従った寄り道。時間の隙間で、奇跡が積み重なっていたら面白いのにな。