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[詩集]また書い3



  「消えてしまいそう……」


わざと不愉快にさせたり、
わざと嫌われるようなことをしだしたりするのさ
突然、そうなってしまうんだ
なぜ冷たくするの?
なにか秘密でもあるの?
それともなにか不安でもあるのかい?
そうみえるよ
なんだか突然、幽霊みたいに、
きみが消えてしまいそうだよ
そうみえるよ

突然、そうなるんだ
さっきまでとはまるで違ってしまう
冷たくなってしまう彼女は、なにかに怯えているようにもみえる
少しだけ、
そうみえるよ

なんだかきみが消えてしまいそうだよ
幽霊みたいに……
突然、すべてが消えてゆくようだよ……
本当なのかどうなのかわからない
まるで幽霊のように……
そうみえるよ


    「放浪者」



手を握りあっていたんだ
固く握りあっていたんだ
金がなくなるまでホテルを泊まり歩いたんだ
ふたりにふさわしい部屋を借りて暮らしたんだ
強く、
強く、
握りあっていたんだ
いつも温度を確かめあっていたんだ
いつの間にか、冷めていたけど
強く、
強く、
求めあっていたんだ
そんな夜があったんだ
  


  「バカ、何様になる」


バカなんだよ、
バカ
自分のことすら助けられないのに、きみを助けられると思うだなんて
バカなんだよ、
バカ
弱いのに、きみを助けられると思うだなんて
力もないくせに思い上がるだなんて!
出会ったときの、あの瞬間
はじめて会ったときの、あの瞳だけでいっぱいだったのに
思い上がるだなんて
それ以上をきみに要求するだなんて!
バカなんだよ、
バカ
おれはバカなんだ

  


  「インスタントラーメン」


1·2·3·4、5日もラーメン
おお、インスタントラーメン
きみがいなくなってから、ラーメン
きみがいなけりゃ、ラーメン
おお、週末もラーメン
インスタントラーメン
きみがいたときはふっくら
きみがいなくなってからは、ガリガリ
おお、ラーメン
1ヶ月ラーメン
インスタントラーメン

1·2·3·4、5日もラーメン
おお、インスタントラーメン
2ヶ月ラーメン
イ·イ·イ·インスタントラーメン
きみがいなけりゃ、ラーメン
いなくちゃ、アーメン……


    「さよなら、エンジェル」


エンジェル のやつ、舌だしていっちまった
いまごろ、どこで歌ってんだろう
さよなら、エンジェルか……

エンジェルのやつ、無言でいっちゃった
いまごろ、どこで踊ってんだろう
さよなら、エンジェルか……



    「70」


きみが70歳になる誕生日の日に、
もし淋しかったら、ぼくに連絡してくれ
きみが70歳になる誕生日の日に、
もしひとりでいられなかったら、ぼくに連絡してくれ
きみが70歳になる誕生日の日に、
もしぼくのことを思い出したら、連絡してくれ
連絡くれたら迎えにいくよ
ぼくが生きていたら、迎えにいくから連絡下さい
70過ぎても覚えてる
たとえボケたとしても、
きみのことは忘れない
忘れない



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