ハーグ/デン=ハーフ The Hague/Den Haag オランダ/南ホラント ~共和国期からオランダの政治を司る歴史の中枢
※ 八十年戦争に関わる場所を訪れています。一般的な旅行記ではありませんのでご注意ください。
ロイヤルシティのハーグ。正式には、デン=ハーフ(スフラーフェンハーヘ) Den Haag/ 's-Grafenhage。
ビネンホフ
ビネンホフを、ホフフェイファー(「宮殿池」とも訳しましょうか…ビネンホフ横にある池のことです)の手前から写した写真です。 1593年から連邦議会が常設されており、現在も国会議事堂にあたる建物です。ナッサウ伯マウリッツとその従兄弟たち、オルデンバルネフェルトの住居もこの中にありました。右上隅の細長い建物(後ろ側の三角屋根の背の高いほう)が「マウリッツ塔」と呼ばれる部分です。
そこから70年くらい後の、ベルクヘイデの絵画から2枚。雰囲気はこの頃から現代もほとんど変わりません。
マウリッツハイス側から、ビネンホフの建物というよりはホフフェイファーを描いたもの。
こちらは逆のバイテンホフ側から。右側の紋章のついた建物は現在「監獄博物館」として知られる建物の門(監獄門)で、デ・ウィット兄弟が殺害されたのもここの前です。この絵の描かれた数年前の出来事です。
騎士の間
※ 2009年4月時点の情報です。現在とは違っているかもしれません。
こちらもベルクヘイデの絵画。
ビネンホフ内部中央にある「騎士の間」。国会議事堂です。3回めのハーグ訪問にして、やっとツアー参加できました。ガイドツアー以外では中に入れません。日によってプログラムと開催時間が違うので、事前に訪問予定日のスケジュールを問い合わせ、予約したほうが良いです。 内部はかなり細く急な階段があるので、バリアフリーではありません。
以下は2009年の内容で、いちばん上のツアーに参加しました。8aと書いてあるから中に入るとレセプションがあるので、ここで予約の旨を伝えて代金を支払いました。
フィルム上映+騎士の館: €4.00
フィルム上映+騎士の館+下院: €6.00
フィルム上映+騎士の館+上院: €6.00
ビネンホフ内8番地。この左側だったかの8aから入りました。
フィルムビデオは、英・独・仏・西語対応のイヤホンを貸してもらえます。が、元のオランダ語の音が大きすぎて、英語がよく聞こえないので、映像とオランダ語の断片で聞いたほうがわかりやすいかもしれません。その後、騎士の間の内部にある椅子に座らされ、ガイドのかたに説明してもらいます。英文レジュメ(あとで回収)を渡されますが、説明は全てオランダ語。内部の壁画や玉座などの説明がメインです。また、昔の騎士の間内部を描いた絵画を見ると、敵から奪った軍旗が天井にたくさん掛けてありますが、今は無いですよ、なんても言ってました。あとはたぶんフィルム内容とある程度かぶっていると思います。 最後に、内部の写真を撮る時間も若干取ってもらえます。ただし、かなり手前にロープが張ってあるので、玉座や正面まで近づいて撮影はできませんでした。
「騎士の間」内部の玉座。壁には各州の紋章も。ここに見えてるのはユトレヒト、フリースラント、ゼーラント。
上記が現在のツアーの内容です。今はおそらくツアーは1種類だけですが、値段は15年前と変わらないようです。
ビネンホフ全体は国会議事堂にあたる建物なのですが、特別な行事の無い日には、とくに見える場所に警備の人員が居るわけでもなく、誰でも普通に敷地に入れます。入場口も入場料もなく、マウリッツハイスへの近道として通り抜けるのもぜんぜん有です。
ノールトエインデ宮
ビネンホフのすぐ北西にあります。歩いても5分かからないくらい。前女王陛下の執務宮殿として使われていました。内部の公開はされていません。
八十年戦争当時は、ウィレム沈黙公の妃ルイーズ・ド・コリニーが義理の娘たちと住んでいました。ドイツ色の強いビネンホフに住むのは、フランス人の彼女には耐えられなかったようです。
こちらが裏側のパレス庭園から。ルイーズ・ド・コリニーの息子フレデリク=ヘンドリクが母親に贈った庭園とか。ビネンホフもですが、宮殿の敷地まで一般人がうろうろできるってすごいですよね。
内部は古い写真(1984年頃のものらしい)がいくつかWikimediaに載っていました。これはウィレム沈黙公の肖像が掛けてある部屋です。
クローステル教会
意外とオープンの期間も時間も短く、中を見たい場合、公式サイトで開館時間(わかりづらい場所に載っていますが)を要確認。ビネンホフやノールトエインデ宮殿からすぐ近く、歩いても5分程度です。 上記公式サイトよりパンフレット(PDF/これもわかりづらい場所に載っていますが)が閲覧可能です。これは教会内にはなかったのでDL必須。英語もあり。
ここは八十年戦争期の共和国にとって重要な役割を果たした教会です。十二年休戦期に巻き起こった宗教論争が内乱にまで発展しかけた1617年、最後まで自分の立場の明示を留保していたナッサウ伯マウリッツは、この教会を訪れることにより、ホマルス派に組するという政治的意図を示すデモンストレーションを行いました。
また、その後1625年、オランイェ公フレデリク=ヘンドリクがアマーリアと結婚式を挙げた教会もここになります。共和国軍の武器製造をおこなっていたこともあります。
内部のモニュメントは、17世紀のハーグの有力者のものです。中央の柱にでっかくヤーコプ・カッツの名前があったりします。また、ステンドグラスやモザイク画があり、若干カトリック的な雰囲気もあり。
ハウステンボス宮
長崎県佐世保市のテーマパーク「ハウステンボス」の名前のもとになった、王族の居館。そのためやはり一般公開はされていません。門の前までは行くことができるので、ノールトエインデ宮同様、写真を撮ることはできます。
1645年、オランイェ公フレデリク=ヘンドリクが建築を命じたものの、彼自身はその翌々年に亡くなったため、妻のアマーリアによって建設が引き継がれました。長崎のパレスハウステンボスはこの1/1レプリカです。が、内部の「オランイェザール」と呼ばれる場所の壁画だけは複製の許可は取れず、別の絵が描かれています。
オランイェザール
アマーリアが当代きっての画家たちを集めて描かせた壁画の一部。中には入れず、かといって壁画なので持ち出せず…なかなか生では見られない貴重品です。
なので、公式(王室)がgoogleのストリートビューで360°見せてくれています。他にも、主な絵画1枚1枚について詳細な説明のあるページもありました。
銅像
ハーグのとくにビネンホフ周辺には、八十年戦争ゆかりの銅像がたくさんある街でもあります。調べると、市内の他の場所にはここに挙げたもの以外にもまだあるようです。
オランイェ公ウィレム一世(沈黙公)の銅像が2つ。上はビネンホフ東の広場。
下はノールトエインデ宮前の騎馬像。
ホフフェイファーの前にあるオルデンバルネフェルト。ビネンホフの良く見えるところです。
ハーグCS駅すぐ前にあるナッサウ伯マウリッツのレリーフ。
美術館・博物館
別に記事を設けています。これらもすべてビネンホフ周辺なので、5か所一気にまとめて見られます。
ハーグ歴史博物館/ブレディウス美術館
マウリッツハイス
監獄博物館/ウィレム五世ギャラリー
アクセス
ハーグ中央駅(CS)から歩いて15分ほどでビネンホフに着きます。このページに挙げたハウステンボス宮以外の見どころは、すべてビネンホフ周辺徒歩5分圏内にまとまっています。そのため丸一日かけてすべて見ることも充分に可能です。
ただし以下の3か所は時間の制限があるので、時間配分や予約に要注意。
クローステル教会: 一般公開時間が短い
ビネンホフのガイドツアー: ツアー時間の設定あり
監獄博物館: ツアー時間の設定あり