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【ビスコッティ(biscotti)】愛の履歴書
ビスコッティを最初に食べた記憶がどこにもない。
こんなに愛しているのに。
愛はおぼろげで儚いから美しい。
ビスコッティ(Biscotti)とは
ザクザクとした硬い食感が楽しめるビスコッティ(biscotti)はイタリアの庶民的な伝統菓子です。
小麦粉や砂糖などの原料にチョコレートやアーモンドなどのナッツ類を入れて焼き上げるビスケットで、イチジクやアプリコットなどのドライフルーツを入れて作ることもあります。
フィレンツェを中心とするイタリア中部のトスカーナ地方が発祥といわれ、この地方では「カントゥッチ」と呼ばれ親しまれています。
19世紀後半に作られたカントゥッチがビスコッティの最初のレシピ(recipe)。カントゥッチの名前の由来は「cantocci(小さな歌という意味)」が変化したものと考えられていますが、ビスコッティはラテン語が由来になっています。「ビス」が「二度」、「コッティ」が「焼く」を意味する言葉です。
ビスコッティの思い出は、
「材料入れ忘れと実験とあの人」
1.材料入れ忘れ
砂糖を入れ忘れたことがあった。
生地を仕込んでオーブンに入れた後、砂糖のボウルがポツンとあることに気づいて肩を落とした。
これを「ポツン」といい、「肩を落とす」ことだと感慨深かった。焼き上がりへの影響は強烈だった。
「ポツン、肩を落とす」リアル体験ができて「わたしは幸せ者」だと思うはずもなく、唯一の長所である決断力を発動して人知れず処分したのであった。
別れは愛のひとつの形だ。
2.材料を入れない実験
あえて実験したのが、ベーキングパウダーを入れずに作ったらどうなるか。結論は「食えたもんじゃない。」
言葉が悪いけれど、そんな感じ。
ベーキングパウダーを入れないと、生地が詰まりすぎてザクザクもガリガリも感じられない。ミシミシが一番近い食感。小気味よさがゼロ%で怖かった。オノマトペが「ミシミシ」はあまり聞かない。
ベーキングパウダーは入れ忘れまいと固く誓った。
愛は怖れるものだ。
3.あの人
物静かでお酒が好きで優しかったあの人。
甘い物は食べないのに、たまたま家族の方にプレゼントしたビスコッティを食べてくれた。袋の隅に残ったかけらまで「おいしい」と喜んでいたそうだ。
あれから数十年を経て、年初に鬼籍に入ったと聞いた。冥福を祈りながら頭に浮かんだのが、ビスコッティのかけらだった。
愛はせつない。
過去を掘り起こすと、いくつかの画像が出てきた。
炊き込みご飯感覚でフィリングの組み合わせや形・長さ・大きさを決めたり、型を使わないおおらかなところも気に入っている。
愛は自由だ。
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2年の時を経て、めんどくせーを超えて、猛暑の7月29日、ついにビスコッティはわたしを動かした。
これも、愛。