市民オペラに参加するということ 25
3月12日土曜日、翌日はスプリングコンサート本番なのに、ちょっと体調に不安があって私は練習を休んでしまう。すると例によってサプライズがあり、突然翌日歌う歌が追加されたのだという。このご時世を反映し、Dona nobis pacem、平和を我らにという意味の歌を歌うことになったそうだ。音源が送られてくるが、難しそうに思える。しかし楽譜を検索してみるとわずか3行で、要は輪唱になっているので複雑に聞こえるようだ。明日はぶっつけ本番で歌うことになりそうだ。
3月13日。コンサート当日は朝10時に会場入りすることになっていた。前日休んでいることもあり、私は早めに会場入りするが、もう到着している人の方が多かった。リハーサルが11時から始まるので、10分前にステージ脇に待機するように、ということだったが、ドレスに着替えるだけなら10時半会場入りでも時間を持て余すのに、と私は思う。こういう無駄な待機時間みたいなのはあまり好きではないが、舞台には往々にして付き物だ。中には遅れて来ている人もいたが、新人だし若手だし昨日も休んでいるので、なかなかそうもいかない。
11時になるとリハーサルで、本番でやる曲を一度頭から全て通す。前日の練習に出ていないので、最新の事情がよくわかっていなかったが、ほとんどの人が暗譜している。楽譜を持っている人はあまりいない。まずい、と私は思った。コンサートで合唱団は、冒頭と最後に登場し、途中ソリストがアリアを歌う部分は休憩なのだが、前半の曲は昨日の練習に参加したとすれば、私も暗譜するつもりでいた3曲(オレンジの花の香り、ハバネラ、乾杯の歌)だ。リハーサルの時、楽譜を手には持っていたものの、見ずに歌ってみたらほぼ問題なく歌えたので、私も暗譜で歌うことにしようと思う。ただ「乾杯の歌」の歌詞は怪しかったので、昼休みの間にもう一度さらった方がよさそうだ。
本番は、3人のソリストそれぞれの独唱の時には、合唱団は控室で待機するらしいが、リハーサルの時はソリストの歌を客席で聴いた。今回メゾソプラノの歌手が出るので、ソプラノの歌手と比べると、低音部がよく響くことがわかる。やはり人によって声質というのはあるんだな、と私は感心する。
ソリストの歌が終わると、後半の合唱団の出番だ。冒頭にまず昨日やるになった新曲、Dona nobis pacemをやり、残りの2曲(愛の妙薬より、ナブッコより)をやる。新曲は、繰り返しが多いので、初めて歌った割にすぐマスターできるが、いきなり暗譜まではできない。ナブッコもイタリア語の歌詞が覚えられなかったので、後半は楽譜を持つことにする。こうしてリハが終わった。次は本番だ。