内科専攻医日記・5月〜みんな私のオーベンだ〜
過労死するかと思った4月を経て、5月は担当患者の重症度も下がって落ち着いた。と思ったけど70時間は残業していた。あはは。
今月も産業医面談です。
忙しいはずなのに、なぜか出勤は全然嫌じゃない。研修医の頃は出勤時に吐いてたのに、吐かなくなった。
たぶん、人間関係のストレスがない、というかむしろやりやすいからだ。
こんな日があった。
壊死性軟部組織感染症っぽいからみといてーと上級医に投げられた患者さんを診察したら肛門周囲膿瘍っぽかった。
であれば外科に手術になるので、外科の先生に連絡しなければならない。
その日の担当は、あんまり積極的に見てくれない、発言がぶっきらぼうで院内の評判がよくないS先生。
だが大丈夫だろうという自信があった。
「はぁ!?いいから外来送っといて!」
電話口で高圧的な言い方をされ、一年目の私だったら落ち込んでいた。が、本日の私はにやけた。これは全然怒ってない、むしろご機嫌なのだ。
この病院で2年間研修医をしていたので、もう3年目になる。S 先生のいる外科は2ヶ月研修医として回っていて、彼のぶっきらぼうな言い方はシャイさの裏返しであることは知っていた。院内で会えば「なんだお前」とか言いながら、ただ私のことを気にして話そうとしてくれているだけなのだ。
なのでそのあと、のこのこ患者さんと外科外来に行って、一緒に診察させてもらった。「さっき電話でああ言ってたけど、こう言うべきだ」「この匂いは嫌気性菌だねぇ」
などと指導までしてくれる。嬉しい。
その患者さんが血尿もあるというので、泌尿器科に相談するか迷った。
泌尿器科は5日間研修しただけだけど、その時のオーベン(指導医)N先生はその後も廊下で会うと「最近どう?」と向こうから話しかけてくれるので良好な関係なはず。でも一昨日の飲み会で、その先生はよくキレて気難しいという噂を聞いていた。
仲良いし大丈夫だと思うけどなー、嫌な噂聞いたばっかりだし不安だなーと頭を抱えて歩いていたら、ご本人登場。げげげと焦り、相当不安な顔をしていたのか、向こうから「大丈夫?」とアプローチをかけてくれた。
ほら、やっぱり私には優しいN先生のままだ。こりゃ相談は容易。安心した。
一昨日は私が夜間救急担当で動悸の人をみてたら、相談してないのに循環器の先生がふらっと見に来てくれた。パパみたいな先生なので、あの子で大丈夫かなと心配してくれたに違いない。
この病院で研修医としていろんな科をローテーションしていたので、思えば院内の大体の先生が一度は私のオーベン(指導医)だった。
私ができの悪い研修医だったことも、常に指導対象なこともわかってくれているから、心配し、見守り、指導してくれる。これが他の科の見知らぬ3年目相手だったら指導はしづらいだろう。
私も先生たちの人となりも癖も大体把握してるから、変な先生でも接し方を知っているし相談しやすい。初めての病院だったら誰に相談するのもストレスだっただろう。
皮膚科の先生の喜ぶ顔を想像しながら好み通りの紹介文を書いて患者を送り出し、散歩がてら病理部に行って雑談しながら担当患者さんの組織像を見せてもらい、ERのおじちゃん先生のところに行って飲み会をセッティングをするという院内フリーウォークができるのは、元研修医の特権だ。
院内だいたい知り合いって、働きやすい。
5月の感想でした。
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