市民オペラに参加するということ 36
6月第1土曜日。この日も練習に行きたくない気持ちが起きるが、立ち稽古2回目で、前回の立ち稽古の様子を考えると、休むと大きな遅れを取りそうなので、気持ちを奮い立たせて練習に向かう。しかもこの日、私は場ミリの係だったので、立ち稽古が始まって、ただでさえ1時間早まった練習開始時刻の、さらに30分前に会場に向かう。会場に到着すると、ホールの上に紐を貼ったりテープを貼ったりして、舞台の位置関係の印を付ける、場ミリと呼ばれる作業をする。
開始時刻になると、「愛の妙薬」の練習が始まる。今日は初日の舞台のネモリーノ、アディーナ、ベルコーレ、ジャンネッタがソリスト参加している。後半にはドゥルカマーラも加わった。初めは一幕フィナーレから立ち位置や動きが付けられる。
今回も前回と同様、演出家が合唱団員各自に役割を振るのにとても時間がかかり、なかなか歌うには至らない。そして動きが付くと、歌の内容や各出演者の役割をわかっていないとうまく演技ができないし、それ以前に演技に気を取られると、そもそも歌えないということがわかる。動きが付かなくてもたぶんまともに歌えないのに、動きながら歌えるわけがないではないか、という気持ちにさえなる。
そして動きもたぶん、一回聞いただけではわからない。でももしかすると演出家は、一回言っただけで私たちが覚えるものだと思っているだろうか。プロの場合だと習得力がすごいから、それを基準にされるとそうなる。
とはいえ、動きが付くのはなんとなく楽しい。立っている時間が多く、練習時間も長く、結構疲れるが、楽しい面はある。
今のところ、歌う時間が減っているのが残念ではあるが、きっと今はそういう時期なのだろう、と思って納得することにする。
ところが最後に合唱指導の先生からとんでもない命令が下る。来週からは立ち稽古の時に、楽譜を持ってはいけないというのだ。
確かに立ち稽古では楽譜を持つな、と以前にも言われてはいた。しかし、実際には楽譜を見ながらでもまともに歌えない状態なのだ。楽譜なしなんて無謀だ。とうとう自主練習をせざるを得ない状況に追い込まれているのだろうか。でもきっとやらないんだろうな、という気がする。まあなるようになるさ、そう思うよりほかない。
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