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海外の学会で発表するにはどうしたらいい?

前の記事にちょっと書きましたが、数日前にタイはバンコクで行われたジェンダー&セクシュアリティの学会(TIIKMという組織の運営による学会)に出ていました。海外の学会発表というとハードルが高い、と思う場合もあるかと思うので、ここではどうやったら海外の学会に出られるのか(発表できるのか)? について書いてみたいと思います。
結論から言えばとても簡単です。①インターネットなどで自分が出たい海外の学会を見つける。②プレゼンしたいのであれば、期日までにプロポーザルを提出する。③受諾されればプレゼン、されなければ発表者としてでなく参加者として出席する。これだけだと思います。

私が過去に発表したことがあるのは、International Association for the Study of Dreams (IASD), European Society for the Study of Dreams (IASDの姉妹組織)、International Society for the Study of Trauma and DIssociation (ISSTD), と今回のInternational Conference on Gender and Sexualityだけだと思います(国内を除く)。このうち、20年以上も会員をしている、IASDが大半です。
どういうわけか、これまで査読付き学術誌で落ちたことはあるのですが、学会発表についてはほぼ無敗です。これは、行き先の学会の難易度や構成人員にもよるのではないかと思っていて、日本人として行く場合、「珍しい」ファクターというか、ダイバーシティを増す意味で入れてもらいやすい、ということもあるのかなとは思っています。
もちろんある程度のクオリティは必要です。が、実は学会発表の審査側もしたことがあるので一つ書いておくと、「こういう風に書いてください」と書いてあるのに、それに従わない(つまり指示を読んでいないか、従っていないか)場合、確実に心証は悪くなります。当たり前のことだと思うのですが、必須の項目を書いていなかったり、我流のあらぬ方向に走る人たちが実際にいるのです。
IASDなどは「甘い」部類なのですが、厳しいところでは(就活面談等と類似して)書式や内容が食い違っているだけで見ずに落とされるということもあり得るでしょうし、字数オーバーなども、欧米人はよく平気でしていますが、私的には減点項目となります。
要求の高い、競争の激しいところでは書式や内容をクリアしているのは当たり前で、その後はやはりクオリティ(学位論文が良しとされるかどうかの延長線上にあると言えるでしょう)が物を言ってくるのだと思います。

ハードルが高いと思われるのは、②と③の間かもしれません。つまりは英語(またはほかの言語)でプレゼンを構築、発表しなければならないからです。これも付け焼き刃でなければ、英語で大量に読むことにより書く力もついていくと思っています。もちろん、書かなければ仕方ないですが、書き方というか流儀は身についていきます。
書くとき気をつけなければならないのが剽窃(プラジアリズム)(既存の文献の不正な引用・流用)なので、丸ごとコピーは厳禁です(引用する場合はちゃんと論文の書式スタイル-APA, MLA等-に従ってしましょう)。拙くても自分の表現を使うか、言い換え・言い回しを変えるなどすればOKです。
パワーポイントなどで自分の分野の専門用語などをちりばめつつ、書いていきます。私はメモを準備してほぼアドリブで発表していることが多く、そのため当日のパフォーマンスの落差が激しいのですが、特に口頭発表での英語に不安があるという場合には、原稿的なものを作って繰り返し練習していくといいでしょう。発表の時間制限が厳密な場合もありますから、リハーサルするに越したことはありませんし、時間が押した場合、どこを飛ばせるかなどもあらかじめ考えておくといいかと思います。
質疑応答はまさに即時コミュニケーションが問われるところで、日本の学会にありがちなようにあらかじめ準備してあるなどということはありません。その場でベストに答え、分からなければ聞き直し、どうしても分からなければ後で質問者に来てもらって、後日メール等で回答するという方法もあるかと思います。

もし、いきなり発表というのがハードルが高く感じるのであれば、とりあえずいったん参加者(発表なし)として参加して雰囲気を見る、というのもあるかと思います。難しく考えていたけれど案外そうでもない、ということもあるでしょう(これも行き先や団体によるでしょうが)。たとえば、今回のバンコクの学会はアジアやアフリカ諸国からの発表者が多く、英語に関しては、正直かなり分かりにくいと感じました。「きれいな英語」でなければいけない、と思っている場合には(聞いていて分かりにくいというのはあるのですが)、そうでなくても良いんだと思うのではないでしょうか。英語自体、広く学術の世界での「共通語」となっているのは事実です。
今回の学会は幸い、日本人の人がほかに4人もいて、お互い自己紹介をしたり、多少の情報交換をしたりもし、また観光をいっしょにできた人もいました。これは距離が近く足を運びやすいアジア圏の学会ならではかもしれない、とも思いました。分野や団体によるかもしれませんが、フレンドリーな人も多いので、行っててみたければチャレンジするといいかと思います。
また、最近では(これも分野によると思いますが・・・)日本国内で国際学会が開催されている例も見ます。これだと海外に旅行したり文化や時差、言語の問題などをクリアしなくても済むので(発表は英語かもしれませんが)、ハードル低めと言えるのではないでしょうか。

(宣伝になりますが、オープンマインドでもサポート(有料)はできますので、よろしければinfo@openmindpsy.comまでご連絡ください。内容については理系だと難しいかと思いますが・・・)

(写真は学会2日目=最終日の最後の方、ジェンダーに関するワールド・カフェをやった後のまとめの様子です。カンファレンス施設のある大きなホテルでした。)

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