カメラは「過去の瞬間」を忠実に残すツールです
先日美容院にてスマホカメラの話題で盛り上がりましたが、その会話のなかで美容師がふと言った言葉が心に残っています。
「今はいい時代ですよね。残しておきたい『瞬間』がいつでもスマホで撮れますから」
その通りだ。と私は思いました。
スマホカメラは、その手軽さゆえに残しておかない方がよい「瞬間」も撮れてしまうという大きな欠点があることは確かです。
けれども、それ以上に残しておきたい「瞬間」が忘却の彼方に流れることなく残すことができ、後で撮った画像を見て新たなコミュニケーションが生まれるということを考えると、やはりメリットの方が大きいと思うのです。
しかしそれはスマホカメラだけではなく、すべてのカメラに言えることではないでしょうか。
すでに多くの人が言及していますが、カメラが捉える「瞬間」は二度と戻ってこない「過去」です。
同じ景色、同じ人間、同じシチュエーションを撮っていても、1秒でも時間が進めばそれは二度と訪れない過去となってしまうのです。
そんな二度と戻らない「過去の瞬間」を捉え、未来の私たちが見られる画像で残してくれるカメラは、まさにタイムマシンのような存在だと思いませんか?
人間の記憶は実にあいまいな上、主観により大きくイメージが左右されます。つまり、その人が見たものに対して負の感情を抱けば、どんなに良いものでも醜悪なイメージで表現されてしまう可能性も高いと言えます。
しかしながら、カメラはレンズがとらえたものを実像に近い形で客観的に捉えるツールです。そこには何の主観も入らず、大小さまざまな「過去の瞬間」を忠実に再現してくれる点で大変優れています。
だからこそ、現代人がより正確な形で過去を知ることができ、そこから得たものを現代に生かすことができるのでしょう。その代表格が報道写真です。
また、旅行などで撮った写真を見ると、その時撮影現場で気づかなかった新たたな発見があり、楽しかった思い出をさらに楽しく振り返ることができます。
それもカメラがレンズに映ったものを客観的かつ忠実に捉えるツールであるからこそできる業ではないでしょうか。